よくわかる自動車排ガス講座、完結
自動車の排ガス問題、現状を改めて再確認してみよう。

・自然環境フォーラム電子会議に登録された発言を、自然環境フォーラムが整形したものです。

・Interwayのボタンをクリックすると、@niftyのInterway経由でログインし、そのリストの先頭
 発言に移動します(@niftyのIDが必要→いいわけ)。転載以降の議論の状況をお知りになりた
 い場合などにご利用ください。なお、時間が経つと、このリンクは切れる場合があります。

- FENV  MES(15):●自然と環境  未来への海図25・北極海 - 
+-282  2000/06/07  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その0
  +-284  2000/06/07  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  | +-289  2000/06/07  さわ           RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  |   +-290  2000/06/08  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  |   +-292  2000/06/08  猫が好き♪     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  |   +-293  2000/06/08  さわ           RE^2:交通>よくわかる自動車排ガス講座そ
  +-288  2000/06/07  さわ           RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その
  | +-291  2000/06/08  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その
  +-299  2000/06/09  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その2
  +-327  2000/06/16  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その3
  +-351  2000/06/21  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その4
  +-389  2000/06/28  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その5
  | +-390  2000/06/29  ZERRY          RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その5
  |   +-392  2000/06/29  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その5
  +-409  2000/07/04  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その6
  +-415  2000/07/08  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その
  +-421  2000/07/12  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その8
  +-452  2000/07/22  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  | +-462  2000/07/23  石塚  知二     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  |   +-463  2000/07/23  猫が好き♪     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  |     +-464  2000/07/23  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  |     | +-465  2000/07/23  猫が好き♪     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  |     +-470  2000/07/24  石塚  知二     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  |       +-473  2000/07/25  猫が好き♪     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  |         +-474  2000/07/25  石塚  知二     RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9
  +-491  2000/08/04  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その10
  +-550  2000/08/15  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その11
  +-594  2000/08/26  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その
  +-657  2000/09/07  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その13
  | +-673  2000/09/13  鈴木將之       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  | | +-681  2000/09/14  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  | |   +-693  2000/09/18  鈴木將之       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
  | +-688  2000/09/18  くわがた       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その
  |   +-689  2000/09/18  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その
  +-690  2000/09/18  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その14
  +-709  2000/09/24  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その15
  +-715  2000/09/26  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その16
  +-727  2000/09/27  安藤  眞       交通>よくわかる自動車排ガス講座その17
    +-735  2000/09/30  ゴン           RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
      +-736  2000/09/30  しき           RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
      | +-739  2000/09/30  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1
      +-738  2000/09/30  安藤  眞       RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1


- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #282 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その0 (15) 00/06/07 02:39 008へのコメント みなさん、こんにちは(^^)/。 「北極海」でもたびたび話題になっている自動車排ガス問題ですが、なかなか 複雑でわかりにくいですよね(^^;。  そこで、自動車排ガスに関する基本的な知識を共有するために、「よくわか る自動車排ガス講座」を開講いたします。できるだけわかりやすく展開するつ もりですが、わかりにくいときは遠慮なく突っ込んでくださって結構です。そ れから、識者のかたで間違いに気づいたかたがいらっしゃいましたら、どしど しご指摘をお願いいたしますm(__)m。  だいたい週に2回ぐらいのペースになると思いますが、仕事の入り具合によ っては間があくかも知れません(^^;。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #284 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/06/07 03:23 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  さっそく、第一回の講義を始めますm(__)m。  排ガスにどんなものが出てくるかを考えたとき、「どんなものを入れたのか」 というのを押さえておくと、理解しやすいのですね。例えば(お食事中の人は、 読み飛ばしてください(^^;)スイカをタネごと食べたら、雲古にスイカのタネ が出てきますが、食ってもいない夏みかんのタネは出てこないわけですね(^^;。  というわけで、まずは内燃機関(機関の中で燃料を燃やすもので、ガソリン エンジンもディーゼルエンジンもこの仲間です)の燃料についてお話ししまし ょう。  ガソリンにしても軽油にしても、元は「原油」です。原油を温めて、蒸発さ せていろいろな成分を取り出すわけですが、30〜180℃で蒸発して出てくるの がガソリン(の他に、プラスチックの原料となるナフサ)で、240〜350℃で出 てくるのを軽油と呼んでいます。  で、原油が何からできているかというと、主成分は炭素(C)と水素(H) なんですね。ですから、原油から作る化石燃料のことを「炭化水素系燃料」な んて言ったりします(ちなみにメタノールは、炭素と水素の他に酸素も含まれ ているので「含酸素系燃料」と呼びます)。  そんなわけで、ガソリンにせよ軽油にせよ、主成分はCとHです。それじゃ 化学式はどうなるのかというと、例えば水の場合は「H2O」と書けるわけで すが、化石燃料の場合、いろいろな炭化水素化合物が混ざり合っていて、単一 の物質ではないので、化学式は書けないのです。  でも、排ガス問題を考えるに当たっては、「ガソリンも軽油も、炭素(C) と水素(H)が主成分」というのだけ押さえておけばOKです。  そのほかに不純物も若干、含まれるわけですが、排ガスに影響を及ぼすもの として、はっきりわかっているのが硫黄(S)ですね。硫黄は比較的重いので、 ガソリンよりもより高温にならないと分留できない軽油のほうに、多く残る傾 向にあります。  で、みなさんご存じの通り、酸素(O)がなければものは燃えないわけです。 ですから、エンジンの中で燃料を燃やすためには、燃料以外にも酸素が必要な わけですね。 「ものが燃える」というのは、化学的には「酸素と化合する」という状態に含 まれます。その中で、数時間から数日単位のものを「錆」、数秒単位のものを 「燃焼」、1秒以下(?)の短時間で起こるものを「爆発」と呼んでいますが、 どれも「酸化反応」というくくりで見ると、同じことなんですね。  では、燃焼に必要な酸素をどこから持ってくるかと言えば、空気を使うのが、 いちばん便利なわけです。  空気というのは、約21%の酸素(O)と、約78%の窒素(N)、それに、約 1%の微量元素でできています。ものを燃やすには酸素だけあれば十分なので すが、お手軽な空気を使うと、78%もの窒素が余計にくっついて来ちゃうんで すね(ここ、重要です。試験に出ますよ(^^;)。  そんなわけで、ガソリンエンジンにせよディーゼルエンジンにせよ、「空気 を吸い込んで炭化水素を燃やしている」ということについては同じなんです。 つまり、エンジンの中に入っていくのは、炭素(C)と水素(H)と酸素(O) と窒素(N)と硫黄(S)であり、雲古……、いや(^^;、排ガスとなるのは、 これらが形を変えたものということです。  以上、第一回目の講義を終わりますm(__)m。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #289 PXU01660 さわ RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/06/07 22:37 284へのコメント  こん**は、さわです。  で、早速で、しかも本題と外れている質問なので後回しにして頂いて結構な のですが、【ナフサ】ってーのが良くわからないんです。  重質ナフサは石油加工品原料となり、軽質ナフサはガソリンの原料になると 言う解説もあるし、ナフサ=ガソリンと言い張る人もいるし、ナフサ=燃料ガ ソリン以外の加工用ガソリンと言う人もいるし、ナフサ=軽質油の添加剤(重 質油に添加して軽質油並みの性能を持たせる)と言う人もいます。  どれも正しいと思うのですが (^^; 例えば日本工業規格などで分類できる ものでしょうか?単に引火点や発火点で区別出来そうにもない内容に思えます し、内燃機の解説においては【ドーデも良いこと】だとは思うのですが、釈然 としないんです。  一般市民が「ナフサ」を買うことは無いと思うのですが、ナフサって売って るのですか?  化石燃料のうち「軽質軽油」「白ガソリン」「ナフサ」は、ボクにとって3 大疑問なんですよ (^^; ご存知の方がいらっしゃればご教授頂けると幸いで す。(何も出ませんが (^^;;;)  取り戻そう きれいな浜辺 PXU01660 さわ
