雑談>教科書問題と歴史教育をめぐって
あの問題、誰が何をめぐって争っているのだろう?
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+-09185 2001/06/19 猫が好き♪ 【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09187 2001/06/19 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09188 2001/06/19 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09189 2001/06/19 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09302 2001/08/16 HASU RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09303 2001/08/16 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09308 2001/08/20 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09313 2001/08/21 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09314 2001/08/22 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
| +-09317 2001/08/23 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
| +-09318 2001/08/23 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
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| | +-09327 2001/08/28 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)
| | +-09331 2001/08/29 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う
| | +-09333 2001/08/30 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う
| +-09320 2001/08/24 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
| +-09322 2001/08/24 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
| +-09325 2001/08/27 HASU RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(
| +-09326 2001/08/27 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)
| +-09328 2001/08/28 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)
+-09315 2001/08/22 oki RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
+-09316 2001/08/22 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
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#09185 SDI00600 猫が好き♪ 【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/06/19 03:58
【タイトル】 昭和史の謎を追う (上)(下)
【サ ブ】
【シリーズ】 文春文庫
【著 者】 秦郁彦
【発 行】 文芸春秋
【発行年月】 (上) 1999/12/10・一刷 2000/06/25・五刷
(下) 1999/12/10・一刷 2000/05/10・四刷
【ページ数】 (上) 604ページ (下) 569ページ
【判 型】 文庫版
【定 価】 (上) 705円+税 (下) 705円+税
【ISBN】 (上) ISBN4-16-745304-5
(下) ISBN4-16-745305-3
【種 別】 記録
【分 野】 歴史(日本史・現代史)
【目 次】 (上巻)
第1章 田中上奏文から『天皇の陰謀』まで
第2章 張作霖爆破事件 青年天皇の「熟慮」
第3章 柳条湖事件の新証言 原点に立つ
第4章 昭和天皇の二・二六事件 若殿に兜とられて
第5章 もう一つの二・二六事件 平泉史学と青年将校
第6章 蘆溝橋事件(上) 謎の発砲者は誰か
第7章 蘆溝橋事件(下) 中共謀略説をめぐって
第8章 論争史から見た南京虐殺事件
第9章 明暗のノモンハン戦秘史(上) 見捨てられた田原大隊
第10章 明暗のノモンハン戦秘史(下) 宮崎連隊と深野大隊の勇戦
第11章 河豚プランと日本 ユダヤ論の系譜
第12章 ゾルゲ諜報団 東京へ
第13章 開特演 幻の日ソ戦
第14章 真珠湾は燃えているか 奇襲の条件
第15章 真珠湾・対米最後通告の研究
第16章 ミッドウェー海戦 米暗号解読陣の勝利
第17章 マレーシア虐殺報道の奇々怪々
第18章 ゼロ戦盛衰記 太平洋の日米航空戦
第19章 失われた対米諜報 「東」情報と密偵ベラスコ
第20章 「桜花」特攻 大田正一の謎
第21章 日本の細菌戦(上) 七三一部隊と石井四郎
第22章 日本の細菌戦(下) 中国大陸とサイパンで
(下巻)
第23章 「昭和天皇独白録」を読み解く
第24章 原爆機、広島へ 反転爆撃への疑惑
第25章 終戦史発掘(上) 「聖断」の構造
第26章 終戦史発掘(下) 報いなき二つの反乱
第27章 熊沢天皇始末記(上)
第28章 熊沢天皇始末記(下)
第29章 天津教盛衰記 日本神国論の系譜
第30章 東京裁判 裁かれなかった人たち
第31章 BC級戦犯たちの落日 アンボンで何が裁かれたか
第32章 人肉事件の父島から生還したブッシュ
第33章 帝銀事件の真犯人は?
第34章 再考「日本の黒い霧」(上) 下山総裁は謀殺されたのか?
第35章 再考「日本の黒い霧」(下) 松川事件の真犯人は?
第36章 教職追放 安井郁の場合
第37章 朝鮮戦争と日本(上)
第38章 朝鮮戦争と日本(下)
第39章 池田・ロバートソン会談の幻
第40章 遠景になった六〇年安保
第41章 従軍慰安婦たちの春秋(上)
第42章 従軍慰安婦たちの春秋(下)
第43章 三島由紀夫、市ヶ谷に死す
あとがき
(それぞれの巻に)
参考文献リスト
【コメント】
版元が文芸春秋だ。上巻の腰巻はというと、「『自虐』でも『自慢』でもな
い、本当に面白い現代史」だ。読み始める前に予断を抱くのは、ま、いたしか
たあるまい。
ただ、いわゆる「自由主義史観」、つまりゴリゴリの右翼的史観の本である
のならば、買いはしなかった。立ち読みをした段階で、そういう本ではないと
いう判断はしていた。
というわけで、著者のバックグラウンドは、最低限上巻を読み終わってから
調べることにして、読み始めたというわけだ。
読み進めていっても、別に「自由主義史観」の気配は、ほとんど感じられな
い。しかし、それは感じられないのだが、別の懸念が浮かび上がってきたこと
は否定できない。うーん。
上巻を読み終わった段階で、ニチガイアシストのデータベースで、著者の背
景調べを行った。「所属団体:新しい教科書を作る会」。この「新しい教科書
を作る会」というのは、自由主義史観陣営の本営みたいなもので、ゴリゴリの
右翼のみなさんの集まりである。うーん。
やっぱしそうだったか。
この、第一段落の判断と、第二段落の「やっぱり」は、つながらないと思う
だろ? 確かにまあ、表層的な論理って意味では、つながらないんだよ。でも
もう一歩踏み込むとつながるポイントがある。
どこでどうつながるのかを語る前に、もうちょっと本書の内容について、紹
介してみよう。
著者なのだが、防衛大学系の教官などもつとめてきた歴史学者。ま、そうい
うわけで、ちょっと前まで主流だったように思われるようなたぐいのバリバリ
の左翼史観の学者ではない。
んだが、歴史学者である。そして、本書は、歴史書である。
本書は、目次でわかるように、昭和史を扱っている。んで、おれが「本書は
ゴリゴリの右翼史観の本ではない」と判断したのは、その歴史の把握が、抑制
的であったからだ。
わからないことはわからないと言い、無理な推論はしない。ある程度まで資
料などを並べた上で、それ以上はわからず今後の研究に待つしかないというと
ころまで到達すると、そこで解明を断念するという姿勢が、非常に潔い。そこ
には、押し付けがましいイデオロギーは存在しないように感じられたし、また
「ここまでは、わかっている。そこから先は、わかっていない」という割り切
りは、正しい歴史学者のありようであるようにも思われた。
また、具体的事例の調査限界における判断も、特段には、イデオロギッシュ
に偏った部分を感じなかった(念のためだが、本書で「わかっている範囲」と
されたことについても、ぼくは根拠資料を調べたわけではないし、全面的に信
頼しているなんてことはない)。
唯一、違和感を感じたのは、従軍慰安婦問題を扱った章であり、そこは「過
剰な日本側弁護」に感じられないでもなかった。ただ、そこも、無理に日本側
を弁護するために論理を組み立てたというよりは、最初に著者が枠組みの設定
を間違えたのであるように思われた。そこで枠組みの設定を間違えちゃったら
最後まで間違ったまま走ってしまうわよねー、と、思いました(=^_^;=)(*1)。
*1 この論点で、著者は、「戦時性暴力の分析」という観点から著述してい
る。そしてその観点から見る限りでは、特段に大日本帝国軍だけが戦時
性暴力の担い手であったわけではないという指摘は正しいのだ。
しかし従軍慰安婦問題の顕著な特徴は、それが「戦時性暴力」だったこ
とではなく、軍隊による構造的なものであり、それを軍隊自らが求め、
邁進していたということだったのだ。
よって、単純な戦時性暴力の話に還元してしまう著者の立脚点は間違い
であり、その後の論の展開は実は総崩れ、ってことになる。
とはいえ、従軍慰安婦問題の解明を邪魔したとしか言いようのない「ざ
んげ屋」「フレームアップ屋」の存在の指摘あたりは、まあまあ、貴重
なものだと言えよう。
*
でだ。
ではいったいどこで、第一段落の「ゴリゴリの自由主義史観の本ではない」
という判断と、第二段落の「やっぱりこいつは自由主義史観の論客だったか」
という感想とが、つながるんだろうか。
おれの感覚では、「自由主義史観」の側からは「自虐史観」なんて揶揄して
呼ばれる種類の歴史観というのは、それはそれでけっこう強引な牽強付会をや
っているのだね。「わからないことは、わからないと言う」ということをやら
ないで、些細なことから強引に話を作り上げているという印象が強い。このあ
たりは「唯物史観(マルクス主義史観)」や、それに基づく「段階発達説」の
強引な立論・展開への印象という側面が強い(面倒なんで、こっちの歴史観は、
このあと「左翼史観」と呼ぶことにする。もうそれほど言及する回数もないと
は思うが)。
もちろん、同様の印象は、右翼的史観(1990年頃にはそんな名前で呼ばれて
はいなかったが、今でいうところの「自由主義史観」にほぼ重なる)の側にも
言える。こっちはこっちで、左翼史観に匹敵する、あるいは陵駕して、強引で
身勝手な構成をしていた。
そういう両派の対立の中で、「わからないことは、わからないと言う」とい
う姿勢を貫いたらどうなるか。おそらく、両者から壮絶な批判を浴びることに
なるのではないだろうか。
その批判を浴びた者は、より強い批判を浴びせた側からは距離を置き、多少
なりとも批判が厳しくなかった側に身を寄せるような結果になるのではないの
だろうか。
つまるところなんだ。おれがなんで「やっぱり」と思ったのかというと、秦
郁彦を最終的にどっち側が取り込んだのかという結果から見ると、「やっぱり、
秦郁彦の取り込みに成功したのは、右翼的史観(自由主義史観)の陣営だった
のだな」という意味で、「やっぱり」と思ったというわけだ。
個人的には、だからっていくらなんでも右翼的史観の側の陣営に身を置くこ
とはないだろう、という気がする。秦さんや、あんた本書の中でさんざん批判
している渡辺昇一あたりのクズ学者と同じ陣営に身を置くことに抵抗感を抱か
ないのかね、とか思ったりもする。
また、それまで「わからないことは、わからないと言う」という線を毅然と
して貫いて来ていたとしても、「新しい教科書を作る会」なんぞに加わってし
まったら、それまでの資料調査を基礎に思想を展開する歴史学者としての矜持
は全部ご破算になり、「ああ、あっち側の学者ですか」みたいに思われるだけ
だとも思う。それは歴史学者として、破滅的な選択だろうとも思う。
だが、そんな愚痴をいくら並べたところで、秦郁彦という、それなりにまと
もそうに見える学者を、(ぼくが多少はシンパシーを抱いても良いと思ってい
る側が)失い、敵に回したことに変わりはないし、いまさら何をやっても取り
戻せるわけでもないだろう。
少なくとも、秦郁彦の取り込み合戦に関しては、もう話は終わったと言わざ
るを得ない。
*
本書の第1章は1984年に「季刊・円卓会議」に掲載されたものである。最終
の第43章は1992年に「正論」に掲載されたものである。その間にもけっこうな
