制度>【本】ウェルカム・人口減少社会
持続的な社会の実現のためには、人口減っていいことでしょ?
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+-00890 2000/12/30 猫が好き♪ 制度>【本】ウェルカム・人口減少社会
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#00890 SDI00600 猫が好き♪ 制度>【本】ウェルカム・人口減少社会
(14) 00/12/30 12:55 00011へのコメント
【タイトル】 ウェルカム・人口減少社会
【サ ブ】
【シリーズ】 文春新書
【著 者】 藤正巌・古川俊之
【発 行】 文芸春秋
【発行年月】 2000/10/20 1刷発行
【ページ数】 203P
【判 型】 新書版
【定 価】 660円+税
【ISBN】 ISBN4-16-660134-2
【種 別】 論述
【分 野】 社会
【目 次】 はじめに
第1章 人口減少社会へのキーワード
第2章 生物寿命モデルと少子化問題
第3章 日本の将来の社会構造はどう変わるか
1 日本の人口減少は不可避
2 人の生と死の秩序
第4章 子どもはなぜ生まれなくなったか
1 出生力が下がった理由
2 先進諸国の出生力
3 日本の出生力低下はなぜ起こったか
第5章 世界最初の人口減少社会・日本の将来
1 日本はいつから人口が減り始めるか
2 世界最初の人口減少社会の意味
第6章 日本の社会変革を妨げていた既得権
1 消費は減るのか
2 貯蓄はどうなるのか
3 土地・家・都市・村の将来
4 高齢市町村のモデルケース
5 社会システムはどう変わるか
6 「国民」から「個人」の時代へ
第7章 成熟社会への羅針盤
終章 「尊敬される国」への選択
【コメント】
毎年元旦前後には、厚生省かどっかの発表案件として「史上最低の出生数」
とかいうようなものが出て、記事がかかってきます。とはいえ、人口多すぎる
んだし、人口が多ければ多いだけ環境への悪影響も起きるんだし、いつまでも
産めよ増やせよ地を満たせとかってやってるわけにもいかねーだろ、とかおれ
は思うわけで、冷ややかに眺めてました。バカじゃねーか。
人口が減少するんだったら、それは歓迎すべきこと。まあ、人口が増えるこ
とを前提に今の社会は設計されているから、社会システムは激変を余儀なくさ
れるだろうと思うわけですが、その過渡期を乗り切る際には痛みを伴うかしれ
ないけど、どっちかっつうと好ましいことだろ、というのがおいらの感覚だっ
たわけです。
ただまーおれそちら方面の専門じゃないし、「人口が減るのは、良いこと」
だとは思っていましたが、あんまし細かいコト考えておらんかった。
で、本書。本書は、日本人人口(*1)は、2001年頃に 1億2600万人あたりで頭
打ちとなり、そこから減少に転じるのではないかと予測しています。でも、何
をどうがんばってもいずれにせよ出生力は伸びないよと断言してますし、社会
システムの切り替えさえちゃんとやればさほどの問題も起こらないよ、とも述
べています。
細かいデータの解析結果までは検証していませんが、まあそこそこ説得力が
あるんではないだろうかと。
*1 日本総人口(日本国籍を持たない国内居住者を含む数字)とは異なりま
す。このあたりはいろんな数字が出てきて、統計処理が苦手だと、多少
しんどい本だったりはしますが。
以下いくつか内容の紹介。
*
まず、「出生力は何をやっても伸びません」について。
これはまあ、本書に指摘されるまでもなくおれが前から思っていたことなん
ですが、年齢別で切った場合、人口構成は「ピラミッド型になるが正しい」と
いう考え方は、間違っているようです。
確かにピラミッド型の人口構成は、ぱっと見た場合、視覚的に、安定して見
える(=^_^;=)。そして、高齢者を支える部分として、広い若年・壮年層がある
ように感じられるわけです。
しかしこれが何を意味しているか。本書から表現を借りると、ピラミッド型
の人口構成というのは、「乳幼児はどんどん死ぬが、小学生も死ねば、中学生、
高校生、大学生も死ぬ。やっと所帯を持った若い層も死ぬし、働き盛りの壮年
も死ぬ。もちろん高齢者も死ぬ」ものなわけです(18ページ)。決してそれ、
望ましいことじゃないよねー、と。
そうではなく、釣り鐘型の人口構成、つまり「いったん生まれた者は、寿命
とされる年限までおおむね生きて、そこでぱったり死ぬ」の方が望ましいので
はないか。現状そうなってきているわけで。
で、子供が死なないとなると、子どもを量産する必要性は落ちる。また、高
学歴社会になれば子どもを育てるのは大変になってきますから、「少なく生ん
で大切に育てる」にシフトするし、出産年齢があがるなどの、出生力にとって
は悪影響となるファクターも出てくる。
結果として、人類の成熟社会の出生力は、再生産レベルの 2(*2)を下回り、