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #290 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/06/08 01:07 289へのコメント nifty:FENV/MES/15/289 へのコメントです。 さわ さん、こんにちは(^^)。  忘れないうちにお答えしておきましょう。  「わかりません(^^;」  ぼくはクルマは専門なんですけれど、油の知識はそれほど豊富じゃないんで すね(^^;。ですから「ナフサ=プラスチックや発泡スチロールの原料」という くらいの認識しかありませんm(__)m。  石油連盟発行の「石油のQ&A」というパンフによりますと、「ナフサは粗 製ガソリンとも言われ、石油化学製品の原料、肥料の原料、都市ガス原料、発 電用燃料として使用されます」ってことです。JISで分類という話は書いて ありませんので、無いんじゃないかと思います。  で、実はどうも、原油から分留されるものの分類って、けっこういい加減の ようなんですよね(^^;。  例えば灯油の分留温度は170℃〜250℃ですが、軽油のそれは240℃ 〜350℃と、10℃のラップがあります(^^;。つまり240℃〜250℃で 分留した分については、需要に合わせて「灯油」として出荷したり「軽油」と して出荷したりしても反則ではなく、実際に、そういうことが行われているん だそうです。 > 化石燃料のうち「軽質軽油」「白ガソリン」「ナフサ」は、ボクにとって3 >大疑問なんですよ (^^; ご存知の方がいらっしゃればご教授頂けると幸いで >す。(何も出ませんが (^^;;;)  軽質軽油というのは「灯油に近い軽油」ということのようです。 白ガソリ ンは「改質工程前のガソリン」ということですから、粗製ガソリン、すなわち ナフサと呼んでも差し支えないようです。  石油連盟(03-3279-3816)に電話すれば、パンフレットを送ってくれると思 いますよ。ちなみにぼくが持っているのは1993年12月発行(古いぞ(^^;)                         安藤 眞(Ando Makoto)        @子守歌の里・五木の村おこしを勝手に応援するよそもんの会
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #292 SDI00600 猫が好き♪ RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/06/08 01:21 289へのコメント  豆知識。白ガソリンですが。正確な知識じゃなくて経験的知識ですが。  普通の自動車燃料のガソリンは、いろいろ添加物がはいっていて、んで着色 されてもいます。薄く赤い色になっているのですね。対して「白ガソリン」と いうのは、着色前のもので、自動車燃料用としての添加物がまだ加えられてい ないものだと認識しております。  以前は自動車燃料用のガソリンは有鉛ガソリンでした。んで、有鉛ガソリン を素手で洗浄用などに使うと鉛が体に吸収されてしまい、へたをするとその場 で重大な意識障害が起きるというような事例も報告されていました。  ですから、燃料用のガソリンを洗浄用などに使ってはいけないわけで、それ はもっぱら白ガソリンを使うべきだと推奨されていました。  逆に、白ガソリンを燃料用に使うと、オクタン値が低いなどの理由から、エ ンジンにダメージを与える可能性があるともされてました。  なお、白ガソリンは、キャンプ用のガソリンバーナーなどにも使われてたり して、そこそこそのあたりのガソリンスタンドでも入手することができます。  まぁなんつうの。「水道水」と「ミネラルウォーター」みたいな違いだと思 えばいいのではないでしょうか。あるいは「水道水」と「清涼飲料水」くらい の違いはあるかもしれませんが、ま、その程度でしょう。
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #293 PXU01660 さわ RE^2:交通>よくわかる自動車排ガス講座そ (15) 00/06/08 23:24 289へのコメント  こん**は、さわです。 >ナフサ(naphtha) > 石油化学の出発原料。原油を常圧蒸留した際、沸点範囲が30℃から170℃位 >の温度範囲で得られる軽質留分がこれに該当する。蒸留範囲の違いによって >軽質ナフサ、重質ナフサ、この両者を含むフルレンジナフサに大別される。 > これらの留分は揮発油でもあり、粗製ガソリンとも呼ばれる。比重は0.7前 >後。液体。 http://www.jpca.or.jp/ の解説から引用  で、色々調べたところ(なら最初っから聞くなって (^^;;;)必ずしも沸点 で分類できるわけじゃない *1 けど、原油から精製される炭素数 *2 が5 〜12程度までの成分で蒸留される粗製 *3 原油製品を【ナフサ】と分類す ることとして、ボクは定義しました (^^; *1 上記引用では常圧蒸留とありますが、常圧蒸留が普通かどうかわからない  し(減圧すると沸点が低くなるのは理科の時間に習ったはず)、複数資料で  若干の沸点範囲が異なっていました。また、沸点に達しなくても液体などが  蒸発するのは当たり前なので、目安として「20℃〜200℃」と理解しま  した。 *2 化学がめっぽう苦手なボクには巧く説明できないのですが (^^; CO2  などの化学記号に使われる炭素=Cの数です。炭素は手が4本、酸素は手が  2本で「分子」として安定しているので、これじゃ燃焼(酸素と結合)しま  せん。そもそも「酸素と結合すること」=「燃焼」だから、燃え尽きちゃっ  たって物ですね (^^;   水はH2Oですね。水素=Hは手が1本ですから分子として安定している  わけです。   で、ガソリンなど石油類はC=炭素とH=水素で構成される分子の混合物  で、純粋な物の場合「CxHy」(C2H6とか)と呼ばれるのですが、結  構複雑になります。(化学5段階【2】の評価の奴に聞かないように) *3 例えば引火点がガソリンと同じナフサでも、燃料として使うためにはそれ  なりの処理、つまり性状や品質の確保や、税制上の制約があるため【粗製】  でしかないと判断しました。   そもそも「ガソリン」自体もオクタン価(この辺は皆目不明 (^^;)が違  うものが分別されて市販されているので、単純に原油の蒸留物であるものが 「ナフサ」で、蒸留物を調整したものと、調整しなくても性状が確保できる物  が「ガソリン」と理解しました。  ま、猫♪さんの助言のとおり、天然水と水道水程度の違いですね (^^;  内燃機燃料としての規格に沿ったのがガソリン(水道水)で、用途を使用者 に任せるのがナフサ(天然水)でしょう。  (天然=「人にとって良い物」では無い。改めて加工していない程度の意。  天然痘が天然だから良いと言う方の反論は聞きたい (^^; )  取り戻そう きれいな浜辺 PXU01660 さわ
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #288 PXU01660 さわ RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その (15) 00/06/07 22:37 282へのコメント  こん**は、さわです。  あ、どこまで続くのか楽しみです (^^)   安藤さんがこの手のリンク作りが初めてでしたら「深い突込みには取りあえ ずお待ち頂く」と言う戦術を取って頂けると、息切れしないで済むと言うこと をお伝えしておきます。  ご参考になればよいのですが (^^;;;  最近はすっかりご無沙汰していますが、この手のツリー物は大好きなんです よ (^^) 作るのも突っ込むのも (^^;;;  そんなわけで?期待しています (^^) がんばってください (^^)  取り戻そう きれいな浜辺 PXU01660 さわ
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #291 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その (15) 00/06/08 01:07 288へのコメント nifty:FENV/MES/15/288 へのコメントです。 さわ さん、こんにちは(^^)。 > あ、どこまで続くのか楽しみです (^^)   ぎく(^-^;。ぼくは「心配」です(^^;\(--;コラコラ > 安藤さんがこの手のリンク作りが初めてでしたら「深い突込みには取りあえ >ずお待ち頂く」と言う戦術を取って頂けると、息切れしないで済むと言うこと >をお伝えしておきます。 > ご参考になればよいのですが (^^;;;  あ、ありがとうございますm(__)m。  さわさんから深く突っ込まれないように気を付けねば…(^^;。                         安藤 眞(Ando Makoto)        @子守歌の里・五木の村おこしを勝手に応援するよそもんの会
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #299 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その2 (15) 00/06/09 17:33 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  前回は「エンジンにはどんなものが入っていくか」というお話だったので、 第2回目では「エンジンからは、どんなものが出てくるのか」というのを考え てみましょう。  まず、現在「道路運送車両法の保安基準」によって排出量が制限されている 物質と、その特性を一覧表にしました。 〈排出される物質〉 〈性状〉    〈環境や人体への影響〉 CO(一酸化炭素)   気体  一酸化炭素中毒(めまい〜死亡まで)。 HC(炭化水素)    気体  NOxと共存すると、紫外線によって光化                 学反応が起き、光化学オキシダントを生成。                 光化学スモッグを発生させる。 NOx(窒素酸化物)  気体  気道の繊毛運動の低下。ぜん息。HCと共                 存すると、上記理由により光化学スモッグ                 発生。水蒸気に溶けて硝酸となり、酸性雨。 PM(浮遊粒子状物質) 粒子  疫学調査やマウスの実験で、ぜん息やアレ                 ルギー、精子の減少などが指摘されている。  次に、法的規制こそ無いものの、人体や環境に与える影響が指摘されている ものを、一覧表にします。 〈排出される物質〉   〈性状〉    〈環境や人体への影響〉 SOx(硫黄酸化物)  気体  水蒸気に溶けて硫酸となり、酸性雨。 ベンゼン        気体  発ガン性(WHO確認済み)。 ベンツピレン      粒子  発ガン性の疑い。  これ以外にもCO2(二酸化炭素)が排出されますが、これは温室効果ガス であって、大気汚染物質ではありませんし、削減方法も「燃費を良くする」の ひとことで片づいてしまいますから、今回の講座では取り扱わないつもりでお ります。  さて、これらがどういうプロセスで生成されるのかというと、ガソリンエン ジンとディーゼルエンジンでは、プロセスも生成物も若干、異なりますので、 追々やっていくことにいたしますm(__)m。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #327 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その3 (15) 00/06/16 19:51 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  第三回目は、炭化水素燃料が燃焼するプロセスの一般論です。  第一回目に説明しましたとおり「燃える」とは「酸素と化学的に合体する」 ということです。ガソリンや軽油などの炭化水素燃料は、シクロヘキサンとか シクロペンタンなど、いろいろな炭化水素化合物でできているため、化学式で 表すことはできませんが、「炭素と水素でできている」というのは間違いない ので、便宜上、    CnHm (n個の炭素とm個の水素が合わさっている物質)  というふうに扱います。  これが大気中で燃えると、炭素と水素それぞれが酸素とくっついて、二酸化 炭素と水になります。    CnHm + O = CO2(二酸化炭素) + H2O(水蒸気)※  ってことですね。   ※数まで正確に合わせると、    CnHm + O(2n+m/2) = nCO2 + m/2・H2O  CO2は人間も呼吸で吐き出していますし、H2Oは水ですから、人体に有害 ではありません。それじゃどうして、クルマのマフラーからは有害物質が出て くるんでしょう?  上に書いた式は、あくまでも理論上のもので、世の中、得てして理論通りに 行かないものは多いわけで、エンジンの中は金属で仕切られた閉鎖空間ですし、 非常に短い時間で燃焼が行われますから、燃焼も理論通りに行かないんですね。  Cは不完全燃焼すると、CO2(二酸化炭素)になりきれず、CO(一酸化 炭素)で止まってしまいます。酸素と巡り会えなかった燃料CnHmは、中途半 端に分解されたHC(炭化水素)となります。  あれれ、これじゃ、NOx(窒素酸化物)が出て来ないではないですか。と 思ったら、酸素はエンジンに吸い込まれるときに、78%の窒素を余計に連れて くるんですね。  中学校あたりの理科では、「窒素は不活性ガスで、他の物質とは化合しない」 と教わります(よね?>左巻さん)。だから、乾パンやお煎餅が変質してしま わないように、缶や袋に窒素ガスを封入したりします。  ところがこの窒素も、高温になると様子が変わってきます。千℃を超えると 窒素も活性化し、酸素とくっついてNO(一酸化窒素)になっちゃうんですね。 NOはマフラーから大気中に放出されると、さらに安定しようとしてNO2 (二酸化窒素)となります。で、NOやらNO2をまとめて「NOx」と呼ん でいるわけです。  SOxは、燃料中の硫黄(S)が燃焼することによって発生します。現在の JISの品質基準では、SOx含有量はガソリンで0.01%、軽油で0.0 5%以下と決められています(※)。  ※:どちらも重量比です。以前「ガソリンは検出限界以下だったんじゃな    いか?」って書いちゃったことがありますが、こちらが正解です。特石    法施行時にJIS化されていました。ゴメンm(__)m。  一般論としては、大体こんなところです。「PMはどうなったのだ?」とい う声も聞こえてきそうですけれど(^^;、次回からは、ガソリンエンジンやディ ーゼルエンジンを個別に、もう少し具体的に見ていきますので、それまでお待 ち下さいませm(__)m。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #351 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その4 (15) 00/06/21 21:45 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  今回からは、ガソリン・ディーゼルを個別に見ていきましょう。