時間が流れている。そして、そのあと、更に10年近い年月が流れている。
ぼくは、この間に、秦郁彦がどういう目にあったのかに、興味を持っている。
ぼくは、この、おそらくは優れているのであろう歴史学者が、なぜ、「新しい
教科書を作る会」なんぞに所属してしまうような結果になったのか、そのプロ
セスに興味を持っている。
おそらくぼくがこのことを丁寧に調べるということはないだろう。
ただ、根拠はよくわからないのだが、おそらくそのプロセスをちゃんと調べ
たならば、一般に「左翼系」と分類されることが多い陣営の側の重大な戦略・
戦術上のミスが明らかになるような気がしている。左翼陣営(笑)の側の、ど
うしょうもない情けない敗北がそこには横渡っているのだろうと、なぜか確信
していたりもする。
さて。そういうわけで、右は思想的に嫌いであり、左はその姿勢が我慢なら
んというおれは、だけどそしたらどこらへんに腰を落ち着ければよいのだろう
なあ。
いまごろ気付いているようでは我ながら馬鹿ではないかと思うのだが、なん
か世界というのは、いずれにせよ、とてつもなくめんどくさいもののようなの
だった。
PS 読後の後日、大日本帝国陸軍の悪行問題をいまも追及している市民運動団
体の方と会うチャンスがあった。せっかくなので「秦郁彦をどう思います
か」という質問をしてみた。
ぼくが秦郁彦に悪印象を持っていないということを敏感に感じたせいか、
さほどの罵倒は聞けなかったが、強いマイナス評価をしているということ
はわかった。そして、そこには、それ以上踏み込んでヒアリングをするこ
とを諦めてしまうおれがいた。残念なことである。
【紹 介】 猫が好き♪ (PEH01124@nifty.ne.jp, nekosuki@jca.apc.org)
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09187 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/06/19 11:15 09185へのコメント
猫が好き♪さん、こんにちは。
> ぼくは、この間に、秦郁彦がどういう目にあったのかに、興味を持っている。
> ぼくは、この、おそらくは優れているのであろう歴史学者が、なぜ、「新しい
> 教科書を作る会」なんぞに所属してしまうような結果になったのか、そのプロ
> セスに興味を持っている。
>
> おそらくぼくがこのことを丁寧に調べるということはないだろう。
> ただ、根拠はよくわからないのだが、おそらくそのプロセスをちゃんと調べ
> たならば、一般に「左翼系」と分類されることが多い陣営の側の重大な戦略・
> 戦術上のミスが明らかになるような気がしている。左翼陣営(笑)の側の、ど
> うしょうもない情けない敗北がそこには横渡っているのだろうと、なぜか確信
> していたりもする。
ここらへんは、私が小林よしのりが自由主義史観グループに吸収されたときに考えた
事と酷似しています。どちらも誰かが徹底的に検証してくれると嬉しい。
そういえば、自由主義史観グループはユーラシア史学者の岡田英弘さんあたりも必死
に取り込みをしようとしているように見える。自由主義史観文書群でいろいろ引用して
見せたり、岡田氏の著作に絶賛のエールを送って見せたり。でも、彼は国民国家制度そ
のものに冷淡だから、それに成功していないんじゃないか。かぎはここら辺にあるんじ
ゃないかと思う。つまり、国民国家制度に何らかの熱い期待感を抱いているという枠組
みで動いている人は、どちらかの陣営に落ち込んでしまう。でも、そうでない人はどち
らにも落ち込まない居場所が作れる。
> さて。そういうわけで、右は思想的に嫌いであり、左はその姿勢が我慢なら
> んというおれは、だけどそしたらどこらへんに腰を落ち着ければよいのだろう
> なあ。
> いまごろ気付いているようでは我ながら馬鹿ではないかと思うのだが、なん
> か世界というのは、いずれにせよ、とてつもなくめんどくさいもののようなの
> だった。
私に言わせれば、どちらも「国民国家原理主義者」なんです。で、「国民」という巨
大共同体を作るための共同幻想装置をどう組み立てるか、というところが違うだけ。猫
さんも、私と同じ「国民国家牽制主義者」にならん?別に急進的に国民国家をこわそう
とも思わない(現代の福祉や民主主義がこの制度とどうしようもなく深く結びついてい
るんだもん)けど、この制度に牽制をかけて暴走を防ぎ、毒抜きをしていきましょう、
という立場です。
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09188 SDI00600 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/06/19 13:00 09187へのコメント
村山さんどうも。
| 私に言わせれば、どちらも「国民国家原理主義者」なんです。
あ、なるほどね。なるほどっつうか、そこらへんの話は、なだいなだも書い
ていたな。
つい先日紹介したばかりだと思うが、「民族という名の宗教」(当会議室の
#09065・nifty:FENV/MES/16/9065)で、なだいなだは「国民国家をまとめるた
めの道具」についての考察を加えており、宗教も文化もイデオロギー(右も左
も(笑))も言語も全部まとめて道具なんである、という論陣を張っていた。
唯物史観系(左翼史観、な)も、自由主義史観系(右翼史観、な)も、どっ
ちも「国民統合のための道具としての歴史」を作ろうとしていることに違いは
ない、という指摘だな。
そして、そこで、道具を研ぎすまそうとしているうちに、わかりやすい物語
を求めて「牽強付会」をやってしまう、と。見かけ上の方向は逆かもしれない
が、牽強付会に走るプロセスはおんなじなんである、と。確かにまあ、国民国
家主義という枠組みと比べれば、右翼・左翼なんつう枠組みは卑小なもので、
大差ないわ(=^_^;=)。
そしたらまぁ、そこから一歩引いてみれば、その手の牽強付会に陥らないよ
うにするには「牽強付会な歴史観を道具とする根本的なベクトル=国民国家主
義」に近寄らないように気を付けるのが大事である、と。
うん、すんなりまとまった(まとまりすぎてて、なんかこれにもどっか落と
し穴があるよーな気がしないでもないが(=^_^;=))。
秦郁彦に関して言えば、まっとうな歴史学者として「牽強付会な歴史観」か
らは距離を置こうと努力をしたのだけれども、抵抗が足らなくて、ついつい足
を取られてひきずりこまれてしまった、という感じなのかもしれない。
| 猫さんも、私と同じ「国民国家牽制主義者」にならん?
や。「ならん?」っていまさら聞かれてもなあ(=^_^;=)。なるもならんも、
おれはもともとそうであるような気がするのだが。そういう名前で自己規定を
しているかどうかはともかく。
はい、いずれにせよ、もっともっと精進します(=^_^;=)。
*
| そういえば、自由主義史観グループはユーラシア史学者の岡田英弘さん
| あたりも必死に取り込みをしようとしているように見える。
うーん。岡田英弘あたりにも手を伸ばしてきていますか(岡田英弘:ここら
へんで取り上げたものとしては、「歴史とはなにか」という著作がある。当会
議室の#08969・nifty:FENV/MES/16/8969)。
ま、「彼はだいじょぶでしょう」とか気楽に言っちゃっていい状況ではない
ように思うけれども、国民国家主義がこの「取り込み問題」の根幹にあるのな
らば、岡田さんは大丈夫かもしれない。
そのあたりの「共同幻想」論というか、「共同幻想としての物語」には着目
していて自覚的だし、そこがおそらく岡田さんの歴史観の根幹だからね。そう
であるならばそうそう簡単に取り込まれたりはしないのではなかろーか。
| ここらへんは、私が小林よしのりが自由主義史観グループに吸収された
| ときに考えた事と酷似しています。どちらも誰かが徹底的に検証してくれ
| ると嬉しい。
あれはなんだったんでしょーね。
とはいえ、あれは取り込んだ側も取り込んだ側だったが、取り込まれた小林
よしのりもヒドかったぞ。悪いんだけど、彼は「思想家」の水準には達してい
ない。広告塔としては機能したかもしれないが、広告塔以上の意味があったと
は思われない。著作権裁判なんて、イデオロギーを乗り越えて、法律的見地か
らも、戦術的見地からも、最悪手を次々繰り出して来ていたからな。
まあでも、「いかにして有効な広告塔を確保するか」というのは、イデオロ
ギー争いという側面では重要な戦術であり、アナーキストっぽかった広告塔と
しては有用なやつを国民国家主義者・自由主義歴史観分派(*1)が取り込んでし
まったという経緯としては、解析しとく価値があるかもしれませんね。
*1 あ。この言い方いいな。左翼側は何と呼ぼう。「国民国家主義者・唯物
史観分派」でいいかな? いまさら唯物史観でもないとは思うが。
ただ、この手のものごとを解析する本とか出すやつって、国民国家主義者・
唯物史観分派のやつであることが多く、国民国家否定論に立つ側から出てくる
ことがないあたりが頭痛のタネ。
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09189 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/06/19 15:24 09188へのコメント
猫が好き♪さん、こんにちは。
村山茂樹です。
> そして、そこで、道具を研ぎすまそうとしているうちに、わかりやすい物語
> を求めて「牽強付会」をやってしまう、と。見かけ上の方向は逆かもしれない
> が、牽強付会に走るプロセスはおんなじなんである、と。確かにまあ、国民国
> 家主義という枠組みと比べれば、右翼・左翼なんつう枠組みは卑小なもので、
> 大差ないわ(=^_^;=)。
左翼運動家だったムッソリーニ氏がファシスト党を起こしたり、共産党の闘士として
鳴らした藤岡氏が自由主義史観派を創設したり、なんだかよく似たような話が繰り返さ
れてますね。
> そしたらまぁ、そこから一歩引いてみれば、その手の牽強付会に陥らないよ
> うにするには「牽強付会な歴史観を道具とする根本的なベクトル=国民国家主
> 義」に近寄らないように気を付けるのが大事である、と。
> うん、すんなりまとまった(まとまりすぎてて、なんかこれにもどっか落と
> し穴があるよーな気がしないでもないが(=^_^;=))。
近寄らず、「国民国家」という現実から目をそむける事自体が落とし穴じゃないの?
ぎりぎりまで接近し、飲まれないように気をつけながらよく観察する事が大事なんじゃ
なかろうか。
> 秦郁彦に関して言えば、まっとうな歴史学者として「牽強付会な歴史観」か
> らは距離を置こうと努力をしたのだけれども、抵抗が足らなくて、ついつい足
> を取られてひきずりこまれてしまった、という感じなのかもしれない。
国民国家になってからの歴史を研究されてる方だから、与件としての国民国家という
前提に世界観が埋もれてしまって、そこが抵抗力をそいだんじゃなかろうか。国民国家
以前の歴史の実証をやってたら、もっと抵抗力はあったと思う。
> | 猫さんも、私と同じ「国民国家牽制主義者」にならん?
>
> や。「ならん?」っていまさら聞かれてもなあ(=^_^;=)。なるもならんも、
> おれはもともとそうであるような気がするのだが。そういう名前で自己規定を
> しているかどうかはともかく。
> はい、いずれにせよ、もっともっと精進します(=^_^;=)。
ま、私の思想を大雑把に言うと次のようになるかな。
「共同体的な中規模相互扶助ネットワークを再生させる事で、国民国家による国民化の
圧力と暴走を牽制し、逆に国民国家には共同体による個人の抑圧による閉塞化の牽制機
能を期待する。」
要は、カウンターパワーと拮抗していれば、国民国家もまだ使い道があるんじゃない
かな、ってことです。
> うーん。岡田英弘あたりにも手を伸ばしてきていますか(岡田英弘:ここら
> へんで取り上げたものとしては、「歴史とはなにか」という著作がある。当会
> 議室の#08969・nifty:FENV/MES/16/8969)。
特に、自由主義史観派の「反中国」論に我田引水しているのが目立ちます。岡田さん
や杉山さんら、ユーラシア史学家の論を我田引水する傾向は、他に、「反ヨーロッパ」
論にモンゴルの功績を引用する一方で、ユーラシア史学者たちがモンゴルの情報戦目的
の誇大宣伝によって事実に反して広まってしまったとみているモンゴルの残虐行為を、
元寇の記述での日本賛美や、旧帝国陸軍の残虐行為の否定のために強調するという傾向
にも顕著に表れています。
> ま、「彼はだいじょぶでしょう」とか気楽に言っちゃっていい状況ではない
> ように思うけれども、国民国家主義がこの「取り込み問題」の根幹にあるのな
> らば、岡田さんは大丈夫かもしれない。
> そのあたりの「共同幻想」論というか、「共同幻想としての物語」には着目
> していて自覚的だし、そこがおそらく岡田さんの歴史観の根幹だからね。そう
> であるならばそうそう簡単に取り込まれたりはしないのではなかろーか。
本人は自覚的でも、連中の「誉め殺し」作戦で傷がつかなければいいんですけどね。
> あれはなんだったんでしょーね。
> とはいえ、あれは取り込んだ側も取り込んだ側だったが、取り込まれた小林
> よしのりもヒドかったぞ。悪いんだけど、彼は「思想家」の水準には達してい
> ない。広告塔としては機能したかもしれないが、広告塔以上の意味があったと
> は思われない。著作権裁判なんて、イデオロギーを乗り越えて、法律的見地か
> らも、戦術的見地からも、最悪手を次々繰り出して来ていたからな。
取り込み前、取り込み後ともに「封建主義者」を自称する評論家(呉智英)がブレー
ンで付いていたと思うんだが、いやしくも「封建主義者」を自称するなら、国民国家原
理主義とは根本的なところで相容れないはずなんですがね。いま、二人の関係はどうな
っているんだろう?