上限でも1.8程度、最低では1.2程度まで落ち、いずれにせよ人口は減少するこ
とになる、と述べています。
なお、現在の人口増加は、第三世界を除き、老齢者が死ななくなったことに
よるもので、子供がたくさん生まれているせいではない、とも指摘しています。
なんか中国あたりでも、分析の結果、そうなるらしい(政策圧力のせいもあっ
て、中国はヘタすりゃ出生力が 1を切るらしいのだった)。
本書の主張としては、釣り鐘型の年齢別人口構成を取るようになった、ある
程度以上の成熟社会では、出生力は 2を切るレベルまでは落ちるものであり、
いずれにせよ人口は減少しはじめる、としています。
言い方を変えると、現在の人口爆発は、「人口増加が当然」だった時代のな
ごりであり、ある意味「トレンドがオーバーシュートしている状態にすぎない」
ということになるでしょうか。特に、日本だと「団塊の世代」とその子どもの
世代に、人口が多い年齢層があり、その影響が大きい(出生力が落ちる前に増
殖してしまった部分が、以前ほど死なないため、その分だけ人口が大きくなっ
ている、ということ。日本における近年の人口増加の主要因はそれだ、という
ことのようです)。
で、「少子化対策」とか言いますけど、これは対策をしてとどめられるよう
なものではないと本書は主張しており、人口の減少を前提とした社会設計をす
るべきだ、という主張につながっていきます。
*2 出生力とは、えーと、簡単に言うと「1組のカップルから生まれる子ど
もの数の平均値」。いろいろ細かい補正があるので、厳密に言うと、微
妙に違います。が、ま、全人口が2人から構成されるカップルを作り、
その1組のカップルが2人の子どもを作れば、(それ以外のファクター
に変化がなければ)人口は減らず安定する、ということになります。
*
で、人口減少に転じた場合に社会はどうなるのか。いろいろとこう、問題が
あるように言われていますが、実はよーく考えるとたいして問題がない、とも
本書は指摘しています。過渡期における梶取りに失敗したら、「たいして問題
がない、とは言えなくなる」とも述べていますが。
こちらもひとつだけ例をあげておきましょう。「少子化が進み、高齢社会に
なると、高齢者サポートのための社会負担が増える」「労働力が減少する」そ
して「社会の活力が失われる」という俗説について。
ざっと、ピラミッド型の年齢構成と、釣り鐘型の年齢構成とを、復習してお
きましょう。こんなふうになります(ざっと、ね)。
なお、このグラフと数字はおいらがいま作ったもので、本書に掲載されたも
のではありません。また、労働人口の区分は左右で異なっています。
ピラミッド・モデル 釣り鐘型モデル
-|90|- -|90|-
-| |- --| |--
--|80|-- a=9 ---|80|--- a=15
--| |-- 5% ----| |---- 8%
---|70|--- -----|70|-----
===| |=== ======| |======
====|60|==== ======|60|======
====| |==== ======| |======
=====|50|===== b=94 ======|50|====== b=96
=====| |===== 49% ======| |====== 52%
======|40|====== ======|40|======
======| |====== ======| |======
=======|30|======= ======|30|======
=======| |======= ------| |------
--------|20|-------- c=88 ------|20|------ c=72
--------| |-------- 46% ------| |------ 39%
---------|10|--------- ------|10|------
---------| |--------- ------| |------
----------| 0|---------- ------| 0|------
a=高齢者人口
b=労働人口
c=若年者人口
※四捨五入していますので、合計は100%になりません。
確かに、釣り鐘型人口構成になると、老齢人口がしめる比率はあがり、老齢
者扶助にかかる負担もあがります。
しかし社会の労働人口が扶養するのは老齢者だけではなく、若年者だって同
じです(その扶養がどういうかたちで行なわれるかには差がありますが)。
釣鐘型人口構成になれば、老齢者扶養の負担は確かに増える。しかし若年者
扶養の負担は減り、従って、労働人口(あるいは労働可能人口)ひとりあたり
の社会的扶養人口は、結果としては「増えない(ないし、たいして増えない)」
ということになるらしい。
また、労働人口はさほど減らないし、減ったとしても現在余剰労働人口化し
ている階層がすでにあるくらいで、労働力不足にはならない、と本書は指摘し