まずはガソ リンエンジンからです。但しGDIなどのガソリン直噴エンジンはちょっと事 情が違いますので、しばらくは忘れておいてください。  エンジンがどういうしくみで動いているのかということは、免許をお持ちの みなさんなら、教習所で習っているはずだと思います。「忘れちゃった」とい う人は、「入り口と出口が別々にある注射器の中で燃料が燃えている」と思っ ていただけたら、だいたいそんなもんです。  注射器のピストンを引っ張ると空気が吸い込まれるのと同じ理由で、エンジ ンもピストンが下がることによって、シリンダーの中に空気を吸い込みます。 通常のガソリンエンジンの場合、吸気管を流れる空気の中に、霧吹きのような 噴射装置でガソリンを霧状にして吹き込み、空気と混ざった状態(混合気と言 います)で、シリンダーの中に吸い込みます。  このときのガソリンと空気の重量比は、ガソリン1に対して空気14.7と、 いつも一定に保たれるのが普通です。この比率は「理論空燃比」と言って、ガ ソリンの中にある炭素と水素すべてが、空気中にある酸素と余すことなく化合 する比率です。ですからこの比率で燃やせば、理論的にはガソリンはすべてC O2とH2Oになるわけです。  エンジンの出力を調整するときは、吸い込む空気の量を調整して行いますが、 空気が減ったら同じ比率でガソリンも減らし、空気とガソリンの比率がいつも 変わらないように調整します。  例えて言うなら、ガソリンエンジンは、いつも同じ濃さの水割りを飲む人で、 早く酔っぱらいたいときは大口を開けてガブガブ飲み、あまり酔っぱらいたく ないときは、口をすぼめてちょぼちょぼと飲むような感じですね。  で、エンジンに吸い込まれた混合気は、反転したピストンに圧縮され、点火 プラグに火花を飛ばすことによって着火して、プラグを中心に周辺に燃え広が っていきます。  さて、ここで理論的には、ガソリンはすべてCO2とH2Oになるはずなので すが、実際にはCO・HC・NOxが発生してしまいます。どうしてそうなる のかを、少し詳しく見てみましょう。  吸気管を流れる空気にガソリンを噴射したとき、すべてが均一に混じり合え ばいいのですが、なかなかそうはいきません。吸気管の反対側の壁に付着して しまったり、蒸発しきれないままシリンダー内に吸い込まれる量がわずかなが らあります。これが燃え切らずに、HCやCOになるわけです。  また、プラグを中心に燃え広がった炎も、燃焼室内にうまく渦ができていな かったり、シリンダー壁が冷えていたりすると、混合気の末端に達する前に消 えてしまうことがあります。そうなると燃え切れなかった混合気は、HCとな って排出されます。  そして、計算上は理論空燃比で燃料を噴射しますから、燃え切らない燃料が あれば必ず酸素が余り、1000℃を越える燃焼室の中では窒素が活性化して、 余った酸素と化合してしまい、NOxが生成されるのです。  というわけで、ガソリンエンジンの中でもCOやHCやNOxは発生してい て、その濃度はむしろディーゼルエンジンより高い位なのですが、なぜか排気 管から出てくるときにはそこそこきれいになっています。  そのお話は、また次回m(__)m。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #389 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その5 (15) 00/06/28 23:54 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  今回は、ガソリンエンジンの排ガス対策のお話です。  ガソリンエンジンの排ガス浄化装置で最も重要なのは「三元触媒」という装 置です。「三元」とは、白・發・中のこと……ではなく、CO・HC・NOx のことで、これを同時に浄化してしまうから「三元」触媒と呼ばれています。  しくみは簡単で、蜂の巣状にしたステンレスやセラミックに、プラチナやロ ジウムといった貴金属を張り付けてあるだけなのですが、この蜂の巣を排ガス が通過すると、貴金属の触媒作用でNOxからOが切り離されNとOになり、 そのOがCOやHCとくっつくことによって、CO2とH2Oになるわけです。  まあ、三元触媒とは、まちがってくっついてしまったNさんとO君を別れさ せ、本来巡り会うべきだったCさんやHさんとくっつけてやる世話好きのおば さん(おじさんでも可)のような物だと思ってください。  さて、このとき、エンジンに入った混合気は、つねに理論空燃比だというこ とを思い出してください。出てくる排ガスも、間違った組み合わせにはなって いても、HとCとOの数はピッタリあうわけで、これを三元触媒で交通整理す れば、全部CO2とH2Oになるわけですね。  そうはいっても、あっという間に通過していく排ガスの浄化を100%行う のは難しく、だいたい浄化効率は90〜95%というところだそうです。  それから、触媒作用も一種の化学反応ですから、ある程度の温度に達しない と、有効に作用しません。効率が80%を越えるのは、だいたい300℃ぐら いからということですから、エンジンをかけてから1〜2分というのは、ガソ リンエンジンもけっこう汚い排ガスを出しているんですね(これを「コールド スタートエミッション」と言います)。  アイドリング中は排ガスの温度も低いですから、暖機運転をしても触媒の温 度は大して上がりません。ですから暖機運転はだらだらとするよりも、30秒 ぐらいしたらゆっくり走り出して、排ガス温度を上げて触媒を暖めた方が「エ コロジーな運転」ということになります。  また、走り出して触媒の温度が上がった後でも、アイドリングで排ガス温度 が下がると触媒の温度も下がってしまいます。どこで見たデータか忘れちゃっ たのですが(^^;、5分間のアイドリングで低下する触媒の温度と、エンジンを 止めてから10分後の触媒の温度が同じくらいだったということです。  というわけで「触媒の活性を低下させないためにも、アイドリングストップ は有効である」と言うことができるでしょう。ただし「何分以上なら」とは断 言できませんけど(^^;。  三元触媒には「低温で活性が低下する」という欠点の他に、「値段が高い」 という欠点があります。作動原理から言えば、触媒を大きくすれば排ガスはど んどんきれいになっていくのですが、プラチナやロジウムの値段が高いので、 そうそう大きくはできないんですね。また、大きければ熱容量も大きくなりま すから、それだけ活性化も遅くなります。  ガソリンエンジンの排ガス対策は、これ以外にもEGRというのがあるので すが、これはむしろディーゼルの排ガス対策の主役なので、ディーゼルエンジ ンの回でお話しします。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #390 VYZ04645 ZERRY RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その5 (15) 00/06/29 02:07 389へのコメント 安藤さん、どうも、ちょっとわかりづらいところがあるので教えて下さい。 > というわけで「触媒の活性を低下させないためにも、アイドリングストップ >は有効である」と言うことができるでしょう。ただし「何分以上なら」とは断 >言できませんけど(^^;。  アイドリングをしても温度が低下して触媒の効果が下がるから、アイドリングス トップをした方がよろしい、ということなのでしょうか?。                                 ZERRY
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #392 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その5 (15) 00/06/29 09:52 390へのコメント nifty:FENV/MES/15/390 へのコメントです。 あ、ども、ZERRY さん(^^)。  えーとまず、触媒はどこについているのかを書いていませんでしたね(^^;。 触媒は、排気管の途中に付いています。エンジンから出てきた排気ガスをお迎 えして、交通整理して浄化するのが排ガス触媒です。  で、ご質問の件ですが、まず、 「アイドリング時の排ガス温度は、触媒を活性化できるほど熱くはない」  という事実があります。でもって、 1.エンジンが冷えた状態から始動した場合   触媒も冷えているので、アイドリングだけだらだら続けていても、触媒は  活性化しない。さっさと走り出したほうがいい。 2.走り出して触媒が十分に温まった後   長時間のアイドリングによって冷たい排ガスが触媒を通過し続けると、触  媒が冷めて機能が低下してしまう。それより、アイドリングを止めて冷たい  排ガスの流れを止めてしまった方が、触媒が冷める速さは遅くなる。実験し  た結果、アイドリングを5分間続けたときの触媒温度と、アイドリングスト  ップして10分経ったときの触媒温度が同じだった。  ということです。  ですから、 > アイドリングをしても温度が低下して触媒の効果が下がるから、アイドリン >グストップをした方がよろしい、ということなのでしょうか?。          ・・・  「アイドリングをしても」というより   「長時間のアイドリングは、触媒を冷まして効果を低下させる」                ↓   「エンジンを止めてしまった方が、触媒の中に熱がこもって冷めにくい」                ↓ 「だからアイドリングストップには『触媒の効果を低下させない』というメリ  ットもある」  ということです。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #409 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その6 (15) 00/07/04 09:23 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。 今回からは、ディーゼルエンジンのお話に入りましょう。  ガソリンエンジンが、吸気管の中でガソリンと空気を混ぜてから、シリンダ ーの中に吸い込んでいるのに対して、ディーゼルエンジンは、まず空気だけを 吸い込みます。  で、ピストンが下がりきって十分空気を吸い込んだら、排気バルブが閉じて 圧縮行程に入ります。ピストンが上昇して空気が圧縮されると、だんだんと温 度が上がっていき、その温度は300℃ぐらいに達します。  そして、ピストンがいちばん上に達する直前に、シリンダー内に軽油を霧状 にして噴射します。すると、高温に曝された軽油は自然発火し、燃焼が開始さ れます。  ここで、燃焼が進行する様子を、もう少し細かく見てみましょう。  まず、シリンダー内に噴射された軽油の霧は、空気と混じり合いながら燃焼 室(ピストンのてっぺんに作られた窪み)の中を広がっていきます。そして、 燃料の霧の回りに十分に空気を巻き込み、なおかつ自己着火温度に達した部分 から自然発火するわけですが、それは必ず、霧のいちばん外側から発生します。  霧吹きで燃料を噴射している最中に、霧の周りから燃え始めてしまったら、 何が起こるかというと、炎がバリアとなって霧の中には空気が入っていけなく なり、酸欠状態となって、燃料は蒸し焼きにされてしまうわけですね。そして 蒸し焼きになった燃料が炭化して、粒子状物質となるわけです。だからディー ゼルエンジンは、黒煙が発生しやすいんですね。  それからNOxです。  ディーゼルエンジンの場合、エンジンの出力調整は、噴射する燃料の量で行 い、吸入する空気の量は「いつでも吸えるだけ」となります。ガソリンエンジ ンが「いつでも空燃比は変わらない」というのに対し、ディーゼルエンジンの 場合、空燃比は20〜180位の間で変化します。つまり、いつでも理論空燃 比よりもずっと薄い空燃比で燃焼が行われているわけで、いつでも空気過剰、 すなわち、酸素が余っている状態にあるわけです。となると、高温に曝された 窒素が酸素と結合しやすくなって、NOxが発生してしまうわけですね。  で、COとHCはどうなるかといいますと、未燃焼の燃料は、ガス化してH Cになる代わりに粒子状物質になりますし、いつでも酸素過剰の状態なので、 COはすぐにCO2になりますから、ディーゼルエンジンのCOとHCは、ほ とんど問題にされてこなかったわけです。  次回からは、ディーゼルエンジンの排ガス対策のお話に入る予定です。                        安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #415 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その (15) 00/07/08 11:27 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  今回は、ディーゼルエンジンの排ガス対策のお話です。ディーゼル排ガスで は、PM(浮遊粒子状物質)とNOx(窒素酸化物)が問題とされていますの で、それぞれ別々に、対策方法を見ていきましょう。  まず、PMからです。  前回、PMの生成プロセスを説明しましたが、覚えておいででしょうか?  「PMは燃料が蒸し焼きになるから発生する」というヤツですね。  それなら「蒸し焼きにされないようにすればいい」と考えるのが当然で、考 え出されたのが「燃料の噴射圧力を高める」という方法です。  従来の燃料噴射圧力は、だいたい500kg/cm2前後だったのですが、この程 度の噴射圧ですと、噴射量の多い高負荷時(発進・加速・登坂など)には、燃 焼が始まってからも炎のバリアの中に燃料をだらだらと噴射し続けることにな り、PMの発生量が増えてしまいます。  噴射圧を高めると、同じ噴射量でも短時間で噴射を完了することができます。 1500kg/cm2ぐらいまで高めると、燃料の霧が炎のバリアに包まれる前に噴 射を完了することができるようになります。それだけでなく、噴射圧力を高め れば、燃料の霧は微粒子化する上、飛散速度も速くなりますから、空気と混ざ りやすくなり、PMの発生は、目視できないレベルまで下げることができます (※1)。  これが、最近よく言われている「高圧噴射」で、実現するハードウェアとし ては「コモンレール式噴射装置」や「ユニットインジェクタ」などが実用化さ れています。  ちなみにフォルクスワーゲン・ルポTDIは、ユニットインジェクタで18 00kg/cm2の噴射圧を実現しています。  もちろん、噴射圧が高ければ高いほどPM削減効果も高くなるのですが、費 用対効果やポンプ損失対効果を考えると、2000kg/cm2あたりが上限と見ら れています。 「だったらガソリンエンジンのように、吸気管で燃料と空気をよく混ぜてから 吸い込めばいいじゃん」と思われる人もいるかも知れませんが、そうなると自 己着火のタイミングがコントロールできなくなっちゃうんですね。  