> まあでも、「いかにして有効な広告塔を確保するか」というのは、イデオロ
> ギー争いという側面では重要な戦術であり、アナーキストっぽかった広告塔と
> しては有用なやつを国民国家主義者・自由主義歴史観分派(*1)が取り込んでし
> まったという経緯としては、解析しとく価値があるかもしれませんね。
どうも、歴史オンチのビジネスマンや学生が、今でも一番手っ取り早い入門書として
小林よしのり氏のマンガに飛びついているという話を身近なところで耳にするんですよ
ね。
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09302 RXU06501 HASU RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/16 02:15 09188へのコメント
9188へのレス
猫が好き♪ さん、皆さん こんにちは。HASUです。
こっちのフォーラムでは初めての発言です。亀レスなのはこの会議室を覗き始めた
のが昨日だから*1。
で、本題。つってもたいしたことないけど。
》 ま、「彼はだいじょぶでしょう」とか気楽に言っちゃっていい状況ではない
》ように思うけれども、国民国家主義がこの「取り込み問題」の根幹にあるのな
》らば、岡田さんは大丈夫かもしれない。
残念ながら彼は既に「新しい歴史教科書」の賛同人になっておられます(-人-)。
で、彼が何故賛同人になっているのか、中央ユーラシアな人たちの間でもよく分
からん、というか分かるような分からんような感じ、なのであります。単に中華主
義者*2が嫌いだから、という気もしないではないけど。
まぁ20代で学士院恩賜賞*3を取った化け物であり、その時点で「世俗の栄達は捨
てた」そうなので(奥様談の伝聞(をい))、私のような凡人にはその胸中は計り
知れないだけやも知れませんが(^^;)。
-----
*1 やっぱり「フリートーク」ってやめた方がいいんでは?「その他の話題」と
か「会議室横断」とかのほうが実情にあってるではなかろうか。お知らせか
らは他フォーラムにあるような雑談会議室との違いが読み取れなかった。
フォーラム覗いたきっかけは捕鯨問題をちょっと調べてみようと思い立っ
たからでして、そっちの方のログはいくつか読ませてもらいました。
まぁ、未だに「そこはかとなく捕鯨保存派」ではありますが、グリーンピ
ース=環境テロリスト的な見方からは卒業できましたです(笑)。
*2 最近右翼な方々が使ってるのとはちょっと違う東洋史業界用語。というか一
種の蔑称(^^;)。平たく言うと中国(しかもたいていその中のごく一部)し
か知らんくせに中国史が判ってると思ってるやつとか。中国史=アジア史も
しくは東洋史=中国史+アジア史(その他の地方の歴史)とか思ってる人と
か、とにかく視野の狭いこと甚だしい中国史研究者を指す。
で、モンゴル=野蛮、とか清=異民族王朝で後に中国に同化される、とか気
楽に言い出す人々。中国史研究者のうちどの程度が中華主義者なのかは議論
が分かれる所ではある。たいてい中国史側は「そんなこと思ってる奴いねー
よ」とおっしゃて議論は平行線(^^;)。
*3 結構権威ある賞。賞の常として「何であいつが」というのはあることは
あるわけですが、それでもバカは受賞できない。
HASU 拝
◎ 01/08/16(木)☆00:34☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
◎http://bun52.let.osaka-u.ac.jp/mah/maritimeasia-index.html
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#09303 SDI00600 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/16 03:51 09302へのコメント
| 残念ながら彼は既に「新しい歴史教科書」の賛同人になっておられます(-人-)。
わ〜ん(=・_・、=)。
PS けっこうショックが大きいので、申しわけないのですが、歓迎レスは後日
とさせてください(=^_^;=)。フリートークの定義変更問題とか、重いネタ
もあるし。
と、とりあえず。末長くよろしくお願い申しあげます。
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09308 SDI00600 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/20 01:21 09302へのコメント
というわけで、HASUさんいらっしゃいませ。えー、衝撃的(?) な情報をどう
も(=^_^;=)。
*
いやーなんかね。このネタをもらったあと、FBIRD で村山さんとチャットし
てたんだけど、その中でいろいろ考えることがあったりして。
おれ、大学受験は世界史選択だったんだけど、なんせ高校は卒業していない
ので、基本的には独学でした(*1)。
*1 もっとも、しばらく高校に通ってはいた。二度目の高校の世界史の教師
は、同窓生たちによると、「面白い授業だった」という評価であり、お
れの「とてつもなくつまらない授業だった」という評価とは食い違って
いる。真面目に聞いていなかっただけなのかもしれない。
その方法というのが、と。
たぶん今でもあると思うのだが、「受験の世界史」という月刊の受験雑誌が
あるんですね。んで、とりあえずは、ひたすらそれを丸暗記するという方法を
選びました。
そんなやり方はつまんないと思う方おいでになるでしょうが(=^_^;=)、別に
丸暗記が良いと思ったわけじゃなくて、世界史を考え理解するためには基礎情
報がある程度必要であると思ったため。
そりゃ、たいていのことは、手元に世界史辞典でも置いておいてこまめに調
べればわかるのだけれども、それは外部記憶であり、外部記憶にはいってるこ
となんてたいして思考に影響しないんだよね。ものごとの流れを掴むとかいう
のは、基本的にはまあ、覚えていることの範囲でのみ見えるものであり掴める
ものであるとおれは思っているので、とにかく主記憶に叩き込むという選択を
したわけです。
もうひたすら、出来事やら年号やらを主記憶に叩き込むという手を使って、
んで数ヶ月たったところでぱーっとこう、物語が見えてくるようになり、世界
史は面白くなりました。
年号とかはもうほとんど抜け落ちてますが、世界史そのものの流れとかは、
いまだにけっこう覚えているし、いつでも引き出せるメモリにはいってます。
また、手掛かりさえメモリに残っていれば、外部記憶の何をどう調べれば必要
な情報が出てくるのかもある程度はわかるわけで、この「手掛かりとしてのメ
モリ」は便利に使えてます(*2)。
職業の上で歴史学とは無関係なまま十年以上生きているわりには、ちゃんと
歴史学に関する素養をキープしているという自信はありますね。
*2 ただし、通説としての世界史理解とはかなりの部分でこまごまと異なっ
ている。
たとえば、通説では、キリスト教の系譜について、のちに主流派となっ
たアタナシウス派をメインとして考える。しかし個人的には、アリウス
派とアタナシウス派は等価であるように思う。思想的にはアリウス派の
方におれは親近感を持っていることもあって、現在主流派となっている
アタナシウス派系キリスト教は、おれの中では「たまたま勢力を持つに
至っただけの宗教」という位置付けだったりする(=^_^;=)。
んで、「既存キリスト教会はすべて邪教の子孫」とかどこかで思ってる
ものだから、既存キリスト教をあまり尊重すべきだという感覚がなく、
宗教論争などではまいど対立のネタになってますね。
余談ですが、この方法は、受験対策に限っても、間違っていなかったようで
した。
実は「世界史の試験は、暗記がかなりの部分を決めるから」ということで実
は受験3ヵ月前くらいから集中してはじめたんだが(=^_^;=)、センター試験の
結果は世界史だけに限れば、偏差値は軽く70を越えて80に肉薄、つうあたりま
で行っていたのではなかったか(うろ覚え)。
*
んで、と。個人的には、歴史の教科書類のかなりの部分が嫌いです。知って
る範囲に限られるという留保をつけるべきかもしれませんが、ぼくは、全ての
歴史の教科書が嫌いだと言っても良いかもしれない。
本来、歴史認識というのは、事実関係だけをまず教えて、その物語は歴史を
理解しようと思う者が自分で紡ぎだすべきものだ。
もちろん、「事実関係」とひとくちで言っても、それはひとりの人間に把握
できるような量のものではなく、「どういう事実を情報として提供するのか」
というところでバイアスがかかってしまうのはいたしかたない。だから、全て
を自分で考えるなんてことは不可能だ。それはわかってる。
しかしそれにしても、「この事実は、このような物語のコンテクストの中で
理解すべきものだ」というように、物語を押し付けられるのがたまらない。
だいたい、歴史を学ぶということは、「事実関係を覚える」ところで完結す
るものではなく、「事実とされることをベースとして自ら考える」「物語を紡
ぎだす力を身に付ける」ことが目的なのではないのか。
一方で、「新しい歴史教科書」のグループは「物語の押し付け」を旗印に掲
げてああいうプロジェクトを立ち上げたわけで、おれはあいつらが嫌いだ。
だけどもう一方で、既存の歴史教科書だって、「新しい歴史教科書」組とは
違う物語であるかもしれないけれども、物語を押し付けようとしていることに
ついては、何の違いもないように感じられる。おれは、そういう教科書を作っ
てきたやつらが嫌いだ(*3)。
*3 ただし。
ものごとを考えることを面倒がるやつは多い。そういうやつにも、それ
なりの成績を取らせるためには、「物語の押し付け」というのは効果的
な手段だ。「考えさせる」よりは「覚えさせる」方が、控え目に言って
おそらく百倍くらいは、簡単なことだからだ。
ある意味、「考えることを面倒がるやつ」にまで高等教育を授けようと
いう考え方が、もうその時点で破綻しているってことなんだろう。
悲しむべきことは、と。
前に「【本】歴史とはなにか」関連でちらっと書いたように思うのだが、い
ま話題になっている岡田英弘氏は、旧来の教科書について「唯物史観の物語を
押し付けようとしてきた」というようなコンテクストから、批判をしてきた。
そういう彼が、「別の物語を押し付けようとする側」に立ったということは、
やはり、とても悲しむべきことなのだろうという気がする。
もちろん、そこには「旧来の教科書の『物語の押し付け』をはねかえすため
には、なんか別の『物語の押し付け』をやるのが、効果的だ」というような、
それなりに計算づくの判断があったのかもしれない。
しかし、それにしても、同じような手段を使ってしまったら、「同じ穴の狢」
としか言えないわけであり、まずいんじゃなかったのか。
また、今後、岡田英弘氏が何を言ったとしても、「ああ、あの、『新しい歴
史教科書』の同人のひとね」のひとことでかたづけられてしまう可能性は、あ
ると思う。
それは、岡田英弘という才能にとっても、とても不幸なことだったような気
がする。
なんでそういう馬鹿なことをやったかなあ(=・_・、=)。
*
とゆことでえーと。なんか話が発散しかけてますが、よろしくです。
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09313 RXU06501 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/21 22:28 09308へのコメント
9308へのレス
猫が好き♪ さん、皆さん こんにちは。HASUです。
》 というわけで、HASUさんいらっしゃいませ。えー、衝撃的(?) な情報をどう
》も(=^_^;=)。
これ、「つくる会」のサイトで確かめた記憶があるのでURLを引用...しようと思っ
たらサイト自体なくなってました(^^;)。σ(・・)が見た時点で既に休止宣言かなん
か出されてたんで仕方ないんですが。
「受験の世界史」って読んだことないので何が書いてるのか知らんのですが、σ(・・)
も基本的に似たような勉強法でしたね。教科書と授業で作ったノートをテスト前に
ひたすら丸暗記するんですから。中学の時はもっとストレートにテスト前日くらい
から教科書を繰り返し読んで丸暗記。英語は嫌いだったので、同じ方法をやっても
頭に入らず失敗(^^;)。
現在歴史を専門にしとるわけで、その立場から言うと年号や固有名詞の暗記って、
英語で言えば単語やら動詞の活用やらを覚えることにあたるので、ある程度はやっ
てもらわんと話にならない。それが全てだ、みたいに短絡されて暗記を否定される
とちょっと困るぞって感じです。
で、後半ですが、歴史認識そのものというよりは(歴史)教育論の話題かな。
》 *3 ただし。
》 ものごとを考えることを面倒がるやつは多い。そういうやつにも、それ
》 なりの成績を取らせるためには、「物語の押し付け」というのは効果的
》 な手段だ。「考えさせる」よりは「覚えさせる」方が、控え目に言って
》 おそらく百倍くらいは、簡単なことだからだ。
》 ある意味、「考えることを面倒がるやつ」にまで高等教育を授けようと
》 いう考え方が、もうその時点で破綻しているってことなんだろう。
「つくる会」の教科書は中学生用なので(今度は小学生もやるらしいが)、高等教
育より前の話になります。
》 だいたい、歴史を学ぶということは、「事実関係を覚える」ところで完結す
》るものではなく、「事実とされることをベースとして自ら考える」「物語を紡