ています。まだ人口減少ははじまっていないが、高齢社会とはなっている欧米
先進国などでも、労働力は余剰化傾向にあり、ワークシェアリングなどが試み
られていることなどからも、「労働力不足」は幻想にすぎないのだ、と。
更に、老齢人口が増えれば消費減退などが起きるという説もあります。確か
に、これまでの老齢車はあまり消費などをしたがらなかったかもしれません。
しかしだ。これから老齢者になるやつらは贅沢三昧して暮らしてきた世代や
ど、そいつらが老齢者になってからといって一気にそれまでの消費志向を改め
たりするもんか、ゆえに老齢化による消費減退は起こらないという指摘には、
ものすげー説得力があります(=^_^;=)。老齢者階層の資金力の問題などは別途
考える必要はありますけど。
*
もちろん、だからといって何もしないでいていいわけではないでしょう。お
いらは「でもわれわれの社会は過渡期を乗り越えるだけの知恵を持っているん
だろうか」という懸念を抱くわけですが、著者らも同様の懸念を抱いているよ
うです。
具体策としては、「世代間の相互扶助システムの見直し」などが提案されて
います。
簡単に噛み砕いて言えば(これが正しいダイジェストになっているかどうか
は不安ですが)、えーと。現在は、子育てなどの世代間扶助は主として家庭内
経済に繰込まれており、社会的扶助とはみなされていません。そのあたりを含
めての見直しを行ない、説明とシステム変更を行う、といった方策が提案され
ている、ような気がします(これだけじゃなくて、ずいぶんいろいろ提案があ
り、まあ、一概には言えないんですけど)。
このあたりの社会システムの組み替えをするならば、高齢社会化や少子化は
別段深刻な問題とはならない。この組み替えがうまくいかないならば、それら
は重大な問題となるだろう。
言い方を変えると、もし問題が起きるとすれば、それは「高齢社会化や少子
化による問題ではない。それは、われわれが社会を時代の流れに応じたデザイ
ンにしていくことができないことに起因する問題なんだ」ということになるで
しょうか。
しごくごもっとも、という感じです。
*
人口の増加を前提とした社会システムは、環境的側面からも、早いところ一
度ぶっこわさなければならないだろうと思います。本書が言うことが正しく、
いずれにせよ人口の減少をとどめることができないのであれば、「早めに人口
の減少を前提とした社会システムに変更してソフトランディングする」という
選択肢と、「いつまでも人口増加をあてにした社会システムにしがみつき、減
少に直面してからハードランディングする」という選択肢と2つしかありませ
ん。個人的には前者を選べないものか、と思います。
ただこれ、基本的には、民度と政治の問題なんだよなあ。いつもここに行き
着いてしまう、深刻な問題なんですけどね。悩みは深いよなあ。
*
なお、本書ですが、おおむね人口問題については、わかりやすく説得力もあ
る本なんですが、著者の筆がすべったと思われる部分や、人口問題とは無関係
な著者の思想がかいま見える部分などもあり、そこらへんはいまいち釈然とし
ないものが多々ありました(=^_^;=)。われながら重箱の隅をつついているなあ
とか思うのですが。
たとえば。
(37ページ)
| 個体数から見て大繁栄した生物種は、ヒト以外にも、乱獲される前のク
| ジラ類をはじめたくさんある。一見、少子現象らしきものが見出されても、
| 原因は他にある場合が多い。シロナガスクジラは捕獲禁止になっても個体
| 数が増えない。もはやヒトに捕獲される危険性はないから少子で良いと考
| えるはずがない。クジラ資源の保護の結果、オキアミを餌とする競合者が
| 増えて、シロナガスクジラの増加につながらない因果関係が疑われている。
そんな話を信じてるやつは、東京港の豊洲埠頭のごく一部を除けば、世界中
どこさがしたっていないってばさ(=^_^;=)。
【紹 介】 猫が好き♪(PEH01124@nifty.ne.jp, nekosuki@jca.apc.org)
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(14) 00/12/30 20:45 00890へのコメント
失礼。術語のとっちらかりを発見。訂正しときます。
出生力の数値指標であるところの数字の呼び方は、出生率。この手の統計で
は「合計特殊出生率」という指標が多用されており、確かこれは単純に親の数
と生まれた子どもの数だけから計算できるものではなくて、もっとややこしい
計算が必要な数字だったと記憶していますが、おおまかなところでは「*2」の
解説のままで良い。
おいらは厳密な計算方法あたりは知らないし、この本を理解するために厳密
な計算方法まで熟知している必要はないので、これ以上踏み込むのはパスさし
てください。
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