軽油の場合、圧縮行程に入って自己着火温度に達したら勝手に火がついてし まうわけで、外気温やエンジンの水温によって着火するタイミングがでたらめ になり、ちゃんと回ってくれないのです。ガソリンエンジンは、プラグに火花 を飛ばさない限り着火しない(ことになっている)ため、吸気管内噴射ができ るんですね。     ※1:「じゃ、何のためにDPF(粒子状物質除去フィルター)の開        発をしているのだ」という話もありますが、それは追々説明し        ていく予定です。  さて、PMというのは、主成分が未燃焼の燃料ですから(※2)、これが燃 えると言うことは熱効率が高くなり、燃費が向上します。ならば「めでたし、 めでたし」と言いたいところなのですが、そうならないところが、ディーゼル エンジンの排ガス対策の難しいところなんです(^^;。     ※2:それ以外にも、エンジンオイルの燃えかすもあります。  燃料が良く燃えて、熱効率が高くなると言うことは、それだけ燃焼温度が高 くなることを意味します。ところが、燃焼温度が高くなればなるほど、窒素が 活性化してNOxができやすくなってしまうんですね(^^;。  そんなわけで「PMを出さないように燃料が良く燃えるようにすると、NO xの生成が多くなる」というふうに、PMとNOxの生成量はトレードオフの 関係にあるわけです。  それじゃあ高圧噴射は使い物にならないのかといえば、やはりPM削減効果 の高さは捨てがたいわけなんですが、そうなると当然「それじゃNOxはどー すんだ?」という話になりまして、それは次回にご説明しますm(__)m。                       安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #421 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その8 (15) 00/07/12 14:49 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  今回は、ディーゼルエンジンのNOx対策のお話です。  その3(nifty:FENV/MES/15/327)でご説明したように、NOxは雰囲気温 度が高くなれば高くなるほど発生しやすくなります。  余談になりますが、燃焼式ストーブを使っている調理中の台所のNOx濃度 は、沿道の環境基準を上回ることもあるそうです。また、稲妻が1発飛ぶと、 約5万トンのNOxが発生すると言われています(※1)。   ※1:雷で発生したNOxの場合は、すぐに拡散してしまいますし、      雷自体が数億年前から自然のサイクルに組み込まれているわけ      で、人為的に発生するNOxとは同列に考えることはできませ      ん。以前、雷の例を出して「だからNOxの規制はもういいこ      とにして……」なんて言った東大のセンセイがいらっしゃいま      したが(困ったことにRJCのメンバーだった(^^;)、騙されて      はいけませんよ。  本題に戻りまして、NOxの生成量を抑えるには、燃焼温度が高くならない ようにすれば良いわけです。  で、燃焼温度を抑えるもっともポピュラーな方法が「EGR」です。  EGRとは、Exhaust Gas Recirculation の略で、排ガスの一部をバイパス パイプで吸気管に戻し、ふたたびシリンダーに吸い込ませる方法です。  排ガスは大気より比熱が大きく温まりにくいし、熱を吸収しても膨張する割 合が小さいので、燃焼圧力(=温度)上昇を抑えることができます。加えて、 大気よりも酸素濃度が少ないため、窒素と酸素が化合するのが抑えられるわけ ですね。  ところが酸素濃度を少なくして燃焼の邪魔をするわけですから、PMの発生 量は増えるし、熱効率も低下して、燃費が悪化してしまうわけです。  それじゃEGRは使えないのかといえば、高圧噴射のPM低減効果同様、E GRのNOx低減効果も捨てがたいわけです。そこで、EGRでNOxの生成 を抑えながら、高圧噴射を組み合わせて、PMの発生を抑えつつ燃費の低下も 食い止めるという方法が、4トン車(おおむね7リッター以下)ぐらいまでの クルマで行われているわけです。  ところがそれ以上の大型車になると、EGRはなかなか使いたがらないので すね。長距離を走る大型トラックは、燃費が輸送コストに与える影響が大きい というのも理由のひとつですが、EGRには「エンジンの耐久性が低下する」 という欠点もあるのです。  軽油には、品質基準上、500ppm(※2)まで硫黄分が含まれていて良い ことになっていますが、この硫黄(S)が燃焼してできたSOxが、循環する 過程で水蒸気に溶けて硫酸(H2SO4)となり、シリンダーやピストンをじわ じわと溶かしてしまうんですね。  そんなわけで、燃費が即輸送コストに響く上に、100万kmはオーバーホー ルなしで走らなければ商品にならない大型ディーゼルには、燃費の悪化とエン ジンの耐久性低下を伴うEGRは使いたがらないわけです。   ※2:市場実勢値は350ppm程度らしい。  それなら軽油中の硫黄含有量を減らせばSOxも減り、硫酸腐食も抑えられ るわけで、現在、硫黄含有量を50ppmまで減らすことが検討されていますが、 硫黄を取り除く装置に数千億円単位の設備投資がかかる上に、硫黄には噴射ポ ンプや噴射ノズルを潤滑する作用があるため、なかなか簡単にはいかないよう です。  特に日本が輸入しているアラビア系の原油は、ヨーロッパなどで使われてい る北海原油よりも、そもそもの硫黄含有量が多いため、余計に面倒なんだそう です(^^;。                       安藤 眞(ANDO Makoto)            日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #452 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/22 15:13 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  ちょっと苦戦する仕事がありまして、時間が空いちゃいました(^^;。  それにしても暑いですねぇ。今、36.2℃ですわ@仕事場(@。@;。  さて、今回も、ディーゼルエンジンの排ガス対策の続きです。  これまで「ディーゼルエンジンの排ガス対策は、PMとNOxの発生条件が トレードオフにあるから難しい」という話をしてきましたが、実は両方を改善 する方法もあるのです。それが、ターボチャージャーとインタークーラーです。  ターボチャージャーとは、扇風機の羽根車を、軸を隔てて背中合わせにつな げたような装置です。片方の羽根車は排気管に、もう片方の羽根車は吸気管に つながっていて、排気管側の羽根車に排気ガスをぶつけると羽根車が回りだし、 吸気側の羽根車が風を起こします。その風を利用して、シリンダーに空気を押 し込むことによって、ピストンが下がりきったときの容積以上の空気を押し込 むことが可能になります(これを「過給」と言います)。  空気が余計に入ると言うことは、燃焼噴射量が同じなら酸素過剰率が高くな って、燃料が良く燃えてPMが発生しにくくなります。しかしそうなると、燃 焼温度が上がってNOxが……となりそうなのですが、空気密度が高いという ことは、燃焼によって発生した熱を吸収する物質が多いということになり、温 度上昇はそれほど大きくならないんですね。  ただ、空気は加圧すると発熱しますから、ターボで圧縮した空気を送り込む と吸気温度が上がってしまいます。温度が上がれば膨張して酸素密度が低下し ますし、吸気温度が高ければ、燃焼温度を下げる効果も低くなります。そこで、 ターボで圧縮した空気を冷やす装置が考え出されました。それがインタークー ラーです。  インタークーラーはラジエーターのような形をしていて、中を通る吸気を走 行風や冷却水で冷やす装置です。  そんなわけで、大型トラックより排ガス基準の厳しい乗用車用ディーゼルで は、もはやターボとインタークーラーを採用しないと、排ガス規制をパスする のは不可能な状態にあります。  ターボで空気を送り込めば、排気量以上の空気を利用できますから、実際の 排気量以上にパワーを出すことができます。ということは、要求されるパワー が同じなら、より小さなエンジンで達成可能となり、エンジンは軽く、小さく することができます。 「それじゃ、大型にもターボとインタークーラーを採用すればいいじゃん」と 考えて当然なのですが、ターボには欠点があるのです。  ターボは、排気ガスの力を使って空気を圧縮する装置ですから、排気ガスの 量が少ないアイドリング状態などでは、過給できるほどの回転数では回ってい ません。そこから発進しようとしてアクセルを踏んでも、排ガス量が増えてタ ーボが過給を始めるまでに、1〜2秒の時間を要するわけで、ターボが働き出 すまでは「ただの小排気量エンジン」でしかないわけですね。だから発進性能 が悪くて、嫌われてしまうのです。  それをカバーするために、ギヤの多段化などが行われていて、アメリカあた りの過給機付き大型ディーゼルトラックには15段変速なんていうのもあるの ですが、渋滞の多い日本の道路では、ひっきりなしに変速していなければなら なくなっちゃうのですね(^^;。  乗用車ナンバーにはディーゼルターボが多いのですが、そんなわけで「過給 しなくても十分走る排気量のエンジンにターボを付けている」というのが現状 でして、エンジンは小さくできないし、ターボには普通の鉄の100倍くらい 値段の高い超耐熱合金を使わなければならないので、コスト高になってしまい、 ますます商用車には使いにくくなっているんですね。  ディーゼルには、ターボ&インタークーラーは有効な排ガス対策装置になり うるのですが、ガソリンエンジンとターボチャージャーの組み合わせというの は、使い方を間違えるとろくなことになりません。  次回はそのへんのお話をする予定なのですが、月曜日から1週間ほど留守に しますので、次のアップは早くても8月2日になりますm(__)m。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #462 QYE00420 石塚 知二    RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/23 19:52 452へのコメント 安藤さん、こんにちは。連載楽しみにしております。 》 これまで「ディーゼルエンジンの排ガス対策は、PMとNOxの発生条件が 》トレードオフにあるから難しい」という話をしてきましたが、実は両方を改善 》する方法もあるのです。それが、ターボチャージャーとインタークーラーです。  ほう、これは知りませんでした。出力アップ装置と思ったら、排ガス浄化装置にも なるんですね。しかしコストがかかるとなると、確かに経済要因で選択されるトラッ ク・バスには普及しにくいわけですね。現在大型でインタークーラーターボつきエン ジンというと、いすゞに採用例があるぐらいで、過去にも日産ディーゼルが採用した ぐらいのものですね。  ところでターボエンジンの欠点ですが、トルコンATとのマッチングはどうなんで しょうか。確か千葉の幕張新都心を走る連接バスが、ボルボのインタークーラーター ボ+トルコンATだったはずです。乗った感じでは、大きななりで実にスムーズに走 ります。  しかし特殊な車ではありますが、国内メーカーは結局売れないから作らなかったの でしょうけど、結果的に高価な輸入車で対応せざるを得ないというのも変な話です。 不況で国内市場が縮んでいるわけですし、新たな市場創造を怠ったという意味で、国 内大型メーカー4社が構造不況業種になるのも無理もない気がします。 oo | ̄= ̄| 電車がまいります || ̄ ̄|| 線路境界よりお下がり下さい。Manner up for us! |  ̄ ̄ | |o__o| by 石塚 知二 from Sengawa KEIO-Line QYE00420@nifty.ne.jp / \
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #463 SDI00600 猫が好き♪ RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/23 20:40 462へのコメント |  ところでターボエンジンの欠点ですが、トルコンATとのマッチングは | どうなんでしょうか。  鉄道用だと、ターボチャージャー(*1)+トルコンATの採用例は少なくなかっ たような気がしますが、どうだったでしょうか(=^_^;=)。  まあ、要求される出力特性が異なるつう話はあるでしょうけど、船舶用ほど 異なるわけではなく、技術そのものはどっかになんかあるような気がします。  *1 なぜか鉄道用だとターボチャージャーとは呼ばないで過給機と呼ぶこと    になっているらしい。
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #464 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/23 22:39 463へのコメント nifty:FENV/MES/15/463 へのコメントです。 石塚 知二さん、猫が好き♪ さん、こんにちは(^^)。 出かける前に解答しておきましょう(^^)←忘れる恐れがあるらしい(^^; >出力アップ装置と思ったら、排ガス浄化装置にも >なるんですね。  これから乗用車用の排ガス規制を通そうと思ったら、ターボ+インタークー ラーを使わないと無理ですね。トラックも、そう遠くない将来、そうならざる を得ないんじゃないでしょうか。 >|  ところでターボエンジンの欠点ですが、トルコンATとのマッチングは >| どうなんでしょうか。  ターボラグがトルコンのスリップで誤魔化されるため、MTよりスムーズに 感じるというのが定説です。ただ、ATだと間違いなくMTよりコストは高い し、燃費も悪化しますから、大型トラックに採用するのは難しいでしょうね。 > *1 なぜか鉄道用だとターボチャージャーとは呼ばないで過給機と呼ぶこと >   になっているらしい。  「過給機」は英語で「スーパーチャージャー」でして、何らかの形で自然吸 気よりたくさん空気を押し込む仕掛けは、みんな過給機です。  ですから、ターボチャージャーは「排気タービン式過給機」で、スバルのプ レオなんかに使われているスーパーチャージャーは「ルーツ式過給機」です。                         安藤 眞(Ando Makoto)        @子守歌の里・五木の村おこしを勝手に応援するよそもんの会