》ぎだす力を身に付ける」ことが目的なのではないのか。
これだけだったら大抵の人は否定しないと思いますが、
》 本来、歴史認識というのは、事実関係だけをまず教えて、その物語は歴史を
》理解しようと思う者が自分で紡ぎだすべきものだ。
これが中学生にできるのかどうか、「つくる会」はここをついてます。「できっこ
ないんだから「正しい」物語を教えましょう」という主張と理解してます。
この点では反対側の多くも、基本的に「正しい」の内容を巡って対立してるだけな
ので、おっしゃる通り同じ地平にいると思われます。
与えられた素材から物語を引き出す、ってのは数学でも理科でも同じなんでしょう
が、国語や歴史という科目は素材そのものに価値観・解釈を含ませることが容易
(というか究極的には不可避)なわけで、戦場となる宿命なんでしょう。
#「んなややこしい論争やるくらいだったら歴史なんかおしえんでも
#ええ」という主張もあるやに聞くけど、国語を教えないわけには
#いかないので無意味なのだ(^^;)
岡田英弘の話ですが、例の本(手元にない(^^;))の末尾に書いてあったと思いま
すが、お互い国民国家史観同士比べれば「どっちもどっち、お互い様だと分かるだ
ろう」みたいなことが書いてたと思います。だから国民国家史観を教育することそ
のものは否定はしてないとも読み取れます。
こっからは完全な想像というか邪推に近いのですが、彼は「国民国家のからくり」
なんて一部のエリートだけが理解してればいい。それ以外の下々のものはそれぞれ
用意された「物語」の世界であんじょうやっとけば宜しい。という意見じゃないだ
ろうかと。
HASU 拝
◎ 01/08/21(火)☆03:23☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
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#09314 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/22 10:24 09313へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
世界史フォーラムFREKIWではお世話になっております。
> これ、「つくる会」のサイトで確かめた記憶があるのでURLを引用...しようと思っ
> たらサイト自体なくなってました(^^;)。σ(・・)が見た時点で既に休止宣言かなん
> か出されてたんで仕方ないんですが。
検索してみると、以下のサイトで確かに確認できました。
http://www.jca.apc.org/~manmatha/youkai.htm
いや、確かに衝撃だったんですが、HASUさんに
> こっからは完全な想像というか邪推に近いのですが、彼は「国民国家のからくり」
> なんて一部のエリートだけが理解してればいい。それ以外の下々のものはそれぞれ
> 用意された「物語」の世界であんじょうやっとけば宜しい。という意見じゃないだ
> ろうかと。
と言われてみると、確かにあの人だったらこう考えても不思議じゃないような気がしま
す。若い頃から視野や能力がずば抜けすぎていてマルキシズムの公式にデータを当ては
めることに汲々としている周囲の研究者との軋轢がすごかったんじゃないかな。で、「
馬鹿は馬鹿なりの収まりどころでおとなしくしとれ」みたいな考えを持っているんじゃ
ないかと思えるフシが、著作の行間からそこはかとなく感じるんですよ。
> 「受験の世界史」って読んだことないので何が書いてるのか知らんのですが、σ(・・)
> も基本的に似たような勉強法でしたね。教科書と授業で作ったノートをテスト前に
> ひたすら丸暗記するんですから。中学の時はもっとストレートにテスト前日くらい
> から教科書を繰り返し読んで丸暗記。英語は嫌いだったので、同じ方法をやっても
> 頭に入らず失敗(^^;)。
>
> 現在歴史を専門にしとるわけで、その立場から言うと年号や固有名詞の暗記って、
> 英語で言えば単語やら動詞の活用やらを覚えることにあたるので、ある程度はやっ
> てもらわんと話にならない。それが全てだ、みたいに短絡されて暗記を否定される
> とちょっと困るぞって感じです。
私はひたすら時間軸の数直線に棒グラフ状に人物とか王朝の存続期間を書き込んだ年
表を作り、そこに制度やら事件やらを書き込んで事件の連鎖や個人、集団の関与を図式
化していく方法をとりました。視覚的に制度、王朝、人物、事件の前後関係が頭に入っ
てしまうので、ばらばらに断片暗記するのが馬鹿らしくなってきますね。あとは歴史用
語の原義を調べたり(ピューリタン=ピュア・リターンとかレコンキスタ=リ・コンク
エストなど)を一覧表にしたりとか、国ごとの同じ人名の呼び方の違い(カール・独=シ
ャルル・仏=チャールズ・英など)の比較対照表を作ったり、制度の模式図を作ったり
してました。
要は、構造全体が頭に入る暗記は必要なのに、徹頭徹尾断片の暗記で終わってしまう
学習法を取っている人や、そちらに誘導する教師が多いのが問題なんじゃないかと思い
ます。それには暗記の過程で相互の関連を誘導してやったり、ある程度記憶されたパー
ツがたまってから構造化するためのディスカッションを取り入れたりということを積極
的にやっていく必要があるんでしょう。
妻の両親や友人たちが私が歴史研究や年表作りを趣味にしていることを知った時、「
あんな無味乾燥な年号や人名を暗記するだけの歴史がどうして面白いの?理解できない
。」というのが大勢の反応だったそうです。義父などは戦前の慶應義塾大学出のインテ
リのはずなんですが・・・。まぁ、一昔前の歴史学者には先述のように、マルキシズム
の公式にいかに個々のデータを当てはめるかに汲々としていた人たちが多かったことも
そうした見方に拍車をかけたんでしょうが。
> これが中学生にできるのかどうか、「つくる会」はここをついてます。「できっこ
> ないんだから「正しい」物語を教えましょう」という主張と理解してます。
例えば井沢元彦なんかは、以前から判断力に乏しい中学生には祖国に誇りを持たせる
「物語」を与えてやるべきだとはっきり言明してますね。ただ、あのグループのコアは
例えば「国民の歴史」なんか明らかに成人を対象に「正しい物語」の普及浸透を図って
いるんで、本質的にはかなりボーダーレスに「物語」を押し付けていこうとするグルー
プだと思います。
まぁ、井沢元彦は成人向けには別の「物語」を語ることを飯の種にしてますが・・・
。彼の「物語」の主軸となる「怨霊」「言霊」「けがれ」は確かに日本の歴史を分析す
るときに避けて通れないけど、あの力点のおき方はちょっと「つくる会」のコアメンバ
ーの忌み嫌う「自虐」に近いものがあると思うんだけどな・・・。
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09317 RXU06501 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/23 00:57 09314へのコメント
9314へのレス
村山 茂樹 さん、皆さん こんにちは。HASUです。こちらこそむこうではお世話に
なっております。というかもろにFREKI向きの話題ですね(^^;)。
サイト情報ありがとうございました。なんだかσ(・・)が見たサイトもこのサイトだ
ったような気がしてきました(^^;)。しかしもの凄いURLのつけ方ですね(^^;)。う
〜ん川勝平太まで入ってるのか。
》と言われてみると、確かにあの人だったらこう考えても不思議じゃないような気がし
》ます。
あっ、やっぱりそうですか(^^;)。なんというか、頭がよすぎるってのもいいこと
ばっかりじゃないなぁという感じです。周りがバカに見えて仕方がないんでしょう。
舌禍事件も色々ききますし、アワワ。
》 要は、構造全体が頭に入る暗記は必要なのに、徹頭徹尾断片の暗記で終わってしま
》う学習法を取っている人や、そちらに誘導する教師が多いのが問題なんじゃないかと
》思います。それには暗記の過程で相互の関連を誘導してやったり、ある程度記憶さ
》れたパーツがたまってから構造化するためのディスカッションを取り入れたりとい
》うことを積極的にやっていく必要があるんでしょう。
授業時数の制限は置いといても、教師の力量が問われますね。少なくとも教員養成
の過程である程度システマティックに教授テクニックを教え込まないと難しいでし
ょう。こういうのは、現行の大学での教員養成課程、あるいは採用後の研修でどの
程度なされてるのかよく知りません。教員養成のカリキュラムをかなり大胆にいじ
らねばならないように思えますが、如何でしょうか。
また、歴史を教える教員も、大学で専攻するのは特定の時代・地域だけですから、
採用後も数年かけて全時代・地域について教員自身が構造的に理解し・指導できる
よう自己鍛錬を積まねばならないでしょう。昨今益々多忙化が指摘される教員(含
大学)に現時点でその余裕があるとも思えない。
小泉改革ってこの辺あんまり触れてなかった気もするが、どうなるんだろう。
また、ある構造を組み立てるということは、特定の史観を紡ぎだすということでも
ありますから、特に低学力児童や興味のない生徒には特定の史観を押し付けること
になりかねない、という問題もあります。もっともこの辺になってくると歴史じゃ
なくて教育全体の問題になりますが。
》義父などは戦前の慶應義塾大学出のイン
》テリのはずなんですが・・・。まぁ、一昔前の歴史学者には先述のように、マルキシ
》ズムの公式にいかに個々のデータを当てはめるかに汲々としていた人たちが多かっ
》たこともそうした見方に拍車をかけたんでしょうが。
話をずらしてしまいますが(^^;)
義父さんがマルキシズムの影響下にあったかどうかは分かりませんが、マルキシズ
ムの立場からも村山さんの図表作りを批判することは可能です。
ご存知の通りマルキシズムは「下部構造が上部構造を規定する」という有名な言葉
からも分かるとおり、事件史や政治史に重きを置かない立場にあります。固有名詞
の出てこない歴史教科書みたいなもんを作ろうとしたこともあったんじゃないかと
思います。そういう立場にたてば、王朝や人物を時間軸に沿って並べた村山さんの
力作は余り評価されないでしょう。生産様式と階級関係を機軸にした表だと褒めら
れたかもしれません(笑)。
マルキシズムのような視点は、それはそれで大事な視点だし、特に先行研究のフォ
ローを重視する歴史学の世界では基礎知識として未だに必須教養であります。とこ
ろが最近、σ(・・)を含めてマルキシズム用語・理論を知らない・理解できない学生
が多く出現して問題になっています。何せ用語集や概説書から急速にその手の言葉
が姿を消したので、上の世代にとって常識の概念が分からないんですよね。おかげ
で、しばしばゼミでそういう地雷ワードを踏んだ学生に悲劇が訪れ、「本源的蓄積
事件」とか「反封建・半植民地の惨劇」などの呼称で研究室裏話として後輩に語り
継がれることとなります(笑)。いや、ホンとは笑い話ではないんだが(^^;)。
#発達段階ではなくて発展段階史観と普通は言いますよ>猫が好き♪さん
あと、中国史では少なかったかもしれないけど、日本史なんかだと反マルキシズム
な歴史家はかなりたくさんいましたよ。
》あのグループのコ
》アは例えば「国民の歴史」なんか明らかに成人を対象に「正しい物語」の普及浸透
》を図っているんで、本質的にはかなりボーダーレスに「物語」を押し付けていこう
》とするグループだと思います。
義務教育で「正しい物語」を与えられなかった哀れな世代(をい)を啓蒙するべく
頑張っておられるのでしょう(^^;)。
まぁ、主張としてはそゆのもありだとは思いますが、それが「正しい」かどうかを
判断する能力をどの段階でどの程度の人々に身につけさせることを公教育の目標と
するのか、その辺のプランがどちら側からもまだまだ見えてきませんね。σ(・・)も
妙案はないです。
長くなったのでこの辺で
P.S. もう1文字くらい少なめで改行していただけると引用のときに助かります。
◎ HASU 拝
◎ 01/08/22(水)☆21:20☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09318 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/23 10:47 09317へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
> サイト情報ありがとうございました。なんだかσ(・・)が見たサイトもこのサイトだ
> ったような気がしてきました(^^;)。しかしもの凄いURLのつけ方ですね(^^;)。う
> 〜ん川勝平太まで入ってるのか。
そ〜なんですよ。「ユーラシア」な岡田英弘だけじゃなくて、「海洋」な川
勝平太まで・・・。今までの固定概念に異議申し立てをしている人たちがもろ
軒並み。甘い顔を見せなかったから敵対してるけど、最初の段階で甘い顔を見
せてたら、網野善彦なんかにも取り込みを仕掛けていたかもしれないな、とも
思えてきます。
> あっ、やっぱりそうですか(^^;)。なんというか、頭がよすぎるってのもいいこと
> ばっかりじゃないなぁという感じです。周りがバカに見えて仕方がないんでしょう。
> 舌禍事件も色々ききますし、アワワ。
そうそう。猫が好き♪さんも気をつけてね(^^;。
でも、ユーラシアな人って頭脳が切れすぎてて舌禍気味な人が散見されるよ
うな・・・。杉山正明もちょっとその気あるし・・・。海洋な人ってその点ど
うなんでしょ?