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #465 SDI00600 猫が好き♪ RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/23 23:13 464へのコメント  えと。  鉄道車輌用ディーゼルの「過給機」ですが、以前はエンジンの出力で圧縮機 を駆動するタイプのものもありましたが、現在はエンジンの排気でタービンを 駆動するタイプのものが主流であったと記憶しています。  だからま、「ターボチャージャーつきディーゼルエンジン」と言うのが今な ら普通のはずなんですが、なぜか伝統的に「過給機」と呼んでます。間違いで はないんですけどね(ただ、今日見た 181系特集には「ターボチャージャー」 という表現があったような)。
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #470 QYE00420 石塚 知二    RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/24 23:38 463へのコメント 》 鉄道用だと、ターボチャージャー(*1)+トルコンATの採用例は少なくなかっ 》たような気がしますが、どうだったでしょうか(=^_^;=)。  これは1編成中に複数台のエンジンがあって、一番前の運転席から全て制御しなき ゃならない(これを「総括制御」と呼ぶ)(*1)ことから来てますから、技術に要求す るところの違いが大きいように思います。  またその派生で、エンジンで発電機を回して電気を起こし、モーターで駆動する方 法も、早くから実用化されてますね。シリーズハイブリッドは鉄道ではもはや古典に 属する技術だったりします。  けど、シスオペ♪氏がこんな茶々入れして良いんだろうか。 (*1)古い時代のディーゼルやガソリンの内燃動車では、マニュアル車よろしくギア チェンジしてたりしますが、連結運転するときは、各車に運転士を乗せて、電 鈴で合図しながらギアを進めたり落としたりしてたそうです。 oo | ̄= ̄| 電車がまいります || ̄ ̄|| 線路境界よりお下がり下さい。Manner up for us! |  ̄ ̄ | |o__o| by 石塚 知二 from Sengawa KEIO-Line QYE00420@nifty.ne.jp / \
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #473 SDI00600 猫が好き♪ RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/25 02:09 470へのコメント |  またその派生で、エンジンで発電機を回して電気を起こし、モーターで | 駆動する方法も、早くから実用化されてますね。シリーズハイブリッドは | 鉄道ではもはや古典に属する技術だったりします。  いわゆる「電気式」というやつですが、JR貨物の DF200(*1)なんかが久々に 電気式ディーゼル機関車だったはずですが、でも「電気式」と「シリーズハイ ブリッド」とは違うと思いますぅ。  シリーズハイブリッドというからには、電気式制御というだけではなくて、 間に蓄電・放電ができるバッテリがはさまってないと。  *1 エコパワー桃太郎(という、高速貨物牽引用の新鋭電気機関車)なんか    とセットで出てきた、非電化区間用の貨物専用の新鋭ディーセル機関車。    その前はDF50かなんかまで遡り、間がぶち抜けている。パワーのわりに    重くなるという欠点があったため。 |  けど、シスオペ♪氏がこんな茶々入れして良いんだろうか。  自動車会社がノウハウを持ってるかどうかわからないけど、基幹技術はすで に国内にも存在しており、あとは味付けつうかチューニングの分野だけが残っ ているのではないかという指摘ですから、チャチャではありません(苦しいな あ(=^_^;=))。 PS でも鉄ネタでの発展・逸走は、お互いに自粛しよう(=^_^;=)。
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #474 QYE00420 石塚 知二    RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その9 (15) 00/07/25 21:35 473へのコメント 》 いわゆる「電気式」というやつですが、JR貨物の DF200(*1)なんかが久々に 》電気式ディーゼル機関車だったはずですが、でも「電気式」と「シリーズハイ 》ブリッド」とは違うと思いますぅ。 》 シリーズハイブリッドというからには、電気式制御というだけではなくて、 》間に蓄電・放電ができるバッテリがはさまってないと。  確かに仰るとおりです。鉄道の場合はエンジン出力の駆動手段に過ぎないわけで、 制御の容易さと総括制御可能というあたりが狙いですから、そもそも目的が違うわけ ですが(^_^;)。ちなみにトルコンAT相当の奴は「液体式」ですが、ターボ過給を活 かす目的ではないわけで、やはり自動車の場合と事情はかなり異なります。 》 自動車会社がノウハウを持ってるかどうかわからないけど、基幹技術はすで 》に国内にも存在しており、あとは味付けつうかチューニングの分野だけが残っ 》ているのではないかという指摘ですから、チャチャではありません(苦しいな 》あ(=^_^;=))。  基幹技術だけならその通りなんですが、チューニングの問題だけではありません。 基本的に自動車=汎用品→量産効果で低価格、鉄道車両=注文生産品→高価格故に要 求水準が高い、という違いがあります。それだけ自動車の方が価格弾力性が高いわけ で、特に生産財であるトラック・バスの場合は、コストアップ要因となる技術の導入 にユーザーの同意が得にくいという点を指摘しておきます。  例えばトルコンATにしても、本来商用車の方が、ドライバーの負担軽減などのニ ーズがありそうなのに、実際は自家用車で9割も普及しているトルコンATが少数派 に留まっているわけで、運送会社の経営者にしてみれば、ドライバーの負担軽減で儲 けが出るわけじゃないのに、そんなもんにカネかけられるかというのが本音でしょう。 ただでさえ規制緩和で価格競争が激しくなってますし。このことが排ガス対策などの 新技術導入にも大きな障害になってます。  かといって補助金でカバーしようにも、従来ユーザー受けの悪い車を作らずにきた 自動車メーカーの新たな開発投資や生産ライン投資に吸い取られるだけですから、そ れだったら、古い車を改造して排ガス規制をクリアしつつ延命させた方が得という風 にならざるを得ないわけです。  まとめると、メーカーは当面の「売れる車」しか作らず、将来必要になるかもしれ ない開発投資をサボってきたし、ユーザーは規制に安住して将来ビジョンも持たずに きたところで規制緩和で価格競争に巻き込まれ、メーカーの言い値で買う気無しとい うところでしょう。結構深刻です。故にトラック・バスは構造不況のただ中にあると 言えるわけです。 +ーーーーー==+ 「||~|| ̄||~|| ̄|| 出かけよう街から街へ、オムニバス発車です(^^) || |  ̄ | |  ̄@| +ー-○-ーー○ー+ 石塚 知二 from Sengawa KEIO-Line QYE00420@nifty.ne.jp. ↑ フッタは「今回は鉄ネタではない」と主張してるらしい(^_^;;。
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #491 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その10 (15) 00/08/04 12:27 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  1週間の取材から帰ってきたと思ったら、川辺川ダムがらみで建設省との公 開討論やら自民党政調会長代理への申し入れやらでバタバタしておりました。 相変わらず本業がなんなのかわからん状態です(^^;。  さて、ディーゼルターボの話が出たついでに、ちょっと寄り道して、ガソリ ンエンジン+ターボチャージャーの話もしておきましょう。  ガソリンエンジンは、点火プラグに火花を飛ばして混合気に着火しているこ とは、すでに説明しましたが、この「火花を飛ばすタイミング」というのが、 結構重要なのですね。  ピストンがまだ上がってこないうちに点火してしまうと、爆発圧力はピスト ンの上昇を邪魔する方向に働きますし、逆に、ピストンが最高点(「上死点」 と言います)を超えて下がり始めてから点火したのでは、燃焼圧力が最大にな るころにはピストンはどんどん下がっていってしまい、圧力が有効に生かせず に燃費が悪化してしまいます。そんなわけで、ガソリンエンジンの場合、それ ぞれの回転数で爆発圧力が効率よく使えるように、回転数に応じて点火のタイ ミングを変えているわけです(ディーゼルの場合、これは燃料を噴射するタイ ミングになります)。  それをふまえまして……。  ガソリンエンジンの場合、効率を上げるために圧縮比を大きくしたり、パワ ーを出すためにターボで過給して実質的な圧縮比が上がってしまうと、プラグ に火花を飛ばして燃焼が始まったとたんにガソリンが自然発火温度に達してし まい、燃焼室の端のほうから勝手に燃え始めてしまうことがあります。こうし た異常燃焼が発生すると、ディーゼルエンジンのように「カリカリ……」とい う音がします。  これを「ノッキング」と呼んでいるのですが、ノッキングが発生すると、燃 焼速度が異常に速くなったり、部分的に異常に高温になったりして、排気バル ブやピストンを溶かしてしまうことがあるんです。そこで、ノッキングの音を 検出するセンサーをつけておき、ノッキングが発生したら、すかさず点火タイ ミングを遅らせて、ピストンが下がり始めてから燃焼が始まるようにして温度 上昇を抑え、ノッキングを回避しています。  ところがターボで過給しますと、点火タイミングを遅らせるだけではノッキ ングが回避できなくなるので、圧縮したときの雰囲気温度を下げるために、圧 縮比そのものを下げてしまいます。  圧縮比というのは、ピストンが一番下にあるときのシリンダー容積と、いち ばん上に上がったときのそれの比率です。圧縮比を下げると言うことは、自動 的に膨張比が下がることを意味します。膨張比とは、「燃焼圧力をどれだけの 時間、受け止めていられるか」というのと同じですから、膨張比が下がるとエ ンジンの効率が悪化して、燃費が悪くなってしまいます。  そんなわけで最近は、圧縮比をなるべく落とさないで済むように、過給圧を あんまり上げない「ロープレッシャー・ターボ」が流行っているわけです。  さらに、自然吸気よりも小さいエンジンでたくさんの燃料を燃やすわけです から、高負荷時にはエンジンの熱負荷が高くなります。特に高温の排気ガスに 曝される排気バルブがヤバく、下手をすると溶けてしまいます。そこで、燃え ないのを承知で濃いめのガソリンを吹いて、ガソリンの気化熱でエンジンを冷 却する「ガソリン冷却」というのが行われるわけですね。  ガソリンエンジンは理論空燃比で回っていてこそ、三元触媒が働いて排ガス がきれいになりますが、過濃な混合気ではHC(燃料の燃え残り)が大量に発 生し、酸素が足りないので三元触媒でも浄化できずに、計測器の針が振りきれ るほどの濃度で排出されてしまいます。それどころか、気化しきれないほどの 濃度になった場合、浮遊粒子状物質となって排出されるのです。  ガソリン冷却はターボ車に限らず、高出力車では行われることがあります。 高出力のガソリン車で、排気管の内側をさわってススが付くようなクルマは、 ガソリン冷却をしてHCを垂れ流していると考えていいでしょう。  そんなクルマがなぜ排ガス規制をパスできるのかというと、排ガス測定は1 0・15モードで行われるからで、このモードの最大加速度は「停止から時速 20キロに達するまで7秒(※1)」ときわめて遅く、ターボはほとんど仕事 をすることなく、ガソリン冷却の出番もないわけですね。 ※ 1:この加速度(0.79m/s2)だと50m走るのに、11.22秒もかかります。    小学校も高学年になれば、足の速い子は50mを8秒ぐらいで走るでしょ    う。  で、ガソリン車のターボ付きというと軽自動車が多く、ベースエンジンのパ ワーが小さい軽は実走行ではターボの出番も多く、ガソリン冷却の機会も多い ですから、実際に出している排ガスもかなり汚いはずですし、燃費もあんまり 良くないわけで、必ずしも「軽=エコロジー」じゃないのです。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #550 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その11 (15) 00/08/15 18:30 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  世間様はお盆休みだというのに、なんだかちまちました仕事多数に振り回さ れておりまして、月末まで休めそうにない安藤です(T_T)。  さて、今回から、ディーゼルエンジン排ガスの後処理装置のお話に入ってい こうと思います。ディーゼルNOx触媒とか、DPF(ディーゼル パティキ ュレート フィルター)などの、排気管の途中で排ガスを浄化する装置ですね。  ガソリンエンジンの場合、CO・HC・NOxを同時に浄化する「三元触媒」 という装置のおかげで排ガスがきれいになっているというお話を、nifty:FENV /MES/15/389 に書いたのを覚えておいででしょうか? で、「それじゃディー ゼルにも三元触媒を使えばいいじゃない」と考えて当然なのですが、それがで きれがとっくにやっているわけですね(^^;。  じゃ、どうしてディーゼルには三元触媒が使えないかと言いますと、理由は 二つあります。  まず、ディーゼルの燃焼を思い出してください(忘れた人は、nifty:FENV/ MES/15/409 参照)。ディーゼルエンジンは、常に理論空燃比より薄い空燃比 (リーンな状態)で回っています。ということは、排ガス中には、燃焼に使わ れなかった酸素がたっぷり余っていることになります。  ここで問題になるのが「酸素雰囲気中では、NOxは還元(酸化物を酸素と 分離すること)できない」という化学的性質です。触媒によって、NOは一時 的にNとOに分かれるのですが、まわりに酸素がたっぷりある状態では、別の 酸素がすかさずNとくっついて、またNOに戻ってしまうのですね。言ってみ れば、発情期の雌犬のまわりに盛りのついた雄犬がいっぱいいるという上京で しょう(もっと良いたとえはないのかσ(^^;)。  ガソリンエンジンの場合、常に理論空燃比で燃やしていますから、NOから 分離したOは、すかさずCOやHCがさらっていってしまうため、酸化と還元 飯能がバランスして、どちらもうまいこと浄化されているのです。  この問題はディーゼルエンジンだけでなく、GDIなどのガソリン直噴エン ジンも含めたリーンバーンエンジンにも共通する問題です。それじゃ、なんで ガソリン直噴エンジンは問題になっていないのかといえば、それは「NOx吸 蔵触媒」とか「NOx選択還元型触媒」という、眉につばを付けながら話を聞 いたほうがいい装置で、測定値だけは基準をパスしているからなんですね。  NOx吸蔵触媒にしてもNOx選択還元触媒にしても、空燃比の薄い、すな わち排ガス中に酸素がある状態で運転しているときは、NOxを触媒の内部に ひたすら溜め込みます。そして、急加速や高負荷運転で、理論空燃比より濃い (リッチ)状態になったときに、NOxを放出して還元するのです。  ということは、長いことリーンバーンで運転していて触媒がNOxでいっぱ いになると、あとは垂れ流すしかないんですね。さすがにそれじゃヤバいんで、 ある程度リーン運転が続いたら、コンピュータが自動的に燃料を増量してリッ チな空燃比を作り出し、溜まったNOxを還元するわけです。  要するに、せっかくリーンバーンで節約した燃料を、触媒掃除のために浪費 しなければならないんです(^^;。で、触媒の容量を、排ガス測定の走行モード (同時に10・15モード燃費も計測します)程度ではNOx還元のためのリ ッチ制御が行われない程度にしておけば、排ガスもパスするし燃費も良く見せ られるわけですね。  えーと、ディーゼルの話でしたね(^^;。  もうひとつ、ディーゼルエンジンで三元触媒が使えない理由は硫黄です。日 本の品質基準では、軽油中には500ppmまで硫黄分が含まれていて良いこと になっていますが、コイツが悪さをするんですね。  三元触媒は、酸化反応と還元反応を同時に行っています。酸化する物質はC OとHCだけのはずなのですが、高温になると硫黄(S)の酸化が促進されて、 SOxができてしまうんです。それが触媒の金属を破壊してしまうんですね。 これを「触媒被毒」と呼んでいます。  それでも、ディーゼルでも乗用車登録のクルマ(3/5/7ナンバー)には、 酸化反応だけを行う「酸化触媒」という装置が使われるようになりました。何 故かというと、乗用車登録のクルマはトラックに比べて高負荷で使われること が少ないため、SOxの生成が問題になるほど触媒が高温にならないというこ とと、トラックに比べて耐久基準が低いため、何とかなっているのです。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #594 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その (15) 00/08/26 13:41 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  暑くていやになっちゃいますねぇ(@。@;。  今回からは、いよいよDEP(Diesel Emission Particulate = ディーゼ ル排気微粒子)のお話に入りましょう。  ひとくちにDEPと言っても、いろいろな性質や由来や大きさの粒子が存在 します。まずは、その説明から行きましょう。  DEPの成分は、大きく3つに分けられます。ひとつは、目に見える黒煙、 もう一つは、燃料中の硫黄を起源とするサルフェートで、この二つは有機溶剤 に溶けないので「不溶性有機分」と言います。  3つめは、有機溶剤に溶けるSOF(Soluble Organic Fraction =可溶性 有機分)です。  一般的には「燃料の燃えかす」と思われているDEPですが、実は燃料を起 源とするものは、全体の約70%しかありません。残りの約30%は、潤滑油が原 因で発生します。  ピストンとシリンダーの摺動面は、クランクシャフトが跳ね上げたオイルに よって潤滑されていますが、上下動を繰り返すうちに、微量ながら燃焼室内に 入り込んでしまいます。このオイルを起源とするDEPが、約30%あるわけで すね。  潤滑油の燃焼室内への侵入は、燃料の種類や燃焼方式には関係ありませんか ら、ガソリンエンジンからも潤滑油起源のPMは出ているのです。  DEPの中で、目で見ていちばんわかりやすいのが「黒煙」です。コイツの 正体は、文字通りスス(Dry Soot)です。粒径は、5ミクロンから30ミクロン 程度で、10〜15ミクロン程度の成分が、最も多いとされています。  黒煙の生成過程については、nifty:FENV/MES/15/409 に書きましたが、燃 料が蒸し焼きにされてしまうことが大きな原因です。蒸し焼きにされた炭化水 素燃料(HmCn)は、水素だけが燃えてしまい、粒径0.01ミクロン程度 の炭素の微粒子が残ります。それが電車ごっこしてくっつき合い、数ミクロン に成長したのが、ススの正体です。  Dry Soot がDEP中に占める割合は、エンジンによっても違いますが、お おむね50%程度です。そのうち約90%が燃料起源で、残りが潤滑油起源となり ます。  Dry Sootは成分のほとんどが炭素なので、見た目が悪い割には、人体に与え る影響は少ないと考えられています。  2番目のサルフェートは、燃料中の硫黄が酸化して、目に見えるススに成長 しきれなかったDry Sootや水蒸気とくっついて粒子化したものです。粒径は、 Dry Sootより小さく、ほとんどが数ミクロン以下だったと思います(ちゃんと した資料が手もとにありません(^^;)。  対人毒性は、きちんと調べられていないようですが、それ以上に硫酸ミスト に変化して排気管を溶かすほうが重要視されているようです。酸性雨の原因部 室でもありますが、NOxに比べれば寄与率は小さいですし、燃料中の硫黄分 を減らすことによって対応可能ですから、あまり問題にされていないようです ね。  3番目のSOFですが、実はコイツが、対人毒性が最も高いと考えられてい ます。  SOFはDEPの約4割を占めますが、そのうちの約7割が潤滑油起源で、 残りが燃料起源となります。  潤滑油は燃料と違って燃えにくいですから、高温下でも燃えずに蒸発する割 合が多くなります。それが膨張行程で温度が下がったときに、形を変えて粒子 として析出したものがSOFです。つまり「沸点の高い(沸騰しにくい)炭化 水素が粒子化したもの」ということになります。  粒径はサルフェート同様、ほとんどが数ミクロン以下だったと思います(ち ゃんとした資料が手もとにありません(^^;)。  SOFは7割が潤滑油起源なので、ガソリンエンジンでも発生しています。  次回は、これらの物質を除去するための後処理装置のお話に入る予定です。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #657 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その13 (15) 00/09/07 18:48 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  ちょっと忙しくて、間があいてしまいました(^^;。今も実は忙しいんですけ ど、雨で中止になった仕事があったおかげで、突発的に時間ができました。  さて、今回は、DEPを除去する装置として話題になっているDPF (Diesel Particulate Filter)のお話です。  DPFはその名の通り、ディーゼル排ガス微粒子を捕捉するフィルターです。 フィルターの材料にはセラミックが使われるのですが、その使い方によって2 種類に大別できます。  比較的長い間、研究されているのが、セラミックを「かるめ焼き(※)」の ように焼き上げたものをフィルターとして使うタイプです。「かるめ焼き」が わからない人は「セラミックで作ったスポンジ(但し堅い)」を想像していた だけたら、だいたいそんなものです。    ※ :スカスカに穴の空いた砂糖菓子。  この「かるめ焼き」を蜂の巣を長く伸ばしたような形に焼き上げ、蜂の巣の 穴を交互にふさぎます。ここに排ガスを流すと、排ガスは蜂の巣の壁を通り抜 けなければ反対側に出て行けなくなり、通り抜けることのできないDEPが、 ここで濾し取られるわけです(^^)V。(「目封じタイプ」と言います)  浄化効率は90数%に達するのですが、それだけ排気抵抗が大きくなって燃費 が悪化するほか、目詰まりが早いという欠点があります。  もうひとつの方法は、セラミックの繊維でフェルト(不織布)を作り、これ を蛇腹に折り畳んでフィルターにする方法です。これは目封じタイプに比べて 排気抵抗が小さく、目詰まりもしにくいのですが、浄化効率は10〜20%程度劣 ります。いすゞ自動車が、このタイプの開発をしています。  で、どちらのタイプでも目詰まりしちゃったら掃除しなければいけないので すが、東京都バスの試験では数kmに1度は掃除が必要になるという話で、いち いち外して洗うわけにもいかないため、自動目詰まり回復システムを組み込ま なければならないわけですね。  その方法は、大きく3つに分けられますが、いずれも「集まったススを燃や す」という点で共通しています。  ひとつは、フィルターごと電気ヒーターで加熱して燃やす方法です。フィル ターに電熱線を這わせておいて、目詰まりしたら電気を流し、ススを燃やして しまうのです。このシステムの欠点は、電気ヒーターが莫大な電力を消費する ことで、東京都バスの実証実験でも、最初はバッテリーが上がりまくったほか、 フィルターを再生している間は、アイドリングストップができないそうです(^ ^;。  この方式は、いすゞと三菱が開発中です。  ふたつ目は、軽油と圧縮空気をフィルターに噴射して、火炎放射器のように して燃やす方法です。これなら電気は食いませんが、代わりに燃料を食います し、「火炎放射器で発生するNOxはどーすんだよ」という話もあります。 これをやっているのは、日産ディーゼル工業です。    みっつ目は、ひとつ目と同様、電気ヒーターを使うのですが、フィルター上 で燃やすのではなく、目詰まりしたフィルターの反対側から圧縮空気を吹き込 んでススを落とし、下に置いた受け皿に貯めてから燃やします。当然、フィル ターの形状は蜂の巣にはできず、波板状のフィルターを何枚も並べて、その下 にスス収集用の受け皿を置くようなシステムになります(逆洗方式)。  なんでそんなことをするかというと、フィルター上でススを燃やすと、部分 的に温度の高いホットスポットができやすく、フィルターが割れてしまうから なんですね(いすゞはそれを嫌って不織布にしました)。この方法ならフィル ターの損傷は避けられますが、電気を食うのはいっしょです(^^;。ちなみにこ れは、日野自動車です。  フィルターの再生中もクルマは走ってくれないと困るわけですが、そうなる と同じフィルター&再生システムを2系統付けて、代わりばんこに使うか、フ ィルター再生中の排ガスには目をつぶるかのどっちかを選ばなければならず、 いすゞと三菱が前者を、日野と日デが後者の方式をやっています。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #673 BXI10430 鈴木將之 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/13 11:03 657へのコメント こんにちは安藤さん.すずきといいます. よくわかる自動車排ガス講座,興味深く読ませて頂いています. 話題がそれてしまいますが, ちょっと質問させてください. 車の買い替えを考えています. ガソリンかディーゼルかで迷っています. 流行のフレーズでいうならば, どちらが環境にやさしいか?ということです. ディーゼルのほうがガソリンに比べて,悪いといわれていますが, 本当にそうなのでしょうか? 同一車で,エンジンの違い(排気量には違いあり) ガソリンとディーゼルを比べると, ディーゼルのほうが燃費がいい場合があります. この場合,1リットル当りに発生する有害物質は,ガソリンのほうが, ディーゼルより少ないが,1kmを走ったときに発生する有害物質は, ガソリンのほうが多いということは起こらないのでしょうか? すずき
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #681 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/14 08:50 673へのコメント nifty:FENV/MES/15/673 へのコメントです。  鈴木將之 さん、こんにちは(^^)。  コメントありがとうございます。 反響があるというのは嬉しいものですね(*^^*)。 >ディーゼルのほうがガソリンに比べて,悪いといわれていますが, >本当にそうなのでしょうか?  酸化触媒付きのディーゼルなら、COとHCはガソリン車とほとんど変わら ないでしょう。NOxはディーゼルのほうが、現行規制値ベースで1.6倍多い です。  DEP(ディーゼル排気微粒子)は、最新の高圧燃料噴射装置+インターク ーラーターボ+酸化触媒を備えたものであれば、かなり良いレベルになってい ますし、ガソリン車でもGDIなどの直噴は、負荷状態によっては浮遊粒子状 物質を排出しますので、比較するモデルによって評価も変わってくると思いま すが、一般論としては、やはりディーゼルのほうが悪いですね(それが「問題 視しなければならないレベルにあるかどうか」というのは、また別)。 >同一車で,エンジンの違い(排気量には違いあり) >ガソリンとディーゼルを比べると, >ディーゼルのほうが燃費がいい場合があります. 「いい場合がある」というより、ほとんどの場合、実用燃費はディーゼルのほ うがいいですね。ただし、以前どこかに書きましたが(忘れたらしいσ(^^;)、 ガソリンに比べて軽油のほうが、炭素含有量が14%ほど多いですから、CO2 排出量ベースで比べると、ディーゼルはガソリンより14%以上燃費が良くない とうま味はありません。 >この場合,1リットル当りに発生する有害物質は,ガソリンのほうが, >ディーゼルより少ないが,1kmを走ったときに発生する有害物質は, >ガソリンのほうが多いということは起こらないのでしょうか?  日本の乗用車排ガス規制(※)の単位は「g/km」ですから、燃料の消費量に 関わらず、「1km走行あたり排出される重量」となります。   ※:商用車は「g/kwh」  新しいクルマを買われるということですが、「新車である」ということを前 提にすれば、ポイントとなるのは「鈴木さんがどんな交通環境でクルマを走ら せることが多いか」ということになると思います。大気汚染が問題視されてい る地域を良く走るのであれば、直噴でないガソリン車で、カタログに「LEV」 とか「低排ガス車」と謳われているものがよいでしょう。  あ、「LEV」と書いてあっても、ターボ付きだったり、リッターあたり1 00馬力も出しているようなハイパワー車は、急発進や急加速時には排ガスが 汚くなりますので、避ける、あるいは、走り方に気を付けてください。  逆に、大気汚染が問題視されていない郊外でよく使い、年間の走行距離が多 いようであれば、CO2排出量の低減を狙って燃費の良いディーゼルを選ばれ ても問題ないくらいには、ディーゼル乗用車の排ガス性能は良くなっています。                         安藤 眞(Ando Makoto)          @RJC(日本自動車研究者&ジャーナリスト会議会員)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #693 BXI10430 鈴木將之 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/18 18:55 681へのコメント 安藤さん,どうもありがとうございます. 非常に参考になりました. ディーゼルは悪者のようなイメージがあったのですが, どうやらそうともいえないようです. 札幌に住んでいるので,ディーゼル車を検討したいと思います. すずき