> 授業時数の制限は置いといても、教師の力量が問われますね。少なくとも教員養成
> の過程である程度システマティックに教授テクニックを教え込まないと難しいでし
> ょう。こういうのは、現行の大学での教員養成課程、あるいは採用後の研修でどの
> 程度なされてるのかよく知りません。教員養成のカリキュラムをかなり大胆にいじ
> らねばならないように思えますが、如何でしょうか。
この点、教員養成課程でも、学芸員養成過程でも、総論だけで各論養成シス
テムがないんだよね。で、自然史系専攻の学芸員に古墳発掘させたりするのに
何の疑問も持っていない役所が多い。ここんとこ、ちょっと愚痴モードはいっ
てます。
教員経験もあるけど、初任者研修でちょっと教科教育の研修もありましたね。
でも、あんなもんじゃ足らないんじゃないかな。
> また、歴史を教える教員も、大学で専攻するのは特定の時代・地域だけですから、
> 採用後も数年かけて全時代・地域について教員自身が構造的に理解し・指導できる
> よう自己鍛錬を積まねばならないでしょう。昨今益々多忙化が指摘される教員(含
> 大学)に現時点でその余裕があるとも思えない。
はっきりいって、教員時代の同期(高校理科)の連中、「学生時代の知識の切
り売りをしているだけで、ちっとも教えるための自己研鑽のゆとりがない。」
って愚痴ってましたね。かく言う私も教員時代に一番エネルギーと時間を割い
ていたのは校務分掌の教務の仕事、具体的に言うと、時間割変更の根回し調整
と、課外謝金の計算でした。自動警備で8時になると追い出されちゃうから、
実験の準備すら全くできなかった。
> 小泉改革ってこの辺あんまり触れてなかった気もするが、どうなるんだろう。
日本における「改革」ってしばしばシステムの構造をいじるんじゃなくて、
個人の資質の問題に責任を持っていってしまう傾向があるような気がするんで
すよね。ここに一番メスを入れるべきじゃなかろうか。
> また、ある構造を組み立てるということは、特定の史観を紡ぎだすということでも
> ありますから、特に低学力児童や興味のない生徒には特定の史観を押し付けること
> になりかねない、という問題もあります。もっともこの辺になってくると歴史じゃ
> なくて教育全体の問題になりますが。
こういう観点から特に構造構築トレーニングとしての質が教育の質に直結す
る社会科教育、理科教育の教育学自体の見直しが必要だと思います。環境問題
について社会全体にきちんと構造化したコンセンサスが普及しないのも、ここ
ら辺の問題ととっても関係が深いと思うんですよね。
> ご存知の通りマルキシズムは「下部構造が上部構造を規定する」という有名な言葉
> からも分かるとおり、事件史や政治史に重きを置かない立場にあります。固有名詞
> の出てこない歴史教科書みたいなもんを作ろうとしたこともあったんじゃないかと
> 思います。そういう立場にたてば、王朝や人物を時間軸に沿って並べた村山さんの
> 力作は余り評価されないでしょう。生産様式と階級関係を機軸にした表だと褒めら
> れたかもしれません(笑)。
階級関係も図式化していたんですが、書いているうちにだんだん階級構造と
生産様式がフィットしないような違和感に付きまとわれてきまして・・・。で、
「奴隷」とは何ぞや、「封建領主」とは何ぞや、「貴族」とは、「豪族」とは、と、ど
んどん既存の用語の実態に疑問をもち始めてしまったんですね。だって、古典
古代アテネや帝政ローマの奴隷と、イスラーム世界の奴隷が社会的階層として
パラレルな存在とは思えないでしょ。そうした異質なものに同じ用語を与えて
安心していることができなくなってしまったんですね。
> マルキシズムのような視点は、それはそれで大事な視点だし、特に先行研究のフォ
> ローを重視する歴史学の世界では基礎知識として未だに必須教養であります。
経済が社会システムにどう影響を与えるかという要素を分析するには今でも
重要な道具だと思いますよ。下部構造が一方的に上部構造を支配するとしてし
まったのが問題なんで、下部構造と上部構造の相互作用系の一要素としてはや
っぱりマルクスが指摘した見解は有効なんだと思う。ま、相互作用系なんで、
上下の層状構造でとらえちゃまずいのかもしれませんが。
でね、非近代の分節的共同体構造の中で、個々の共同体の成員が何で、どう
やって、飯を食っていたかって点がすごく重要だと思うんだけど、それが今ま
での研究ではよく見えてこないんですよね。これって、マルキシズムの立場に
立つとしてもすごく重要だと思うんだけど、なんだかすごくないがしろにされ
てきた気がする。
実は生物学の世界でも、何を食っているかわからない生物がすごく多いんで
すよ。こういう個々のデータの蓄積って学者にすごくないがしろにされてきた
から。はっきり言って、一つの地域環境の生態系システムの中で、食物網がど
ういう構造をとっているかろくにわかってないです。
私が最近よく言うんですが、「腐○○を食う」「××から吸汁する」とされ
ている生物は要注意です。本当に何から栄養を取っているか全然わかっていな
いのはこういう連中に多い。
> とこ
> ろが最近、σ(・・)を含めてマルキシズム用語・理論を知らない・理解できない学生
> が多く出現して問題になっています。何せ用語集や概説書から急速にその手の言葉
> が姿を消したので、上の世代にとって常識の概念が分からないんですよね。おかげ
> で、しばしばゼミでそういう地雷ワードを踏んだ学生に悲劇が訪れ、「本源的蓄積
> 事件」とか「反封建・半植民地の惨劇」などの呼称で研究室裏話として後輩に語り
> 継がれることとなります(笑)。いや、ホンとは笑い話ではないんだが(^^;)。
「主流」ではないと判断されるといっせいにみんなが身を引いてしまうとい
うのも日本社会のある種の特質なんでしょう。どの学問でもこういう傾向はあ
ると思います。
> まぁ、主張としてはそゆのもありだとは思いますが、それが「正しい」かどうかを
> 判断する能力をどの段階でどの程度の人々に身につけさせることを公教育の目標と
> するのか、その辺のプランがどちら側からもまだまだ見えてきませんね。σ(・・)も
> 妙案はないです。
もうこうなると、教科の枠を越えて日本の教育システム全体の構造的問題と四
つに組まねばならなくなりますね。個人的には参考例としてちょっとデンマーク
の教育システムに関心を持ち始めているんですが。
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09319 RXU06501 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/24 05:44 09318へのコメント
9318へのレス
村山 茂樹 さん、皆さん こんにちは。HASUです。レスを分けます。
》 そ〜なんですよ。「ユーラシア」な岡田英弘だけじゃなくて、「海洋」な川
》勝平太まで・・・。今までの固定概念に異議申し立てをしている人たちがもろ
》軒並み。甘い顔を見せなかったから敵対してるけど、最初の段階で甘い顔を見
》せてたら、網野善彦なんかにも取り込みを仕掛けていたかもしれないな、とも
》思えてきます。
川勝さんは、近代化論との関係は調べてませんが、江戸時代日本の特殊性を重視す
る立場だったはずですから、まぁ親和的要素がないこともない。まさか賛同人にな
るとは思いませんでしたが。江戸時代・鎖国再考論的な人はむこうさんから見れば
仲間に見えるのはよく分かります。
貨幣史で有名な黒田明伸氏なんかも、国民国家の相対化よりは国民国家の成熟のほ
うが現時点では重要である、という立場ですから(これは本人から聞いた)、戦略
的に作る会的な立場に賛同する可能性もなしとはいえません。
》 でも、ユーラシアな人って頭脳が切れすぎてて舌禍気味な人が散見されるよ
》うな・・・。杉山正明もちょっとその気あるし・・・。海洋な人ってその点ど
》うなんでしょ?
杉山正明さんなんかは中国史を無前提に中心におく歴史観へのかなり強烈な反発が
あるので、それが周りには本人の意図以上に刺激的にとられるきらいがあるようで
す。
中央アジア前近代史と中国史の仲の悪さというのは、はたで見てるσ(・・)からは殆
ど絶望的なまでに不毛でかみ合ってないように見えます(^^;)。お互いの良質な部
分を補完しようという意識が余り感じられない。(もっとも、これはσ(・・)が今い
る環境がきわめて特殊であって、他大学では全くそんなことはない、という話も聞
きますが(^^;))
最近は接点ができつつあるようですし、良質な研究者は相互に参照しあってますか
ら、今後の方向性としては期待が持てると思ってます。
海洋な人ですが、いろんな人がいるんですが、史料が残りにくいこともあって陸地
な人から見ると、話としては面白いけど実証性に乏しいと思われることが多いよう
ですね。
日本史だと網野さんとか村井章介さんがたくさん本を出して、なんだか天下をとっ
てるように見えますが、実際は、海上交易や対外関係史の院生は就職がなくてとて
も苦労してます。未だに個別荘園・地方文書研究の人のほうがあっさり就職してし
まう状況です。高良倉吉氏着任前の琉球大学の日本史研究室では、琉球史を卒論に
することが許されなかったという話があるくらいです。
》 経済が社会システムにどう影響を与えるかという要素を分析するには今でも
》重要な道具だと思いますよ。下部構造が一方的に上部構造を支配するとしてし
》まったのが問題なんで、下部構造と上部構造の相互作用系の一要素としてはや
》っぱりマルクスが指摘した見解は有効なんだと思う。
マルキシズムにとって不幸だったのは、下手にソ連とか社会主義諸国なんてもんが
できてしまったので、マルクス史学やマルクス経済学を政治と分離することがとっ
ても困難になってしまったことだと思います(まぁ、信奉する側もそういう方向を
目指してたわけだが(^^;))。
》 でね、非近代の分節的共同体構造の中で、個々の共同体の成員が何で、どう
》やって、飯を食っていたかって点がすごく重要だと思うんだけど、それが今ま
》での研究ではよく見えてこないんですよね。
今から見れば、一つには史料に残り難いんですよね、そういう「当たり前」のこと
は。もちろん主因は具体論よりも構造や階級分化の程度の解明を優先してたことで
すが。この辺に切り込んだのが社会史の功績でしょうね。
この点で面白いのがNHK出版から出た『中国江南の稲作文化』という本です。社会
経済史家が如何に「田制をみて田を見ず」だったかがよく分かります。文献から再
構成された田像を、自然系・農学系の研究者が「農民がそんな非効率なことするわ
けないヤン!」と一蹴してしまいました(^^;)。京大東南アジア研究センターがも
っとも輝いてた頃の業績です。
う〜ん、FENVとは全くかけ離れてしまった(^^;)
◎ HASU 拝
◎ 01/08/24(金)☆00:26☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09321 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/24 09:58 09319へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
> 川勝さんは、近代化論との関係は調べてませんが、江戸時代日本の特殊性を重視す
> る立場だったはずですから、まぁ親和的要素がないこともない。まさか賛同人にな
> るとは思いませんでしたが。江戸時代・鎖国再考論的な人はむこうさんから見れば
> 仲間に見えるのはよく分かります。
モンゴル帝国による世界史開始論(岡田英弘)→クビライのモンゴル海上ネッ
トワーク論(杉山正明)→海洋アジア論(川勝平太)→日欧の海洋アジア従属から
の自立=近代の萌芽論(川勝平太)という時系列的な議論の連鎖を換骨奪胎した
「物語」を「つくる会」の教科書は編み出しているような感じです。
つまり、モンゴルによって一体化した世界の東端と西端から日欧という近代
を生み出す世界がいきなり台頭してくるという物語。豊臣秀吉とスペイン王フ
ェリペを「英雄は英雄を知る」的に対置させたコラムからそこら辺が強くにお
ってきます。
ニワトリが先か、卵が先かはわかりませんが、「つくる会」の世界史観が
「ユーラシア」な人と「海洋」な人の抱きこみと深い因縁があるのは間違いな
いと思います。ただ外部に「啓蒙」しようとしている物語は大幅に換骨奪胎さ
れた予定調和的な美しい物語になっていると思いますが。
> 貨幣史で有名な黒田明伸氏なんかも、国民国家の相対化よりは国民国家の成熟のほ
> うが現時点では重要である、という立場ですから(これは本人から聞いた)、戦略
> 的に作る会的な立場に賛同する可能性もなしとはいえません。
本音の部分で相対化していることこそが成熟につながると私は思うんですが
・・・。
> 海洋な人ですが、いろんな人がいるんですが、史料が残りにくいこともあって陸地
> な人から見ると、話としては面白いけど実証性に乏しいと思われることが多いよう
> ですね。
資料が残りにくい遊牧世界に輪をかけて資料が残りにくそう・・・。
> 日本史だと網野さんとか村井章介さんがたくさん本を出して、なんだか天下をとっ
> てるように見えますが、実際は、海上交易や対外関係史の院生は就職がなくてとて
> も苦労してます。未だに個別荘園・地方文書研究の人のほうがあっさり就職してし