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #688 ZVA01750 くわがた RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その (15) 00/09/18 01:44 657へのコメント 安藤 眞 さん こんにちは  そろそろ講座も終わりに近づいて来たようなので、リクエストを書いておき ます。 エンジンが古くなったとき、整備不良、違法改造などについて、ディーゼルと火 花点火エンジンそれぞれの現状と特色など有りましたら、最後に触れていただく とありがたいです。 今浦島の私は、1台で100台分と言われたディーゼル改造車の現状と対策など が気になっています。 くわがた 旧ID(LDM02323)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #689 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その (15) 00/09/18 11:08 688へのコメント nifty:FENV/MES/15/688 へのコメントです。 くわがた さん、こんにちは(^^)。 >エンジンが古くなったとき、整備不良、違法改造などについて、ディーゼルと火 >花点火エンジンそれぞれの現状と特色など有りましたら、最後に触れていただく >とありがたいです。  了解しました。それも含めて、あと3回ぐらいで完結させる予定です。                         安藤 眞(Ando Makoto)                         @RJC
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #690 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その14 (15) 00/09/18 11:08 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  今回はDPFの問題点をお話ししましょう(前回もそうだった鴨(^^;)。  まず、「浄化能力と排気抵抗と目詰まりの早さとフィルターの大きさと再生 時間の長さに一定の相関関係がある」という問題があります。浄化能力を上げ ようとして目の細かいフィルターを使えば排気抵抗が上がり、排気抵抗を下げ るためにフィルター面積を大きくすれば、場所を取る上に再生時間(かエネル ギー)が余計にかかってしまうわけです。  東京都バスの実証実験がどんな状況かというと、おおむね「再生頻度が数km に1回、再生時間が十数分」というあたりのようで、ほとんどひっきりなしに 再生しなければならず、その間、エネルギーを投入しっぱなしということにな り、燃費がどの程度悪化しているのか心配であります(^^;。  システムも大がかりになりますから、乗用車に付けるのは、ほとんど不可能 でしょう。  そうなると「フィルター1系統でススを燃やしながら走るシステムはできな いか?」と考えるのが当然で、フランスのプジョーが「連続再生式トラップ」 というのを開発しておりまして、今年の5月に発売した607というクルマに 搭載してしまいました(量産車世界初です)。  プジョーのシステムは、基本的には目封じタイプなのですが、燃料に酸化セ リウムという物質を混ぜることによって排気温度を上げ、フィルターに溜まっ たススを排ガスの熱で燃やしてしまおうという方法です。  量産車に搭載したということは、それなりの耐久性は確保できたということ だと思うのですが、高負荷(=排ガス温度が高い)で使われることが多い大型 トラックでも大丈夫かどうかは未知数です。それと、燃料に別の物質を入れな ければならないというのも、専用の燃料を使わない限り、ドライバーが「やー めた」と言って酸化セリウムを補給しなくなったらオシマイなわけです。  それから、DPFの意義を根幹から揺るがす問題が、捕集できる粒子の寸法 です。目封じタイプでも、フィルターの目の大きさは5〜10ミクロンあります ので、5ミクロン未満のDPFは、ほとんど素通ししてしまうわけですね。  ここで nifty:FENV/MES/15/594 を思い出して欲しいのですが、このフィル ター径で捕捉できるのは「見た目は悪いけれど対人毒性は比較的少ない」とさ れるスス(Dry Soot)がほとんどなんですね。対人毒性の強いSOFや、未規 制物質のベンツピレンやベンゼン(どちらも発ガン物質)には、ほとんど効果 がないわけです。  黒煙を減らすだけなら、コモンレールやユニットインジェクタによる高圧噴 射と、ターボ+インタークーラーによる燃焼改善でなんとかなっちゃいますし、 SOFやベンツピレンやベンゼンは基本的には炭化水素ですから、酸化触媒を 付ければ燃やせちゃうわけです。  そうなると今度は「SOFや未規制炭化水素も燃やせて、ススもトラップで きるシステムは作れないか?」と考える人が出てくるわけで、アメリカのジョ ンソン&マッセイ、エンゲルハードの2社が、酸化触媒とDPFを一緒にして、 なおかつ連続再生できるシステムを開発しております。  ジョンソン&マッセイ社のシステムは、酸化触媒と目封じフィルターを直列 に組み合わせたものです。  排ガスはまず、酸化触媒を通ります。ここで、CO・HC・SOFが酸化さ れて無害化するのと同時に、窒素も酸化してNO2を発生させます。で、NO2 濃度の高い排ガスが目封じフィルターに流れていくと、フィルターに詰まって いるススが「やい、酸素を1個、俺によこしやがれ」とばかりにNO2から酸 素を奪い取って燃えてしまうという、なかなかうまい仕掛けになっています。  このシステムの問題は、硫黄に弱いということで、耐久性を満足するために は、軽油の硫黄含有量を、現在のJIS品質基準500ppmから、30分の1に まで減らす必要があるということです。ちなみに、2005年までには50ppm まで減らす方針を石油連盟が発表しておりますが、スウェーデンではすでに 10ppmの軽油を売っているそうです(^^;。  エンゲルハード社のものは、目封じタイプのフィルターに触媒金属をくっつ けて、フィルターそのものを触媒化してしまったものです。硫黄には強く、5 00ppmでも大丈夫だそうなのですが、排気温度が低いと再生効率が落ちてし まい、少なくとも稼働時間の4分の1を時速40キロ以上で走らなければ、再生 が追いつかずに目詰まりしてしまうと言うことです。  地方都市や郊外なら、それなりに効果を発揮するでしょうけれど(香港や台 湾では使っているらしい)、渋滞が恒常化している日本の都市部で使うのは難 しいでしょう。  セリウムでも入れるかや(^^;?                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #709 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その15 (15) 00/09/24 15:08 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  講座も終盤になりましたので、このへんでガソリン直噴エンジン(GDIと かD4とかNeoDiとか)の排ガスにも触れておきましょう。  ガソリン直噴エンジンは、吸気絞りで損失が出るガソリンエンジンの欠点を 克服しようと考案されたエンジンです。  nifty:FENV/MES/15/351 にも書きましたが、ガソリンエンジンは、吸入空 気量を調整して出力調整を行います。で、コップから直接水を飲むよりストロ ーで吸い上げるほうが疲れるのと同じ理由で、吸気を絞れば絞るほど(アクセ ルを踏まなければ踏まないほど)、損失が増加して熱効率が低下します(※1) 。   ※1:低下するのは「投入燃料に対して得られる出力の効率」なので、       低負荷時に高いギヤでアクセルを一杯踏んでも実用燃費は上がり       ません。  そこで、少しでも余計に空気を吸い込んで絞り損失を減らすために「リーン バーン(通常より空気を余計に吸い込んで、薄い混合気で燃やす技術)」とい う仕掛けが生まれたのですが、吸気管内噴射のリーンバーンでは、混合気が平 均して薄くなってしまい、火花を飛ばしても火がつかなかったり、燃え広がる 途中で消えちゃったりしてうまく燃えなくなるため、混合比は22ぐらいが限 界でした(理論混合比は14.7でしたね)。  そこで、ディーゼルエンジンのように、空気を吸い込んでからシリンダーの 中に燃料を直接噴射して、プラグに火花を飛ばすときに、プラグの周辺だけで も火がつきやすいの混合気(混合比12〜15ぐらい)の雲を形成することが できれば、ちゃんと火もつくし、燃え広がってくれると考えたのが、ガソリン エンジンの直接噴射です。  この考え方が生まれたのは100年も前でして、多くの研究者がさまざまな 方式を試したのですが、一向にうまくいきませんでした。何故かと言えば、デ ィーゼルの熱効率に近づけようとディーゼルの真似をしたものだから、似せた くないところまで似ちゃったんです。噴射した燃料が具合良く拡散してくれな かったために、黒煙とNOxが大量に発生してしまったんですね。  それがどうしてうまくいったかと言えば、吸気の流れや燃料粒子の拡散など の「流れの可視化技術」が向上したことと、コンピュータによる解析技術が進 歩したからと言えると思います。  結果として、三菱のGDIエンジンでは、混合比50のウルトラリーンバー ン燃焼が可能になり、10・15モード燃費ベースで2〜3割向上させること ができたのですが、問題は排ガスです。  まず、リーンバーンである以上、三元触媒ではNOxの浄化ができません。 そこで、NOx吸蔵触媒などを三元触媒と直列に並べて使っているわけですが、 それがどれほど効果があるか疑問であることは、nifty:FENV/MES/15/550に書 いたとおりです(※2)。  そこで、ディーゼルのようにEGRを大量に使用する方法が併用されており、 ほとんどのモデルで世界一厳しい平成12年規制はパスできているのですが、 普通の理論混合比燃焼のエンジンが「平成12年規制の−50%レベル」とか 「−75%レベル」というのを競い合っているのに対して、ガソリンDiでそ のレベルに達しているのはありません。   ※2:先頃発表された日産ブルーバード・シルフィには、「排ガスが都市      部の大気よりきれい」という理論混合比燃焼のモデルと、ガソリ       ン直噴モデルがラインナップされましたが、リーンバーンモデルは      カタログ落ちしました。理論混合比燃焼モデルの燃費が良くなって      きたので、NOx触媒の再生時に無駄な燃料を消費するリーンバー      ンではうま味が無くなったものと思われます。  それでもNOxは、平成12年規制値ベースでもディーゼルの5分の1なの で、問題になるようなレベルではないでしょう。が、問題はPMです。  ガソリン直噴といえども、ウルトラリーンで燃やせるのは、せいぜい20% 負荷ぐらいまでで、発進や加速時には、理論混合比か、それ以上に濃い空燃比 で燃やされます。そうすると、拡散しきれない燃料が蒸し焼きになって、PM が出てしまうんですね。  実際、先日、横から急加速で合流してきた乗用車のテールパイプから一瞬、 黒煙が出たので「おや、ディーゼルかいな?」と思ったら、三田の会社(三菱 のこと)のガソリン車でした(^^;。  理論混合比燃焼のクルマの場合、三元触媒が活性化していて理論混合比で燃 やされている限り、排ガス有害3成分の約95%は浄化されると見て良いので すが、ガソリン直噴の場合、10・15モード以外の運転状態でどんな排ガス が出ているのか、誰もちゃんと調べたことがない(のか、データはあっても公 表されていない)ので、わからないことが多いんですね。  確実に言えるのは「都市部の運転では、ガソリン直噴車の排ガスは理論混合 比燃焼のガソリン車より汚い。郊外の運転では、直噴ターボディーゼルより燃 費が悪い」ということです。ですから、市街地ばっかり乗っている人には勧め られないし、郊外ばっかり乗っている人にも同様です。  ただし、「都市生活者で都市部でもそこそこ乗り、休日には郊外にロングド ライブする機会が多く、クルマを1台しか持てない」という人なら、積極的に 選んでも良いのではないかと思います。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #715 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その16 (15) 00/09/26 10:07 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  これまで書いてきたように、ディーゼル車の排ガスはどう頑張ってもガソリ ン車の排ガス並みにはきれいにできません(特にNOx)。となると「大型ト ラックにもガソリンエンジンを積めばいいじゃない」と考える人が出てきて当 然なので、今回はなぜそれができないのかというお話です。  まず、燃費の問題があります。排ガスとは逆に、ガソリンエンジンの熱効率 は、オットーサイクルを使っている限り、ディーゼルエンジンより良くなるこ とはありません。燃費は輸送コストに直結しますから、物価の上昇を招きます。  それだけなら「健康を害してかかる医療コストまで考えれば、物価の上昇は 相殺できる」と言うこともできますし、これはこれで一面の真理だと思うので すが、「ガソリンエンジンの大排気量化には限界がある」という工学的な理由 もあるんです。  ガソリンエンジンは、吸い込んだ空気に点火プラグで火を着けて燃やしてい ます。ガソリンは瞬間的に燃え上がりますが、それでも燃え広がる時間はゼロ ではありません。  エンジンの排気量を上げるには、シリンダーの直径(「ボア」と言います) を広げるか、ピストンの往復する距離(「ストローク」と言います)を伸ばす しかないのですが、ガソリンエンジンの場合、ボアを広げるのに限界がありま す。  ボアを広げていくと、燃焼室の端まで炎が到達する時間が長くなり、その間 にピストンはどんどん下降していってしまい、爆発圧力が受け止めきれなくな って、効率が悪くなってしまいます。これまで量産されたエンジンを調べてみ ますと、ボア径は100mmあたりが上限のようです。  これで、ボア×ストローク比1.1のロングストロークエンジンを作ろうと すると、1シリンダーあたりの容積は、    5×5×π×11≒864cc  となります。  これでは12気筒にしても、10368ccにしかなりません。この排気量は、 ディーゼルなら6気筒あればできてしまい(※1)、エンジンのコストが、半 分とは言いませんが、はるかに安く上がるわけです。   ※1:クルマに積むのでなければ1気筒でも作れます。  炎が燃え広がる時間を短くするために、プラグを複数、設置することも考え られ、実際に実験も行われたようですが、点火系が複雑になったり、思うよう な効果が上がらなかったりで、現在は「現実的ではない」と判断されているよ うです(※2)。  ディーゼルエンジンの場合、圧縮によって温度が上がりさえすれば、あとは 軽油が自己着火してくれますので、いくらでもボアは大きくすることができま す。大型タンカー用ディーゼルなんか、ボア径が1m以上のもあります。   ※2:乗用車用には2プラグのエンジンは、アルファロメオとダイムラー      が作っていますが、アルファは高回転型エンジンの低速域フォロー、      ダイムラーはノッキングと排ガス対策のようです。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #727 VZC03003 安藤 眞 交通>よくわかる自動車排ガス講座その17 (15) 00/09/27 22:40 282へのコメント  みなさん、こんにちは(^^)/。  今回は、くわがたさんからご質問があった「改造車と経時劣化車について」 です。ただし排ガスの問題は、きちんと計測しないと、定量的にはわからない ことが多いので、定性的なお答えしかできないことを、最初に申し上げておき ます(^^;(いいわけ)。  まず、ガソリンエンジンの改造車から行きましょう。これは、今も昔もほと んど変わりません。  いちばん良く行われるのが、触媒を外して直管にしてしまうことです。これ は「触媒が排気抵抗になっているから、外せばパワーが上がる」というのが理 由なのですが、実は最近のクルマは触媒の容量が多く、ほとんど排気抵抗には なっていないため、触媒を外してもパワーアップしないばかりか、排気脈動が 変わって低速トルクが低下することが確認されています。  あとは、ターボを後付けしたり、ターボ車なら過給圧を上げて燃料噴射の増 量をするなどの改造が行われますが、これで触媒を抜いちゃったら、排ガスは めちゃめちゃになるでしょうね。  ディーゼルエンジンの改造ですが、これは最大燃料噴射量を増やすのが一般 的です。機械式噴射ポンプの場合、多分、カム山を高くするのではないかと思 いますが、この辺についてはあまり詳しくありませんです(^^;。  機械式燃料噴射ポンプを使ったディーゼルターボの場合、過給圧が上がった ときに燃料を増量する「ブースト・コンペンセータ・シャフト」というのがあ るのですが、コイツをグラインダーで削って形状を変えるだけで、簡単に噴射 量の増量ができます。噴射量が増えれば燃焼温度が上がりますから、NOxは 増えるでしょうし、燃え切れないほど増量すれば、黒煙もモクモクになります。  電子制御燃料噴射ポンプを使用している場合、コンピュータのROMをチュ ーニングすることになると思います。が、この場合も最大噴射量の増量になる でしょうから、結果も機械式噴射ポンプの改造と大差ないと思われます。  噴射装置の方式に限らず、最近のディーゼルエンジンは、NOxを抑えるた めに噴射時期を遅めにコントロールしています。これを早めることによって、 パワーを上げることができますが、NOxは当然、濃くなります。PMは恐ら く、多少は減るんじゃないかと思います。ですから、最大噴射量を増量しても、 噴射タイミングを早めれば、排ガスの色から改造しているかどうか見破るのは 困難だと思います。  NOx対策にEGRを使用しているエンジンであれば、EGRの作動を殺す ことによって、パワーアップが可能です。EGRは比熱の大きい排ガスを吸気 に戻して燃焼温度を下げるシステムですから、これをやめてしまえば、燃焼温 度が上がってパワーが出るのです。実際、EGR付きのエンジンでも、全負荷 時(アクセル全開時)付近ではEGRをカットしてしまうものが多いようです。  つぎに、経時劣化についてです。  ディーゼルエンジンの場合、経時劣化で気を付けなければならないのは、エ アクリーナーの目詰まりです。燃料噴射量を決めるための吸入空気量を、アク セル踏み込み量で代替しているエンジンの場合、エアクリーナが目詰まりして 実質の吸入空気量が減少しても補正がかかりませんから、相対的に空燃比が濃 くなってPMが発生しやすくなります。 「最近、煙が目立つようになったな?」と思ったら、エアクリーナを点検して ください。方式によっては、エレメントの向きを変えるだけで改善されること もあります(うちのがそおです)。  では、ガソリンエンジンの場合どうかというと、燃料噴射装置を使っている ものは、エアフローメーターで実際の吸入空気量を計測した上、さらに排気管 のO2センサーをつけて空燃比のフィードバック制御を行っていますから、エ アクリーナーが目詰まりしても、パワーダウンはあっても排ガスへの影響はほ とんどないと考えられます。  キャブレター式でも、吸気流速に応じて燃料が吸い出されているわけですか ら、影響はほとんどないと言えそうです。  それからガソリンエンジンの場合、触媒の劣化で浄化能力が落ちるか、O2 センサーの劣化やエアフローメーターの作動不良で空燃比制御が甘くなるなど が起きると、排ガスは汚くなります。  ガソリン・ディーゼルを問わず、経時劣化で問題になるのは、オイル消費の 増加です。シリンダー壁が摩耗したり、ピストンリングがへたったり、バルブ ステムシールが摩耗したりすると、オイル消費量が増えます。それはオイル起 源のSOF増加に直結します  これを防止するためには、エンジンオイルとオイルフィルターを、メーカー 指定のスケジュールできちんと交換することに尽きます。メンテナンススケジ ュールは、取扱説明書の末尾に載っています。車検や定期点検では、オイル交 換までやっているかどうかわかりませんので、「ちゃんと点検に出しているか ら大丈夫」とは言えません。  排ガス性能のメーカー保証については、法的にも規制がかかっているのです が、今までのそれはあまりにも短すぎて、ほとんど意味のないものでした。が、 2002年から、下記の通り順次新規制がかけられる予定です(今後の自動車 排出ガス低減対策について・第三次答申@中央環境審議会)。                  現行       新規制 ガソリン軽自動車        2万km       6万km ガソリン乗用車         3万km       8万km ガソリントラック3.5t未満  2万km       8万km ガソリントラック3.5t以上  2万km      18万km ディーゼル乗用車        3万km       8万km ディーゼルトラック2.5t未満 2万km       8万km ディーゼルトラック3.5t未満 3万km       8万km ディーゼルトラック8t未満   3万km      25万km ディーゼルトラック12t未満  3万km      45万km ディーゼルトラック12t以上  3万km      65万km   ※3:重量は積載量ではなく、車両総重量(積載量+定員重量+車両重量)  それから、排ガス浄化装置のトラブルを知らせる自己診断装置も、順次装着 が義務づけられていく予定です。  それからえーと、市場に出てからの排ガス問題としては、粗悪燃料(特に軽 油)の問題がありますね。最近、東京都が問題にし始めました。  ディーゼルエンジンは、別名「豚の胃袋」と呼ばれるくらい悪食で、灯油で もサラダ油でもイワシの油でも動いてしまいます。いちばん現実的なのが灯油 の流用ですが、セタン価が低いため着火性が悪く、PMの悪化が予想されます。  灯油は軽油より税金が安いため、単価も安いですが、自動車用燃料に使うと 脱税になります。  以上、長らく続けて参りました本講座ですが、今回で最終回とさせていただ きます。おつきあい下さいましたみなさん、どうもありがとうございました。                       安藤 眞(ANDO Makoto)              日本自動車研究者&ジャーナリスト会議(RJC)
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #735 BZG02360 ゴン RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/30 00:33 727へのコメント  安藤 眞 さん、はじめまして。ゴンです。 > 以上、長らく続けて参りました本講座ですが、今回で最終回とさせていただ >きます。おつきあい下さいましたみなさん、どうもありがとうございました。  ありゃりゃ。楽しみにしていたのですが、終わりですか。おつかれさまでした。  GDIやリーンバーンが、使い方によっては効果が無く、まやかしの代物であり、 期待して購入したユーザーの相当数を裏切っているのではないかと、感じました。 GDIクラブっていったい何なのだろう・・・  質問があるのですが、CVTエンジンの排ガスはどうなのでしょうか。変速装置 の問題なので、普通のガソリンエンジンと同等と見なしてもいいのでしょうか。         ∴∵∴∵        ゴン      ∴∵∴∵       ∴∵∴∵  prime-service@nifty.com ∴∵∴∵        ∴∵∴∵ http://homepage2.nifty.com/Gonn/ad/ ∴∵∴∵
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #736 QWN11071 しき RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/30 01:44 735へのコメント しきです. 安藤さん,講座毎回楽しみに読ませていただきました.ご苦労さまでした. ゴンさんに便乗した関連質問なんですけど,こんど出たホンダのシビック, リーンバーン+CVTを主力に位置付けているように見受けられるんですけど, これって,「おれっちはNOx問題なんかクリアしちゃったもんね.」 という技術の裏付けがあってのことなんでしょうか. それとも単なる商売上のイメージ戦略で,実際は講座11 (nifty:FENV/MES/15/550) にある,「基準だけはパス」のしろものなんで しょうか.
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #739 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/30 11:44 736へのコメント nifty:FENV/MES/15/736 へのコメントです。  しき さん、こんにちは(^^)。  長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。 >ゴンさんに便乗した関連質問なんですけど,こんど出たホンダのシビック, >リーンバーン+CVTを主力に位置付けているように見受けられるんですけど, >これって,「おれっちはNOx問題なんかクリアしちゃったもんね.」 >という技術の裏付けがあってのことなんでしょうか. >それとも単なる商売上のイメージ戦略で,実際は講座11 >(nifty:FENV/MES/15/550) にある,「基準だけはパス」のしろものなんで >しょうか.  んーどうでしょうねぇ。リーンバーン+CVTのモデルは1車種しかないし、 10万円安で同じ1.5リッター+普通の4ATがあるとなると、売れ筋は下 のモデルにシフトしそうな気がします(^^;。  ホンダは排ガスに関しては真面目な方ですし、リーンバーンで平成12年規 制の50%レベルというのは「立派」と言えると思います。ただ、測定モード 以外でどんな制御をしているのかはわかりませんので、イヤーカー選びの時に 詳しく聞いてみましょう。  ちなみにリーンバーンとCVTの組み合わせですが、無段変速という性格を 生かしてリーン運転領域を有効に使える可能性があるという点では、通常の遊 星歯車を使ったATよりは有効と言えるでしょう。ちなみにシビックの10・ 15モード燃費は、1.5リッター+普通の4ATが17.4km/l、リーンバ ーン+CVTのモデルが19.4km/lと、1割方違いますね。                         安藤 眞(Ando Makoto)                        @RJC
- FENV MES(15):●自然と環境 未来への海図25・北極海 - #738 VZC03003 安藤 眞 RE:交通>よくわかる自動車排ガス講座その1 (15) 00/09/30 11:44 735へのコメント nifty:FENV/MES/15/735 へのコメントです。  ゴン さん、こんにちは(^^)。  長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。 > GDIやリーンバーンが、使い方によっては効果が無く、まやかしの代物であり、 >期待して購入したユーザーの相当数を裏切っているのではないかと、感じました。  ガソリン直噴技術そのものは、まだいろいろな可能性を秘めていると思いま す。ただ、現状では使い方を間違っている(^^;。13ぐらいの過濃空燃比でも 回すから、黒煙が出ちゃうんですね(今度ガソリン直噴エンジン車を見かけた ら、排気管を見てみてください。ススで真っ黒なクルマが多いですよ(^^;)。  GDIのエンジニアとは何度かやりあったことがあるんですけど、 「希薄燃焼だけ使って、低燃費で売ればいいじゃないですか」  と言ったら、 「低燃費だけじゃ買ってくれないんです。それに、ノッキングしにくくてパワ ーが出しやすいから、エンジニアとしては、やりたくなっちゃうんですよ」  だって(^^;。 > 質問があるのですが、CVTエンジンの排ガスはどうなのでしょうか。変速装置 >の問題なので、普通のガソリンエンジンと同等と見なしてもいいのでしょうか。  基本的にはそうですね。エンジンの問題です。  ただ、MTと自動変速機を比べると、車重が重いこと伝達ロスが多いことが 原因で、自動変速機のほうが排ガス規制を通すのが大変であることは間違いあ りません。ぼくが某メーカーにいたときも、何度か「ATの排ガスがぁ〜」と いう話を聞きました(^^;。  実走行時も、燃費が悪い分、排ガスは余計に出ていると言っていいでしょう。  MT車の場合「人によってばらつきが大きい」という側面もありますが(^^;。                         安藤 眞(Ando Makoto)                        @RJC
トップページに戻る