> まう状況です。高良倉吉氏着任前の琉球大学の日本史研究室では、琉球史を卒論に
> することが許されなかったという話があるくらいです。
やっぱり個々の荘園を自給自足的世界として捉えようとする傾向が強いんで
しょうか。網野さんがあれだけ声を大にして叫ばなければならないのは、それ
だけ抵抗勢力が強いからこそなんでしょうね。
> マルキシズムにとって不幸だったのは、下手にソ連とか社会主義諸国なんてもんが
> できてしまったので、マルクス史学やマルクス経済学を政治と分離することがとっ
> ても困難になってしまったことだと思います(まぁ、信奉する側もそういう方向を
> 目指してたわけだが(^^;))。
何よりも即効性のある処方箋としての役割が期待されてしまった感じですよ
ね。
> 今から見れば、一つには史料に残り難いんですよね、そういう「当たり前」のこと
> は。もちろん主因は具体論よりも構造や階級分化の程度の解明を優先してたことで
> すが。この辺に切り込んだのが社会史の功績でしょうね。
日本列島では米がずっと主穀・主食だったなんて話は、地方でお年寄相手にフィー
ルドワークしてみれば一発で崩れちゃうんだけどね。
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09324 RXU06501 HASU RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/27 20:48 09321へのコメント
9321へのレス
村山 茂樹 さん、皆さん こんにちは。HASUです。
》 ニワトリが先か、卵が先かはわかりませんが、「つくる会」の世界史観が
》「ユーラシア」な人と「海洋」な人の抱きこみと深い因縁があるのは間違いな
》いと思います。
これは賛同人の中でも立場が分かれるでしょうね。西尾寛治氏などコアな人は従来
からの考えがあるでしょうから、それに親和的要素がある人に「反自虐」をキーワ
ードにして接近したというのが近そうですね。「自衛戦争」ではなく「”反”自虐」
を旗印にした点がポイントと思えます。
》 本音の部分で相対化していることこそが成熟につながると私は思うんですが
「成熟」の内容を突っ込んで聞かなかったので詳細は不明ですが、アセアンが加盟
諸国家の「国民国家化とその強化」を相互援助する組織であることから見ても、リ
ークアンユーなんかがやってることを――過渡期的措置とはいえ――認める路線な
んではないかと思われます。相対化しても国が空中分解しない程度までは至ってな
い、という判断でしょう。
》 資料が残りにくい遊牧世界に輪をかけて資料が残りにくそう・・・。
まっ、これは歴史家がほしい情報が載っていないのが史料である、という普遍の真
理(^^;)からみても仕方がないでしょう。だからこそ面白いという面もありますし。
》 やっぱり個々の荘園を自給自足的世界として捉えようとする傾向が強いんで
》しょうか。
さすがにそこまで遅れてないと思います。詳しくは知りませんが。
個別荘園(江戸期なら個別の村)の文書を研究すること自体はいまでもそれなりに
意味があると思いますが、なんというか、あんまり視野が広くないように思えるん
です。
無論、史料・研究の密度が全然違うので、そういうことに興味を余り抱かないのは
分からないでもありません。なんというか、目の前の個別の問題についてだけでも
圧倒的な史料と研究の山に埋もれて抜け出せない、そういう印象を受けます。史料
が多いのもいいことばかりではないようです。こちらも日本史研究は全体として実
証のレベルは凄く高いので、できるだけ参照しようと努力はしてるのですが、個別
論文まではとても追いつかない。
あとは、特に地方大学だと郷土史編纂関連の仕事が要請されますから、そういう研
究をやらざるを得ないという面もあります。そちらの仕事ではアジア史・世界史的
視点はあまり求められないでしょうから。
》網野さんがあれだけ声を大にして叫ばなければならないのは、それ
》だけ抵抗勢力が強いからこそなんでしょうね。
まぁ、書き方がエキセントリックなんで、無用の反発をかったという面はあります
ね。例えば「中世が終わると世界が終わる」みたいな書き方は(^^;)。しかし、杉
山さんもそうですが、そういう書き方をしたからこそ、世間の注目を浴びたわけで、
なんというか、痛し痒し。
》 日本列島では米がずっと主穀・主食だったなんて話は、地方でお年寄相手にフィー
》ルドワークしてみれば一発で崩れちゃうんだけどね。
今考えるとそうなのですが、かつてそういうことを歴史学の場で主張しても「口述
資料は資料的価値が劣る・信用できない」といわれて無視されてしまった可能性が
高いと思われます。
◎ HASU 拝
◎ 01/08/25(土)☆03:31☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09327 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/28 14:57 09324へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
> これは賛同人の中でも立場が分かれるでしょうね。西尾寛治氏などコアな人は従来
> からの考えがあるでしょうから、それに親和的要素がある人に「反自虐」をキーワ
> ードにして接近したというのが近そうですね。「自衛戦争」ではなく「”反”自虐」
> を旗印にした点がポイントと思えます。
「つくる会」の教科書は「保守」の中にも批判があるわけで、例えばやたら
と日本美術を地中海・西欧美術と引き比べて「○○に匹敵する」と言いたがる
のが西欧に対する劣等感丸出しの潜在的「自虐」だと指摘する向きもあります
ね。「”反”自虐」よりも、「”反”マルキシズム的発展段階史観」のキーワ
ードが強いかもしれませんね。
> 「成熟」の内容を突っ込んで聞かなかったので詳細は不明ですが、アセアンが加盟
> 諸国家の「国民国家化とその強化」を相互援助する組織であることから見ても、リ
> ークアンユーなんかがやってることを――過渡期的措置とはいえ――認める路線な
> んではないかと思われます。相対化しても国が空中分解しない程度までは至ってな
> い、という判断でしょう。
戦前社会で、国家運営エリート層が「相対化」の視点を失った結果として破滅をも
たらした事を考えると、こういう「運営者層」までがなし崩し的に「空気」「雰囲気」
に飲み込まれてしまうメカニズムの解明とそれに対抗する措置の開発を行わずにアセ
アン的成熟を目指すのは危険だと思います。
> 》 日本列島では米がずっと主穀・主食だったなんて話は、地方でお年寄相手にフィ
ー
> 》ルドワークしてみれば一発で崩れちゃうんだけどね。
>
> 今考えるとそうなのですが、かつてそういうことを歴史学の場で主張しても「口述
> 資料は資料的価値が劣る・信用できない」といわれて無視されてしまった可能性が
> 高いと思われます。
ここは、ちょっと真剣に議論したいんで、別スレッドを立てる事にします。
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09331 RXU06501 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/29 19:56 09327へのコメント
9327へのレス
村山 茂樹 さん、皆さん こんにちは。HASUです。
えー、実は今回の教科書騒動に関しては「反マルキシズム」というのは私自身はあ
んまし感じてないんです。作る会が攻撃する側にマルキシズムに親和的な人やかつ
てそうだった人が多いのは確かなんですが。どっちの側からにしてもマルキシズム
それ自身は「終わっちゃった漫才ブーム」って合意が感じ取れるんです。批判の槍
玉にあがってる戦後民主主義的な価値観は別にマルキシズムだけに則ったもんでは
ないですし。
》 戦前社会で、国家運営エリート層が「相対化」の視点を失った結果として破滅をも
》たらした事を考えると、こういう「運営者層」までがなし崩し的に「空気」「雰囲気
》」に飲み込まれてしまうメカニズムの解明とそれに対抗する措置の開発を行わずにア
》セアン的成熟を目指すのは危険だと思います。
アセアン諸国の場合、欧米留学経験者を中心に、そのことに気付いてるエリートは
結構いますが、政治的縛りが厳しいので、おいそれとは発言できないようです。学
者でそういうことを言おうとする人は欧米に移住しちゃう人が殆どのようです。
比較的言論が自由なタイでも、例えばタイ人の学者で、アンダーソンが『想像の共
同体』の増補版で大きな影響を受けたといってるトンチャイ・ウィニチャクーンと
いう人がいますが、タイ学者に聞くと彼は欧米の学会で生きてる(実際オーストラ
リアの大学に勤めている)ので、逆にタイ国内のでは影響力はゼロに近いそうです。
まぁ、インドネシアがあんなことになってますし、心の中はどうあれ、国民国家の
相対化なんてことを言える雰囲気ではないでしょう。
◎ HASU 拝
◎ 01/08/29(水)☆17:48☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09333 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/30 09:18 09331へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
> えー、実は今回の教科書騒動に関しては「反マルキシズム」というのは私自身はあ
> んまし感じてないんです。作る会が攻撃する側にマルキシズムに親和的な人やかつ
> てそうだった人が多いのは確かなんですが。どっちの側からにしてもマルキシズム
> それ自身は「終わっちゃった漫才ブーム」って合意が感じ取れるんです。批判の槍
> 玉にあがってる戦後民主主義的な価値観は別にマルキシズムだけに則ったもんでは
> ないですし。
確かにそうかもしれませんね。
あと、ちょっと気になるのは「自由主義史観」グループが社会の表に登場す
るちょっと前くらいから、サピオあたりのああいった傾向の雑誌で「政府に異
議を唱える人間集団の中核は結局のところ社会の中で一定の率で発生する上の
者に反抗したがるやからにすぎない。」という主張が散発的に出始めたんです
よね。あれあれ、と思っていたら「自由主義史観」グループの旗揚げやらなん
やらが始まりまして、あぁ、ここら辺がある種の人間集団の間の共通キーワー
ドになっていて、それが布石だったのかな、と疑っているのです。
ちなみに、今同じような形で共通キーワードとして台頭しつつあるのは「努
力するものが報われる社会」というやつのような気がする。問題はそういった
人間集団の考える「努力」というもののベクトルなんだけど・・・。
> まぁ、インドネシアがあんなことになってますし、心の中はどうあれ、国民国家の
> 相対化なんてことを言える雰囲気ではないでしょう。
インドネシアの場合、軍、警察とそれに連なる人間集団が先行突出して「国
民化」してしまい、ひずみがすごく拡大しちゃったイメージがあるんだけど、
HASUさんはどう思われます?
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09320 RXU06501 HASU RE^2:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/24 05:44 09318へのコメント
9318へのレス
村山 茂樹 さん、皆さん こんにちは。HASUです。こっちは教育関係。また長文に
なってしまった(^^;)。
》で、自然史系専攻の学芸員に古墳発掘させたりするのに何の疑問も持っていない
》役所が多い。
これは噴飯ものですね。最近考古学に理系の人が加わってる意味を誤解してるんだ
ろうか?それとも役所自体がいろんな部門をぐるぐる回るのが普通なので違和感を
持たないのだろうか?
》 この点、教員養成課程でも、学芸員養成過程でも、総論だけで各論養成シス
》テムがないんだよね。
》 教員経験もあるけど、初任者研修でちょっと教科教育の研修もありましたね。
》でも、あんなもんじゃ足らないんじゃないかな。
学習塾なんかだと上意下達で教授法を叩き込むことが比較的容易ですし、教授法の
統一を売りにできる部分もありますが、授業法について比較的独立性の高い学校教
員だと現場にこういうのを導入しようとすると、「管理教育強化」なんて非難され
かねないかもしれませんね。私学だとやってるとこあるのかな?
》 はっきりいって、教員時代の同期(高校理科)の連中、「学生時代の知識の切
》り売りをしているだけで、ちっとも教えるための自己研鑽のゆとりがない。」
》って愚痴ってましたね。かく言う私も教員時代に一番エネルギーと時間を割い
》ていたのは校務分掌の教務の仕事、
実はこの辺、現場を全く知らないこともあって、教員多忙化のメカニズムが全く理
解できないんですよ。塾でバイトしてたときも、(小中の)教員が窒息しそうにな
ってて、生徒もその影響をもろにかぶってるように「感じる」ことはできましたが、
一体何があったのか未だに理解できてません。σ(・・)が中学生だった80年代末に既
に教員って忙しいと思ってましたが、その頃と質が違うんだろうか?
》 日本における「改革」ってしばしばシステムの構造をいじるんじゃなくて、
》個人の資質の問題に責任を持っていってしまう傾向があるような気がするんで
》すよね。ここに一番メスを入れるべきじゃなかろうか。
評価システムが上手く導入・機能しずらいのも同根に思えます。
》 こういう観点から特に構造構築トレーニングとしての質が教育の質に直結す
》る社会科教育、理科教育の教育学自体の見直しが必要だと思います。環境問題
》について社会全体にきちんと構造化したコンセンサスが普及しないのも、ここ
》ら辺の問題ととっても関係が深いと思うんですよね。
理科なんかだと、今から考えると、光合成や酸素呼吸なんかの反応模式図の空欄を
補充する問題なんて全体像を理解するいい問題だと思いますが、当時は単なる穴埋
め暗記問題としか思えてなかったなぁ。暗記の先にいけなかった典型だな(^^;)。
#これは別のユーラシアな先生が常々おっしゃってるんですが、視野とか
#視点とかは紹介はできても教えることはできない。各自で勉強して歴史
#学的センスを磨いてもらわんとどうしようもない、と。
》 階級関係も図式化していたんですが、書いているうちにだんだん階級構造と
》生産様式がフィットしないような違和感に付きまとわれてきまして・・・。で、
》「奴隷」とは何ぞや、「封建領主」とは何ぞや、「貴族」とは、「豪族」とは、と、ど
》んどん既存の用語の実態に疑問をもち始めてしまったんですね。
えっ(^◇^;)、それに気付いたのっていつ頃ですか?もし高校ならかなり突き抜け
た高校生だと思います、少なくともσ(・・)の世代では(^^;)。
現行の教育でも、日本・中国・西欧の封建制の違いを述べよ、なんてのはわりかし
メジャーな設問なわけで、参考書レベルの回答でも、その文章を本当に理解できて
いれば三つの社会についてかなり構造的理解ができていることになると思うんです
が、なかなかそういう方向には行かないらしい。
◎ HASU 拝
◎ 01/08/24(金)☆01:29☆
◎E-mail:RXU06501@nifty.ne.jp
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09322 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/24 10:38 09320へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
> 》で、自然史系専攻の学芸員に古墳発掘させたりするのに何の疑問も持っていない
> 》役所が多い。
>
> これは噴飯ものですね。最近考古学に理系の人が加わってる意味を誤解してるんだ
> ろうか?それとも役所自体がいろんな部門をぐるぐる回るのが普通なので違和感を
> 持たないのだろうか?
ほら、郷土資料館みたいな博物館関連施設がないのに学芸員を置いている市
町村って多いでしょ。あれ、どういうことかっていうと、埋蔵文化財の開発時
の記録発掘要員として教育委員会に考古学の専門家を置いておいて、普段は社
会体育とか公民館行事の下働きとして使っておく。で、開発と抵触する遺跡が
出てきたら記録発掘させて開発できるようお膳立てしてもらうということなん
です。だから、教育委員会関係者には「学芸員=博物館専門職」じゃなくて、
「学芸員=埋蔵文化財処理人」という意識の人が多い。
さらに、弱小自治体では県から3年交代の派遣主事をよこしてもらって社会
教育を仕切ってもらっていることがしばしばあり、自然史系の学芸員でその自
治体で活動している人がいても、「学芸員=埋蔵文化財処理人」という信念で
仕事の枠組みを仕切ろうとしてしまうわけです。
> 実はこの辺、現場を全く知らないこともあって、教員多忙化のメカニズムが全く理
> 解できないんですよ。塾でバイトしてたときも、(小中の)教員が窒息しそうにな
> ってて、生徒もその影響をもろにかぶってるように「感じる」ことはできましたが、
> 一体何があったのか未だに理解できてません。σ(・・)が中学生だった80年代末に既
> に教員って忙しいと思ってましたが、その頃と質が違うんだろうか?
子供をめぐる社会問題が起きるとそのたびに文部省が学校にあれやれこれや
れってメニューを持っていったもんだから、研修やらなんやらで大幅に時間が
取られるようになったのが一つ。
さらに、高校では子供が減って学校の統廃合が目前に迫ってくると、管理職
である校長教頭層が自分の経歴に傷がつくことを恐れて自分の代に勤務先の学
校がつぶされることを防ぐための方策を採るようになることが挙げられます。
そのため、事実上義務化した進学補習、実業高校では資格検定補習が肥大し、
学校が中途半端な予備校もどきになりつつあります。
もう一つ無視できないのは、教職員と事務職員の連携の悪さです。もっと仕
事の分担を事務職員と共同して協力体制をシステム的に組み上げていれば、あ
んなに雑用に振り回されなくていいのにと思うことが教員時代にしばしばあり
ました。
ひょっとしたら私のひとりよがりのカン違いもあるかもしれませんが、だい
たい以上のような現状ではないかと思います。
> #これは別のユーラシアな先生が常々おっしゃってるんですが、視野とか
> #視点とかは紹介はできても教えることはできない。各自で勉強して歴史
> #学的センスを磨いてもらわんとどうしようもない、と。
やっぱり暗記の先にいける人間って、少数派に過ぎないのかな。
> 》 階級関係も図式化していたんですが、書いているうちにだんだん階級構造と
> 》生産様式がフィットしないような違和感に付きまとわれてきまして・・・。で、
> 》「奴隷」とは何ぞや、「封建領主」とは何ぞや、「貴族」とは、「豪族」とは、と、ど
> 》んどん既存の用語の実態に疑問をもち始めてしまったんですね。
>
> えっ(^◇^;)、それに気付いたのっていつ頃ですか?もし高校ならかなり突き抜け
> た高校生だと思います、少なくともσ(・・)の世代では(^^;)。
私が1982年高校入学で、高校の二年生の頃には気がついていましたから、
1983年ぐらいの頃ですね。FREKIWの壁でもちょっと書いたけど、中央公論社の
「世界の歴史」シリーズは、本当に理解していたかどうかは別として、高校三
年の初めくらいまでには読破してました。とにかく高校時代は生物学と歴史学
の本を読みまくってましたから。
> 現行の教育でも、日本・中国・西欧の封建制の違いを述べよ、なんてのはわりかし
> メジャーな設問なわけで、参考書レベルの回答でも、その文章を本当に理解できて
> いれば三つの社会についてかなり構造的理解ができていることになると思うんです
> が、なかなかそういう方向には行かないらしい。
高校世界史の「周の封建制は周王室の一族を諸侯として封ずるものだったが、
西欧の封建制は血縁にかかわらず主従関係を構築した」って説明、何とかして
ほしかったな。周王室と血縁関係にない斉とか杞、宋はどうなるっていうんで
しょうね。むしろ「新設または既存の都市国家への部族的共同体の集団移民」
としての性質をクローズアップすべきなのに。
村山茂樹
- FENV MES(16):※FreeTalk10 居酒屋鳥一 -
#09325 RXU06501 HASU RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/27 20:48 09322へのコメント
9322へのレス
村山 茂樹 さん、皆さん こんにちは。HASUです。
》 さらに、弱小自治体では県から3年交代の派遣主事をよこしてもらって社会
》教育を仕切ってもらっていることがしばしばあり、自然史系の学芸員でその自
》治体で活動している人がいても、「学芸員=埋蔵文化財処理人」という信念で
》仕事の枠組みを仕切ろうとしてしまうわけです。
ううっ(/_;)、日本は先進国の看板を下ろすべきじゃないだろうか...。
まあそれは短絡的としても、そういう体制ならば地域住民の協力を如何に取り付け
ることができるかが中小自治体にとってはもの凄く重要な要素になりますね。
前にどこかで「アマチュアの二極分化」を村山さんが非常に憂いておられた理由は
このあたりに大きなきっかけがあるのでしょうか。
》 子供をめぐる社会問題が起きるとそのたびに文部省が学校にあれやれこれや
》れってメニューを持っていったもんだから、研修やらなんやらで大幅に時間が
》取られるようになったのが一つ。
この「研修やらなんやら」の「なんやら」が曲者ですね。一つ一つは細々とした用
事だったとしても、積もっていくと膨大な手間になり、結局いざ何かやろうとして
もまとまった時間がとれなくて閉塞してしまう。
》 さらに、高校では子供が減って学校の統廃合が目前に迫ってくると、管理職
》である校長教頭層が自分の経歴に傷がつくことを恐れて自分の代に勤務先の学
》校がつぶされることを防ぐための方策を採るようになることが挙げられます。
まんま特殊法人ですね。
》 もう一つ無視できないのは、教職員と事務職員の連携の悪さです。
現場と事務方のずれというのは、いろんなところで言われてるだけに、即効薬がな
いのかもしれませんね。現場から見れば事務方は形式主義で非能率、事務方から見
れば現場は決まりごとを守らないくせに早くしろとばっかり言う。双方の構造を理
解した第三者の査察・評価というのがありえるなら、一つの処方箋になるかもとは
思います。
》 やっぱり暗記の先にいける人間って、少数派に過ぎないのかな。
少なくとも子供達の思考のパターンを基本的に変えるつもりで、教育カリキュラム・
教授法を見直さないといけないと思います。到達目標をどこに置くか、は難しいか
もしれませんが。
》 私が1982年高校入学で、高校の二年生の頃には気がついていましたから、
》1983年ぐらいの頃ですね。FREKIWの壁でもちょっと書いたけど、中央公論社の
》「世界の歴史」シリーズは、本当に理解していたかどうかは別として、高校三
》年の初めくらいまでには読破してました。とにかく高校時代は生物学と歴史学
》の本を読みまくってましたから。
なるほど。σ(・・)は受験戦争の最末期(大学受験者数が史上最高の年)でしたので、
受験のための様々な道具立て(参考書や問題集)が整ってしまい、直接受験に関係
しない一般書・概説書はほんとに読まれなくなってました。ほんとに高校の頃って
な〜んも考えてなかったなぁ(^^;)。
》 高校世界史の「周の封建制は周王室の一族を諸侯として封ずるものだったが、
》西欧の封建制は血縁にかかわらず主従関係を構築した」って説明、何とかして
》ほしかったな。
当時のノートを引っ張り出してきました。周は血縁重視(功臣についても触れては
いる)で西欧は契約的主従関係だ、と書いてますね。なんか参考書引き写しただけ
で深く考えた跡が見られないぞ(笑)
◎ HASU 拝
◎ 01/08/27(月)☆04:52☆
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#09326 SDI00600 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/27 22:00 09325へのコメント
| 》 やっぱり暗記の先にいける人間って、少数派に過ぎないのかな。
|
| 少なくとも子供達の思考のパターンを基本的に変えるつもりで、教育カリ
| キュラム・教授法を見直さないといけないと思います。到達目標をどこに
| 置くか、は難しいかもしれませんが。
んー。話飛ぶかもしれないんだけど。
暗記主体でやる場合、まあ暗記の得意不得意ってのはありますが、基本的に
は到達度(ってなに?)は、かけた手間に比例します。というか、比例するか
のような幻想があります。
また、手間のわりに記憶力に劣るひとは「頭悪い」ひとです。んで、「頭が
悪いのは悪いことだ」という社会合意はきっちりありますから、手間をかけて
も記憶量が他人に負けたひとのことは、あまり思いやる必要がありません(と
いうことになってます)。
そーゆー意味ではなんですか、お勉強が暗記主体のものである限りは、「お
勉強をどのくらいやったのか×暗記がどのくらいお上手だったのか=成績」と
いう公式は成り立つし、これまで成り立ってきた。
んで、この、いわば「努力×才能=評価」という公式で、現代日本は、国民
個々の質を測定してきたんだと思うんですね。
ま、合理的であります。
対して、考えることの方はと。
第一段階として。
で、記憶主体でお勉強させた場合には、「お勉強努力量」と「到達度(だか
らそれってなに?)」とはある程度比例することになっているので(というか
比例する指標を選択したんだと思うんだけどね)、運・不運てのがあんましな
いような気がする。
対して「考える」方は、どっかでブレイクスルーをみつけたやつはどんどん
伸びるけど、ブレイクスルーをみつけそこなったら延々と堂々巡りをしちゃう
んだと思うんですよ。そういう意味で、歩止まりがとっても悪いし、「お勉強
努力量」と「考える能力」とは比例しなくて、ブレイクスルーをみつけること
ができたかどうかで大半決ってしまう。
んで、考えるのもまあ、訓練でそれなりにできるようになったりはするのだ
けれども、そのセオリーが確立されてませんね。まあ、これは鶏が先か卵が先
かみたいな面あるかもしれないけど。
これってばたぶん、これまでの「努力は、報われる」みたいな前提を壊して
しまうことになるわけだから、むずかしいんだろーなーと思う(ほんとは、頭
悪いと、いくら努力しても報われないんだけど)。
第二段階として。
考える能力って、けっこうベクトルがばらんばらんだから、考えるやつを育
てたとしても、そいつがどのように役にたつかわかんないわけです。
これは、社会の側からしたらこわいだろうなあ。実際にはさほど困ったこと
が起きるとも思わないんだが、やっぱ、すげえこわいだろうなあ。
また、「暗記の更に先」まで行けるやつはそこそこいるだろうけど、現状で
はそんなところに行ってしまったらろくな人生が待ってないとゆー問題もある
よーな気がします。
おれはまあ基本的には記憶力ベースで惰性で生きてるだけで、あんましもの
ごとを深く考えないんだけども(当者比)、おれ程度でも「この思考力がある
せいで、おれはかくのごとく不幸になっている」という因果関係が見えたりす
ること、よくあるもんねえ。でもま、反省はしないんだけど。反省しても思考
を停止できるわけじゃねーしさ(藁)。
ま、そんなこんなで、考えることに関して天才のみなさまって、特に日本み
たいなところだと、すんげえ苦労してると思うんだよな。
こんな状況じゃ、よっぽどキレちゃったやつ(ぷっつん、の方)以外は、そ
いつがもしもそこそこ賢ければ「考えない」方にいこうと思うことでしょう。
おれもその方が賢いと思うもんな。
*
つこってなんだなー。
当分の間、日本では、「物語を覚え込ませること」が歴史教育であり続ける
んだろうし、他分野でもあんまし「考えること」「自分で物語を見出すこと」
を目標とした教育はなされないだろうとゆー気がします。
今回の「新しい歴史教科書」云々も、それに対する批判の嵐も、実はその線
上での闘いに過ぎないような気がする。
いつものことではあるのだが。
おれは、まず、片方の陣営が嫌いだ(今回は、とりあえず、「新しい歴史教
科書うんぬんの会」の方)。しかし、その対立陣営の方だって、よくよく考え
てみれば、やっぱし嫌いだ。少なくとも同じくらいには、おれが嫌ってしかる
べきファクターを持っていると言わざるを得ない。
どっちかの旗色を鮮明にできるのなら、世界はとってもわかりやすく、住み
心地の良いものになるんだろうけどなあ。
*
なんか、「新しい歴史教科書」騒動を眺めていろいろ考えているうちに、ま
たしてもここんところに来てしまいまして、憂鬱になってます。なんかこのパ
ターンってば、ニフティ上で議論したネタだけでも、ずいぶんいろいろあった
よなあ。
たとえば「おれはオウムは嫌いだ。しかしアンチオウムも嫌いだ」なんての
がその典型的なパターンにはまる論争だったよな。「電車内携帯電話是非論争」
なんかも、同様一通でこのパターンに陥ってたよな。
そういえば、オウム論争のとき、おれはオウム真理教は大嫌いだったんだが、
しかしオウム真理教の信者さんとはそれなりに仲良くなってたりして、話もで
きていたんだった。しかし、おれが嫌いなアンチオウムの側とは、ほとんど対
話が成り立たなかった。結果として、おれは「オウムシンパ」呼ばわりされた
わけなんだが。
もしかして、秦さんやら岡田さんやらが「新しい歴史教科書」陣営にはいっ
てしまったプロセスとこれって、似てたりしないだろうか。うーん。面倒にな
り、くじけてしまって、「どこでもいいから、この際、多少なりとも敵対性が
少ない陣営にはいっとくか」とか思ってしまうことって、さほど珍しいことで
はないようにも思うのだよなあ。
うわ。なんか本格的に鬱に陥りそう。おれもそろそろ老年性鬱病にかかって
も不思議はないおとしごろなので注意しなければ。
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#09328 VYL01232 村山 茂樹 RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/28 17:14 09325へのコメント
HASUさん、こんにちは。
村山茂樹です。
> 》 さらに、弱小自治体では県から3年交代の派遣主事をよこしてもらって社会
> 》教育を仕切ってもらっていることがしばしばあり、自然史系の学芸員でその自
> 》治体で活動している人がいても、「学芸員=埋蔵文化財処理人」という信念で
> 》仕事の枠組みを仕切ろうとしてしまうわけです。
>
> ううっ(/_;)、日本は先進国の看板を下ろすべきじゃないだろうか...。
あと、専門職のセクト意識の強さも何とかしてほしいです。狭義の司書の仕
事、狭義の学芸員の仕事にしか関心を示さない司書、学芸員によって、私がか
かわっていた図書館と博物館を統合した社会教育システムを構築するプロジェ
クトは組織崩壊を起こしてしまいました。そのために私は短期間で交代する派
遣主事の配下に回され、郷土資料館も博物館機能を喪失するに至ったのでした。
詳しい話はいずれメールででも。
> まあそれは短絡的としても、そういう体制ならば地域住民の協力を如何に取り付け
> ることができるかが中小自治体にとってはもの凄く重要な要素になりますね。
中小自治体にはほとんど専門的な職員がいません。基本的に中小自治体の職
員はほぼ全員が経理屋さんとして職業訓練を受けた人たちと言っていいんです。
ですから、たまに私のような専門職員が入っても、経理屋さん的な感覚で仕事
の管理をしようとします。そういう体制下で地域住民の協力を取り付ける活動
は非常に大きなエネルギーを消耗する仕事となります。ちなみに、大きな自治
体の職員は経理屋さんと法律屋さんが主流になってきますね。こうした役所の
組織傾向が、役所の仕事に健全なマネジメントが成立しにくい大きな原因にな
っていると思います。経理屋さんが天下を取った企業の末路は雪印に典型的に
見られるとおりです。
> 前にどこかで「アマチュアの二極分化」を村山さんが非常に憂いておられた理由は
> このあたりに大きなきっかけがあるのでしょうか。
むしろ、社会の様々な構成要素の中に良質の知的財産の蓄積が見られても、
最近はそうした要素が周囲から孤立して消失の危機に見舞われているところか
らくる危機感です。
> 》 子供をめぐる社会問題が起きるとそのたびに文部省が学校にあれやれこれや
> 》れってメニューを持っていったもんだから、研修やらなんやらで大幅に時間が
> 》取られるようになったのが一つ。
>
> この「研修やらなんやら」の「なんやら」が曲者ですね。一つ一つは細々とした用
> 事だったとしても、積もっていくと膨大な手間になり、結局いざ何かやろうとして
> もまとまった時間がとれなくて閉塞してしまう。
そう。私の教員時代、ほとんど実験の準備をする時間すらまとまって取れません
でした。
> なるほど。σ(・・)は受験戦争の最末期(大学受験者数が史上最高の年)でしたので、
> 受験のための様々な道具立て(参考書や問題集)が整ってしまい、直接受験に関係
> しない一般書・概説書はほんとに読まれなくなってました。ほんとに高校の頃って
> な〜んも考えてなかったなぁ(^^;)。
私より4〜5歳若いんでしょうか?私の妹の世代かな。それぐらいの年から入学し
てくる学生のタイプが急変したように思ってます。私の妹も受験に直結した参考書
以外はあまり読みたがらなくなってて、すごい違和感を感じたものでした。
> 》 高校世界史の「周の封建制は周王室の一族を諸侯として封ずるものだったが、
> 》西欧の封建制は血縁にかかわらず主従関係を構築した」って説明、何とかして
> 》ほしかったな。
>
> 当時のノートを引っ張り出してきました。周は血縁重視(功臣についても触れては
> いる)で西欧は契約的主従関係だ、と書いてますね。なんか参考書引き写しただけ
> で深く考えた跡が見られないぞ(笑)
ここら辺の構造は、東大の平せさんの「望」や「省」といった呪詛儀式の解明で
俄然面白くなってきましたね。
村山茂樹
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#09315 PDF00363 oki RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/22 11:48 09313へのコメント
こんちは、
どこの教育委員会のコメントだったか忘れましたが、「つくる会」の教科書を選定
しない理由に「押しつけがましい記述が多い」ってのがありましたね。
>この点では反対側の多くも、基本的に「正しい」の内容を巡って対立してるだけな
>ので、おっしゃる通り同じ地平にいると思われます。
この意味からこのコメントをされた教育委員の見識は確かなモノだと思います。
(単に気に障ったからでそんなに立派では無いかも知れないが)
歴史に関しては「事実」は教えても「認識」とか「解釈」まで教えるべきモノかなぁ
私としてはそこまでするのはお節介だとおもいますけどね。
PDF00363@nifty.ne.jp
学童保育@横浜HP!
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#09316 SDI00600 猫が好き♪ RE:【本】昭和史の謎を追う (上)(下)
(16) 01/08/22 13:03 09315へのコメント
あいやえーと。
既存の教科書も十分に「おしつけがましい」と思うんですよ。
ちょっと前に話題にしていた江戸時代再評価関連なんかモロにその影響を受
けてるらしいんだけど(*1)、唯物史観(マルクス主義歴史観)あたりに由来す
る発達段階史観とかは、ちょっとやってらんないです。「人類や社会は、進化
するものだ」という強烈なコンセプトの押し付けでしかないし、そのおしつけ
がましさというのはかーなりのもんだと思うわけです。
*1 江戸時代は、前近代の暗黒時代で、現在のような民主的な考え方などは
存在せず、人々は暗愚な権力者のもとで苦しめられていた、というよう
な感覚があった。これは、唯物史観によれば、「今は、昔よりも、良い
はずである」てことになっていて、「昔」であるところの江戸時代は今
より悪い状態であったはずだということからの帰結らしい。
江戸時代再評価というのは、その考え方は間違っているのではないかと
いう観点からなされているもの。
ただし、もちろん行き過ぎてるひとというのはいて、「江戸時代は、現
在よりも、ずっと良い時代であった」というよーな言い方をしているひ
ととかもいるので注意は必要。
問題なのは、その唯物史観の押し付けは、「比較的、あたりまえのものとし
て受け止められていた」がゆえに、あまり気にしないひとが多い。自由主義史
観の押し付けは、教科書業界にとっては新しいコンセプト(実際はそうでもな
いんだが)なもので、押し付けがましさがクローズアップされちゃう、という
あたりじゃないでしょうか。
そういう意味で、
| どこの教育委員会のコメントだったか忘れましたが、「つくる会」の教科
| 書を選定しない理由に「押しつけがましい記述が多い」ってのがありまし
| たね。
というコメントは、「つくる会」の教科書のおしつけがましさは感じている
のに、それ以外の教科書のおしつけがましさは感じていないように見えて、そ
のあたりでかなり決定的に無自覚で問題の大きい感覚なのではないかという気
がします。
ことさらに「つくる会」の教科書に「おしつけがましさ」を感じているので
あるとするならば、それは、「自分の考えとの隔たりが大きいがゆえに、その
差がおしつけがましさとして感じられている」可能性が高いと思います。
*
現時点で、「押し付けがましくない教科書なんていうものは、ないんだ」と
いうあたりは、確認しておく必要があるんじゃないでしょーか。
つうか、「認識」や「解釈」を全く扱わない方法はないか、非常に労力がか
かる方法なわけです。また「事実」にしたって、その「事実」の選択には「認
識」「解釈」が介入してきてしまうわけで。
そしたら、基本的には「押し付けがましいものなのだ」というのは覚悟して
かからなければならない。
少なくとも、「つくる会の教科書はおしつけがましく、それ以外の教科書は
おしつけがましくない」なんてことは、たぶん、ないだろうと思います。ぼく
にとっては、これまでに接してきた既存の教科書類や、多くの歴史書は、十分
におしつけがましかったし。
どの教科書を選ぶか、あるいはどういう物語を選ぶのかというのは、「どう
せ押し付けられるのならば、どの歴史観でるならばまだ耐えられるのか」とい
うレベルの選択であるように、ぼくには感じられるのです。
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